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少女は異世界ゲームで名を揚げる。~ギルド『放課後クラブ』はエンジョイプレイを満喫するようです~  作者: ゆめみじ18
第14章「同じリングで戦う」西暦2035年7月6日

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第285話「VSシェイク」

《南ノ王の丘のシェイクとの戦闘を始めます!》


 〈南ノ王の丘〉に居る、湘南桃花は。当然一般市民を貫きたい。というか巻き込まれっぱなしなので特にこれと言って何もしない。本当にこのゲームの良心だと思う。

「さて、どうしたものか。まずは相手の基本スペックから探っていきたい所だけど……」

「じゃあ、勝手にスペクタウルズ!」

 すると、農林水サンがデータ解析を使用してくれた。なお、もう戦闘モードに入ったので管理者権限は使用しない。その状態で持っているアイテムで使用したことになる。


《基礎スペック! エラー! エラー! ???? 弱点:火》


「やっぱり自分の力で探せってことね!」

「弱点が火だって言ってくれるだけで、まだイージーモードじゃな!」

 じゃあどっちが先手攻撃をやる? 決まっている、ヤエザキには相手に義理も道理もない!

「〈斬空剣〉!」

 瞬間、烈風と豪風が融合したカマイタチが迸る! シェイクはこれに対して、身動きせずに。防御もせずに受け止めた。まるでプロレスラーが、自分の防御力を誇示するように。これ見よがしにアピールして受けきる。

 そしてわかったことは……。

「硬い……!」

「まあこっちがレベル1でも、まがいなりにもゴーレムじゃし……」

 瞬間――、重量級の巨体が瞬間移動して2人の背後を取った。シェイクの右パンチが襲い来る!

「速い!」

「速い?」

 ドゴン! 剛腕から繰り出される攻撃に、しかし〈ジャストパリィ〉で答える2人! 弾き返してその隙に追撃を、と思った2人の脳裏を……。

 ――パリィン!! パリィが破壊された、シェイクの攻撃が重すぎるッ……!! 途端に2人は体制を崩し、虚を突かれる。今までパリィを防いだ人間は居たとしても。ジャストパリィごと粉砕・破壊するモンスターは居なかった。

 速くて重くて強い、今のところ解ったのはそれだけ。そう、事前情報だけでは……!

『イクゾ! 強者共!』

 すると、シェイクはまず【1枚】カードを出す。そして……。


《仮面召喚……ヤエザキ!》


 ヤエザキが何? と思ったその眼前には、『エボリューション極黒』の別のヤエザキが召喚されていた。

 ステータスがゲーム上の全てMAXの連斬撃が襲い来る! それを姉妹2人はタイミングを合わせてパリィをする!

「ちょっと待って!? 私の技使って来るの!? 聞いてないよ!?」

「油断するなよヤエザキ! 私の知ってる限りじゃと。こんなのを40体同時召喚するぞ!!」

「40体!? レベル1で!? ちょっと聞いてない……!?」

 パリィを続けていた2人だったが、剣からその重みが消える……。敵側の〈仮面ヤエザキ〉の『エボリューション・極白』だ、後にはログも残らない……。

 たまらずヤエザキ自身も『エボリューション・極白』になり、身を回避する。ゴーストとゴーストタイプが戦っているようなものだ。攻撃が当たった方だけが致命傷になる。

 農林水サンはたまらず、高速移動で逃げる。それを【左目】で追うシェイク。シェイクから観て左側に迂回してくるのを察知して、ターゲットをそちらに変更、襲い掛かる!

「!?」

「姉ちゃん!? っく!!」

 仮面ヤエザキの白色の猛攻が止まらず、ヤエザキは助けに行けない。

「〈火遁・炎上の矢〉!!」

 火が弱点という単純明快な答えを用意していてくれたおかげで、その選択肢が出来た。

「!」

 シェイクは焦る表情も無く、浮遊しながらその重量感溢れる巨体で火の矢を、布でも通ったかのようにヒラリと回避する。自身の弱点を防御ではなく回避するという貴重な情報は得られたが……。

「な!?」

 その回避した歪曲線上にヤエザキは居て……「避けろ! サキ!」「!?」まるでスケートコートを滑るようにその重量を加速させてヤエザキに突進してきた。

 仮面ヤエザキで手いっぱいだったのに、奇襲でのシェイクの歪曲での突進。ドゴン! とトラックでもぶつかったかのような唸り声と共にヤエザキは跳ねられ上空を舞う。幸い、敵もレベル1なので重症にはならないイージーモードだが、やっている技量が常軌を逸脱している。

 神速、ならぬ忍びの速度で素早くヤエザキをキャッチする農林水サン。ペタリ。忍者らしく、壁に縦方向に貼りついて様子をうかがう。

「!」

 流石にシェイクもこれには虚を突かれたようで。一瞬の間が生じる。

「どう思うサキ?」

「いや~ちょい強い」

 設定的にも実力的にも手は抜いていないのだろう、だがこれからだ。ヤエザキは虚勢とも実力とも呼べない言葉を言う。

「ウオーミングアップは、まずまずね……」

「うぬ、勝つか負けるかはまだ誰にも解らん。真の意味でな」

 ヤエザキも農林水サンもシェイクも、誰も油断も妥協もしては居ない。

 地に足がついた激闘が続く。



「でりゃあ!」

「せいやあ!」

 『エボリューション・極黒』に成ったタイミングでパリィで仰け反らせて。その隙に決定打を【前と後ろ】の同時攻撃を叩き込んで仮面ヤエザキは倒せた。


『火遊びは終わりだ、本番行くぞ……!』


《仮面召喚……! オリオン座! 三ツ矢! ユウニコ! ほうおう座! みこと!!》


 でっかい像が二足歩行で飛び出し、サテライトレーザーが3つ宙を舞い攻撃し、電撃恐竜の巨大な腕が猛威を振るい、太陽フレアフィールド全体を焼き。太極拳の使い手が接近戦でこちらの技を完封してくる。

「な、なによコレ!? 軽いイジメ入ってない!?」

「『平成ライダーの攻撃が通じない!?』……って言いたいけど通じるんじゃよなあ~これが!!」

「卑怯だぞー! 素手で勝負しろー!」

「まあ言いたい気持ちは解かるが……うおわっと!」

 紙一重で何とか交わしてゆく2人、自分達のレベルでは勝てない……。とかではない、この仮面木人シェイクもレベル1でこれなのだ。つまり技術レベルで隙が無い。間合いに入れないのだ。ルール上しっかりと弱点を明記してるので反則にはならない……。が。

「「でやあああ!!」」

 オリオン座、三ツ矢、ユウニコ、ほうおう座を数手クリティカルヒットさせたら爆発して消えた。

「なるほど、数は多いけどHPが3打撃ぐらい与えれば倒せるわね!」

「つっても40体居るから合計で120手ぐらい素振りしなきゃ木人にも届かない計算だぞ!?」


《仮面召喚……! ジュラ! ホウエン! ネームレスキング! 桃花! 真理! ry――!》


「と! 止めろー!? あいつのカード! ていうか手を封じるんだ!!」

 今ヤエザキが持ってるスキルで、相手の手の動きを封じる策は……。

「! 〈風温〉であいつの手を冷凍してやる!」

 氷の能力で手を動かせないようにする作戦にでた。

 右手を凍らせて、召喚術を使えなくさせてから……。

「すっげー久々の〈モルボルの毒袋〉!」

 もはや忘れてしまったが、作中の1章か2章あたりで使った。と思う技が炸裂する。モルボルの毒効果。

 即ち。〈毒〉〈暗闇〉〈沈黙〉〈スロウ〉〈睡眠〉〈混乱〉の同時多重デバフである。

「シェイクがわけわからん事をやっている今がチャンスだ! 殴れるだけ殴れ!」

「おし! 〈エボリューション・極黒〉! これで終わりだあ!」

 と、次の瞬間――!


《仮面変身! 戦空!!》


『はああ!!』

 上下左右前後360度、全方向への音による咆哮が、大反響した。音速と空気の振動によりシェイク以外の全員が吹き飛ばされる。

 吹き飛ばされた召喚された木人達は、その衝撃でポンポンと煙となって消える。

「なるほど。ヤエザキ解ったぞ、こいつら全体攻撃の魔法に弱い」

「そうか、今まで1対1の戦闘しかやってこなかったから。集団戦での広範囲爆撃には弱いんだ!」

「広範囲攻撃魔法の炎技と言えば……よし! ヤエザキわしを守ってくれ!」

 それは極大魔法を演唱しますよ! の合図だった。

「了解!」

 ヤエザキは迫りくる強敵たちを紙一重で凌いでゆく。


空想庭園くうそうていえん獄帝ごくていの竜王! その覇道を貫きしは漆黒しっこくともしび!》

《混沌世界の概念がいねんを浄土と化し、黄昏たそがれの日の元に壊滅かいめつせよ!》

《絶対のほむらよ、円廻えんかいことわりより還るは覚醒成る両翼りょくりゅう!》

《大いなる破局はきょくを我が神眼しんがんに示せ!》

森羅万象しんらばんしょう誓約せいやくの名の下に、あまねく魂に悠久ゆうきゅうほのおを!》


 極大火属性魔法『爆裂の太陽~スーパーフレア・フルバースト~』!!!!


 チューッドーン!!!!


 南ノ王の丘が灼熱の浄土と化した……と思われたが……。

 仮面木人シェイクは、二代目世界樹『クロニクル』と湘南桃花を守るように大型のバリアを貼って見せた。他の仮面木人の人形達は、跡形もなく燃え落ちている。

 その代わり、自分はこんがり焼け焦げ。燃え始めた木人の身体は止まらない……。

「あ、あいつ。樹と桃花を守りながら戦ってるな」

「なるほど、つまり桃花と樹を攻撃すれば〈かばう〉と……」

 弱点の弱点めっけ。

 という事で、これは外道の道に入らないと勝ち目はないと思った2人。流石に多勢に迷惑をかけるわけにもいかないので。情報やアカウントデータの塊である世界樹を狙うことはせず。

 一般市民かっこ自称、湘南桃花に攻撃を狙う事にした。

 ――!

 ……そして……。


 スーパーフレア・フルバースト!!!!

 

 チュッドーン!!


 案の定、桃花へのダメージを一身に背負って。燃え尽きた木人の姿がそこにはあった。

『よく倒した、強者よ。さあ、自由の旅を続けるのだ……』

 そう言って。仮面木人シェイクは。焚火のように燃え尽き、最後はポリゴン片になって消えた。

「せめて燃えてる間の火で焼き芋でもしたかったけど……」

「そんな余裕はなかったな……」

 

《南ノ王の丘のシェイクとの戦闘が終了しました。湘南桃花と話してください》


 システム的なポップオン音と共に、彼女と会話するための道が開けた……。


 極大魔法が無ければ死んでた。


 TIPS

 仮面召喚かめんしょうかん。 

 黒い仮面をつけているものの、中身のステータスや思考能力は本物をAIが学習した範囲で行動する木人。全員木人ゴーレムなので弱点は火で統一されている。



 EWO2 ステータス


 天上院咲てんじょういんさき/ヤエザキ

 職業―――魔法剣士(コンバート無し状態

 レベル――1

 戦闘力――8

 素早さ――8

 技術力――8

 成長性――1

 弱点―――果断速攻系

 特性―――エンジョイ勢……メインシナリオ以外の行動に対して成長性が+1される。

 武器―――星剣『朝過夕改ちょうかせきかい

 道具―――オールド・ミラーシールド

 スキル――〈風操ふうそう1〉〈神経しんけい1〉〈風温ふうおん2〉〈思考しこう2〉


 天上院姫てんじょういんひめ/農林水サン

 職業―――忍者(コンバート無し状態

 レベル――1

 戦闘力――7

 素早さ――8

 技術力――9

 成長性――1

 弱点―――物理攻撃系

 特性―――運営権限……基礎ステータスの上下変動が不動で変わらない。

 武器―――物理封じの苦無クナイ

 道具―――モルボルの毒袋

 スキル――〈斬空ざんくう1〉〈円舞えんぶ2〉〈極色きょくしょく4〉〈地図ちず1〉


 仮面木人シェイク

 職業―――木人ゴーレム

 レベル――1

 戦闘力――9

 素早さ――9

 技術力――9

 成長性――1

 弱点―――火

 特性―――仮面召喚……仮面木人を召喚する。特性はカードを基準にする。

 武器―――素手

 道具―――なし

 スキル――〈基本きほん2〉〈運動うんどう2〉


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名を上げる。ボカロBGM:最終決戦~ファイナルバトル~
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