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少女は異世界ゲームで名を揚げる。~ギルド『放課後クラブ』はエンジョイプレイを満喫するようです~  作者: ゆめみじ18
第13章「少女は異世界ゲームで名を上げる。」西暦2035年7月3日

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第271話「最長文学少女」※ターニングポイント5

 運営管理室、雑談部屋。

 さっき、天上院姫は天上院咲の決意を聞いた後。了承した、そしてそれに見合うだけの舞台を用意するとのこと。

 姫は止めなかった。ゲームを遊んでほしいとは言ったものの、悲しさと寂しさもあるが。何だかんだで1年以上突き合わせているので、ゲームを辞めないで! とも言えなかったのだ。

 現実はお家の家の中の一室で、寝ながら遊んで1年間を過ごしてしまった形である。姫がゲーム作り専門だからか、舞台裏でこそこそゲームの対策を練っている。テストプレイをしているからなのかは判断が難しいが。

 一般的には、ゲームのし過ぎなのだ。だから、引退すると言われても咲が決めた事なので止められない。咲のために動いて来た姫だからこそ。咲を止められないのだ。

 そんな中、社長姫は。モブの運営Aとの雑談に入っていた。主に自動販売機前の休憩所で一服するような感じで。……姫はタバコは吸えないが……。

「なあ運営A、咲以上に私のゲームを遊んでくれるプレイヤーは。これから先どれくらいいると思う? 他社は除いて」

「は? え~、……いません」


「そう、居ないんだよ」


 徐にそう呟く姫。内心声のトーンは低めで覇気がない。きっと彼女は心の景色の遠くの方を眺めている。

「咲を超える文章データ・ログを残せた者は。……本人はただ遊んでただけかもしれないが。おそらくこの先、数年・十数年ぐらいは。彼女の記録を破るものは現れないかもしれない」

 それは本音の事実だった。たった1年の話ではあるけれど、他のプレイヤーより、濃密な時間を過ごしてきたことには変わりはない。

「でも戦闘ではあの2人には敵いませんよきっと? 社長の存在もしかり」

 湘南桃花と浮遊戦空。2人の実力はステータスやスキルでは計れない、心の行動そのものが偉大で。勇者的だった。色は大分違うが、根底にある個性や自我。やるべきところでやり、勝つべきところで勝つ。そんな一枚岩では決して超えられない壁が今回の相手なのだ。咲の要望なのだ。

「咲は戦闘では計れない、その他色んな視点を持ってる。であれば、二つ名は『電脳少女』とか言う価値のない名前で彼女を呼ぶのは失礼だ」

「では彼女の二つ名、称号は何と呼ぶというのですか?」

 言って、一拍空ける。まるで光で影を背負ってるような演出で。姫は言う。


「『最長文学少女ログ・ホルダーヤエザキ』。それが、この電子社会で彼女が呼ばれる名前に相応しい」


 天上院姫はゲームマスターだから例外としても。

 浮遊戦空は10万文字、天上院咲は60万文字。これだけでもおよそ6倍。

 湘南桃花はベクトルは違うが紙60枚分、年数で言えば約3年。天上院咲は年数で言えば約7年分のデータがある。およそ2倍。

 これだけの量と質を残している【記録している】、自分は弱いだ個性ないだ言っているが。生半可な人間にこれだけの偉業は出来ない。

 圧倒的な『最大体力保持者』であることは、もはや誰も疑わない。


 【最長文学少女ログ・ホルダーヤエザキ。】

 歴史上これだけ『神のゲーム』を遊んだ人類はいない。


 偉人の名声は、それを得るために用いられた手段によって評価されるべきである。

 ラ・ロシュフコー


 ゲームの称号ではなく、初めてリアルの。生身の人間が彼女をそう総称する時代が来た。



 ギルド広場。

 皆でワイワイしている雑談部屋。かっこ咲は除く。(別に省いているわけでは無い、たまたまそこに居なかっただけ。

 浮遊戦空はあれから、浮遊城『スターバースト・ストリーム』は無事全クリアし終わった。し終わった後で、このようなエキシビジョンマッチみたいな話題が入って来たという形だ。

最長文学少女ログ・ホルダーヤエザキ? それってツェえのか?」

「あんたが、強くても固くても速くても倒れないって意味よ」

 夜鈴が話の内容を単的に短く戦空に説明してあげた。

「スゲー! 桃花より倒れねえのか!?」

「いや私すぐ倒れるし!? 人間だし!? てか大人だし……。どっちかというとHP0になってから復活するタイプだから……偉くないよ??」

 どちらかというとHP1で何とかやりくりして頑張るタイプだ。

 戦空のボケにツッコミを入れる桃花。

「七転八倒というか七転び八起きというか……ポ〇モンの種族値でいうとどんな感じ?」

 唐突に、オーバーリミッツが天上院姫に説明を求める。わかる人にはわかって、わからない人にはわからない。ちょっとコアな説明を。

 いわく……。


 『最長文学少女ログ・ホルダーヤエザキ』のスペック。(600族

 HP 372(ハ〇ナス超え

 攻撃 32

 防御 32

 特攻 32

 特防 32

 素早さ200(レ〇エレキと同速

 特性 マジックミラー(変化技を相手に跳ね返す

 努力値は無振りの基礎ステータス。


 らしい……。

 皆が一斉に声を荒げる。

「速んや!?」

「さっきから言及してるようにHPがお化け」

「オールラウンダーのスペック低っく!?」

「技は?」

「皆だいたい知ってるでしょ? ヤエザキちゃんのスキルは」

「あ~そう言われると大体察しはつく……」

「神速は?」

「無いね、良くて雷速」

「あ~……」

「さり気なく600族かー」

「個性は無いけど、弱いわけがない」

「あー確かに。これはキッズには扱いにくい種族値ですね、アダルト向けですわ……」

「咲き誇りそう」

「やめれ!」

 雑音と共に周りにどよめきが走る。それほど彼女のステータスという名の数値は面白可笑しい内容になっていたからだ。

 ちょっと皆が色々考えてしまいそうな種族値ないしステータスだった。自分ならどうやって操作しようとか、俺だったらこのカードを配られたらこうするとか。そんな戦略シチュエーションを考えてしまう。

「ま、何にしても最後なんだから。盛大に引退セレモニーをしてあげようと思ってるのじゃ!」

 姫は前向きに、最後のお別れ会パーティだから。「むしろ祝ってやるのじゃ!」と正のスパイラルを渦高く上げてゆく。それこそ天井まで上げる勢いだ。

「具体的にはどんな祝い方をするの?」

「まずは神道社のPCをフルスペックでプレイしてもらう。これはワシ、桃花、戦空も同じじゃ」

「最高の環境で戦ってもらおうってことね」

 姫は続ける。

「で、ネットが繋がっているPCには全員この戦闘を見れるようにする。ま、大会形式じゃな」

 ナナナ・カルメルが能天気に言う。

「盛り上がるといいねえ~」

「んで、ルールは。ある意味伝統の形式、時間無制限の何でもありにする。最後に出し惜しみされても困るからな」

 お互い、手加減なしの本気の勝負。どちらが勝つかは判らない。

 今回は、細かい伏線は回収せず放置して。真剣に、重要な要点だけを単純明快にケリをつけるつもりだ。


 勝っても負けても、全回復した状態で。1対1のサシの勝負。

 1回戦、ヤエザキVS農林水サン。

 2回戦、ヤエザキVS湘南桃花。

 3回戦、ヤエザキVS浮遊戦空。

 最後に閉会式で終わり、ヤエザキの引退が決まって皆で送り出す。という形だ。

 

 姫はニコニコしながら、ちょっと寂しさの声色も加えてその場の空気を盛り上げる。

「て―わけだから、わしら3人は神道社へ集まってくれ。そこからログインする、最高レベルのPCじゃからそこで皆、しばらく慣れてくれ」

「わかったわ」

「おっけー!」

 天上院姫、湘南桃花、浮遊戦空とその他愉快な仲間達は。そんなこんなで、今日の所は解散となった。

 『最長文学少女ログ・ホルダーヤエザキ』、彼女の本気の実力が試される。

 一方、前もって姫お姉ちゃんに言っておいた咲は。物思いにふけるように、新たな旅路の準備をするように。決意を新たに心に薪をくべていた。


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名を上げる。ボカロBGM:最終決戦~ファイナルバトル~
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