第281話「中間管理職統合班長」
プレイヤーネーム、シャンフロ。
参加ゲーム、エレメンタルワールド・オンライン2。
属性、社会人男性のプロプレイヤー。
放課後クラブ、二期生ナンバー4。
放課後クラブ親衛隊 中間管理職統合班長。
咲の人気に対して? そのあまりの人気っぷりに、その他プレイヤー達をまとめる班長役を決める流れとなった。
プレイヤーとしての実力は、常軌を逸した変態プレイ(ほめことば。
副班長が『牙』という名の毒舌プレイヤー。
◆
シャンフロは「ふふん」と厄介事を向けられたことに対して、むしろ「これが新たな縛りプレイか」と喜んでいる。
正式に放課後クラブのメンバーとして招かれたシャンフロ、任命というか。お願いしたのは天上院咲と天上院姫だが。
「というわけで、厄介事な上に放置や無視するわけにもいかず」
「かと言って、何も手を打たないと。本編、メインクエストが進まないので。どうしても必要になったのじゃ」
とのこと、天上院姉妹は本当に困っている。悲しいけどコレ、本編じゃないのよね。
もちろん、今の今まで頑張って来てくれた。『牙』が副班長となる形で治め。(治まるかどうかは別問題だが。
『幼女』『賢者』『地図化』『海賊』『バスケ』『テニス』『禁書』『物語』『彼女』『ミニモン』『アート』も、この位置に入る。
「でも、何かしらのルールが無いと瓦解するのではないか?」
と、シャンフロ。
「まあ、本クエストとは本当に関係ない。脱線した問題じゃしな」
「じゃあ、軽いルールを私達姉妹が決めましょう」
と咲と姫はちょっとしたルールだけ作ることにした。それがこちら。
◆放課後クラブ親衛隊のルール◆
【1つ】ここにいるものは、愚か者の代表選抜である。
・咲は我らに愚直さのみをを求めているから。
【2つ】真なるルール以外、知ったことではない。
・あらゆるノイズや新旧のルールは咲の邪魔にしかならないから。
【3つ】守るべきを守り、生かすべきを生かす。
・導き手の咲が知らない以上、成すべきことは自分達で決めねばならないから。
【4つ】以上、やりたいようにやる。
・本来、咲には自由以外のルールはココにはないから。
◆
シャンフロは快く「了解した」と返してくれた。この人に限っては本当に頼もしい。
「ほんと、厄介で面倒な立ち位置じゃと思うが。凪ノ唄蒼葉くんの上位互換のつもりで、頑張ってくれなのじゃ」
「『スーパーやっかいごと人2』みたいに成れた感じでお願いします」
シャンフロはふふんと鼻を鳴らして言う。
「別に、こいつら全員倒してしまっても良いのだろう?」
これはシャンフロ渾身のギャグだ。姉妹は困惑したように冷静なツッコミを入れる。
「自分の隊員達を倒してどうするねん……」
「どっちかというと統治とか統率とか団体行動とかチームワークの方じゃからな?」
一応、厄介事を押し付けてしまう形になってしまうが。放課後クラブは放課後クラブで、シャンフロに一応助言をするつもりでいる。だからこそのメンバー入りなのだ。
そこでシャンフロから質問。
「たぶんここは。来るもの拒まず、去るもの追わず。なんだろうが、新人はココに勝手に入っても良いのか?」
咲と姫はお互いを観てから、言う。
「いいんじゃないか?」
「知らない」
なんとも本人達よくわかってない反応だった。
「……う、うむ……」
だからこその中間管理職なのだ……。
というわけで……。
「よーしお前ら!」
シャンフロは威勢よく吠える。
「まずはメインクエスト! 『吸血鬼大戦』の周回プレイだ! お前らの実力! 俺が観てやる!!」
というわけで放課後クラブ親衛隊の中で、『マラソン』が始まった。
「はあ……、ウザイ」
副班長が『牙』の毒舌な呟きがちょっと聞こえた。
TIPS
マラソン
一つの行為を繰り返し行うこと。
インスタンスエリアや特定のクエストなど、狩場と拠点を往復し続ける場合などに使われる。




