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少女は異世界ゲームで名を揚げる。~ギルド『放課後クラブ』はエンジョイプレイを満喫するようです~  作者: ゆめみじ18
第12章「EWO2」西暦2035年6月1日

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第269話「想いの力と転生の」

「どう? 何か解った?」

「ん~反応の感想は微妙かな。権力の大小はあれど、やってることは〈その人〉が出来る範囲の意力だった。てことはここまで世界がこじれちゃったのは、どうやら〈念じたから〉とか〈喋ったから〉とか〈サインをしたから〉とかでは無いらしい」

「う~ん? 簡単に言うと?」

「簡単に言うと、【想いの力】。……かな、どうみてもそれがキーになってこの世界は動いてるらしい。あ、言っとくが私! 天上院姫の推論だからな!? 私の前の、先人の知恵や歴史の上に成り立ってるから。それらのシステム修正は私には無理だ」

 出来ないことも無いだろうが、そのシステム。ルールにしたのはその時その場の理由があって成されたことだ。そうホイホイ変えていいものでもないし。それこそ理に叶った意味があり、動きやすい可能性の方が高い。知ってから直すのだったら話は変わってくるが。

「じゃあ、私みたいな楽天家でも! 桃花さんみたいな強さに成れる?!」

「それは知らん。てゆーか、それだったら強いのはオーバーリミッツだろ?」

「私の中では、桃花さんの方が強いと思ってます」

 拳じゃなくて足と地面に、力が乗ってるとか。そんな感じの意味合い。

「ふむ、……ま。まだ一回実験しただけだ。これからじゃよこれから」

 とか言ってみてる姫であった。

「デ〇ケイド風に言えば『桃花の想いの力が強すぎたせいでこうなっちゃった世界』、……みたいな?」

「う~ん、私にはわかるけど。他の人にわかるかなあ~?」

「ま、そんな感じじゃ」



「ふむ、じゃあ実験その2をやってみようか。カモン、ナナナ・カルメル」

 と、フレンド通知から欄からナナナ・カルメルを呼んで。貴重なショタっ子ナナナ・カルメル君。

「呼んだ~? お姉ちゃんたち久しぶり~」

 ヤエザキに向かって、手をブンブンとふるカルメル、カルメルはこれから農林水サンに何をされるのかわかっていない。

「久しぶりーカルメル君、で。何やるの?」

 農林水サンは答える。

「実験その2。ヤエザキVSカルメルの戦闘をやってもらいます」

「どうして?」

「カルメル君の能力を一時的に解禁して、今の実力を知ること。その後、還って来る因果関係の調査ってところじゃな」

 カルメルくんは不可思議そうに問う。

「具体的には何の解禁なの?」

「この世にどの程度影響するかチェックする。具体的には……本当は〈審判〉を使いたいけど、〈グランマティカ〉だけで事足りるじゃろ」

 そう言って、さっさと試合開始の合図をする。


《ゲームマスターから訓練モードの許可が出ました、スキルツリーカードの使用無制限です》


 つまるところ「何でもあり」のゲームだ。

 ただし、ヤエザキはスキルツリーから選択。カルメルは自在法から選択。その〈意力いりょく〉を試す。

「で、わしからの注文なんじゃが。瞳を有するスキルを多めに使ってくれ。それで因果関係を観る」

「了解、ゲームマスター」

「おー!」

 というわけで……。

 はじめ!!


 先手はヤエザキ。

「右目に〈鷹眼たかのめ〉! 左目に〈魂瞳こんがん〉を発動!」

 後手はカルメル。

「右目に〈千里眼せんりがん〉! 左目に〈審判しんぱん〉を発動!」


 スキル〈鷹眼たかのめ〉は、動物の鷹のように眼を上空から見下ろす映像を転写させる。今回は実験なので動いてもオーケー。

 スキル〈魂瞳こんがん〉は、相手の魂の動きを視認する力。灰も残さず消えた幽霊などにも効果を発揮する。 

 自在式〈千里眼せんりがん〉は、自分の周囲から遠く離れた場所まで、死角なしで視える。

 自在式〈審判しんぱん〉は、隠れたモノの位置、モノが自在法を発動させている経路などを正確に「見る」ことが可能。


 それらの状況を踏まえての組手となった、打撃音が交錯する。数手、十数手、数十手の取っ組み合いから見える範囲ギリギリでいずれも決定打には至らなかった。

「はあ!」

「うわあ!」

 戦闘の場数が違うのか、力・技・速さ。どれをとっても数段ヤエザキの方が上手だった。数手後の蹴り一発で体が軽く宙に浮くカルメル。体重も小さいから軽いのでこれもヤエザキにとっては余裕だった。

「う~ん勝てるようなヴィジョンが浮かばないなあ~」

 農林水サンは困惑する。

「宝の持ち腐れじゃな……」


 そしてトドメの一撃。

「はぁ――――!! 〈極色きょくしょく〉!!」

「なんの――! 〈転生てんせいの自在式〉!!」

「!?」

 剣線が唸りを上げて、カルメルくんを斬ったと思われたが。カルメルくんは剣が当たって、ポリゴン片となって消えた。……、だが。まだリスポーンしたログが出てきてない。

 まだこの辺りにイる。後方? 上空? 地中? 〈魂瞳〉を駆使しても探すことが出来ない。完全に居なくなってしまった。

「あれ? どこ行った?」

 キョロキョロと探すヤエザキ、だが。一言子供っぽい口調で口が勝手に喋る。

『なかだよ!』

 !? 唖然とするヤエザキ、今自分の声で「なかだよ」と口にした。

『僕のアバターが死んじゃったから、ヤエザキお姉ちゃんに転生し直した。今から存在を上書きするね!』

「え!? ちょ!? ま! ひきょ!?」


《プレイヤーヤエザキのデータがナナナ・カルメルに上書きされました。》

《ヤエザキの操作は〈除外データ保存庫〉に移動してます。再上書きをする場合には〈転生〉などの〈転移〉スキルが必要です》

《ヤエザキはデータを除外された場合のスキルカードを持ち合わせていません。この場合自動的にプレイヤーヤエザキの敗北となります》

《勝者、ナナナ・カルメル。》 


「勝負あったか。……実験その2だから、この戦闘は初期状態に戻すぞ」

『はーい』

 ショタっ子カルメルくんは元気だった。まるで、プレイ中のコントローラを奪われたような。そんなやるせなさを感じてしますヤエザキであった。

 

 戦闘が終わった後のヤエザキの第一声はこうだった。

「……解せぬ」

 

 除外データ保存庫とは、除外されたキャラクターデータが行きつく。滅多に起こることではないが、要はバックアップ・ルールの外側の世界だ。ちなみに除外データ保存庫も完全に消去してしまうと、本当に今までのデータが削除されてしまう。

 パソコンで言うと、ゴミ箱機能でゴミ箱に入ってしまった感じだ。


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名を上げる。ボカロBGM:最終決戦~ファイナルバトル~
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