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少女は異世界ゲームで名を揚げる。~ギルド『放課後クラブ』はエンジョイプレイを満喫するようです~  作者: ゆめみじ18
第12章「EWO2」西暦2035年6月1日

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第259話「夢の続き」

 ある姉妹の雑談部屋での将棋勝負中――。


「なに? 『エレメンタルワールド』の続きをやれだぁ?」

 姉ヒメは疑問文を妹サキに投げかける。

「……、確かにアレは完結出来て。続きもこの状態なら書けるが……、でもアレ人気も出なかったし」

「この期に及んでまだ、人気の良し悪しとか気にする? 思考を鈍らせるだけだよ」

「人気は大事だろうが、面白い物語を作るのがわしの仕事だ!」

「だったら、ここでその話もシナリオに組み込んじゃえばいい。どうせハイファンタジーだし」

 そして、今ある盤上を見つめる。……確かに組み込めないことは無い。

「ん~どうなってもしらないぞ? 自信も無いぞ?」

「これ以上下がることも無いってばさ。それに行き当たりばったりのプロット進行でしょ? 進行してからじゃなきゃ解らないってばさ」

 ……、一理ある答えだった。



「どうなっても知らんぞ」



 パチ。と駒を一歩動かした。盤上のシステムが自動的にそのアクセス解析を受理する。

《世界観にエレメンタルワールドの設定が組み込まれました、ストーリーを進行します。》



 西暦2035年04月01日、放課後。神道社の会議室。

 企画書、天上院姫てんじょういんひめ社長が机にバラした書類にはこう書かれていた。

 

《大人気おんれーにより続編が決定してしまった。超話題作『エレメンタルワールド・オンライン2』略称EWO2、を作ってしまおうキャンペーン! ベータテストの企画書のようなもの》


 神道社総合委員会しんどうしゃそうごういいんかいの残り8名は目が点になっていた。

 運営長2人が、政治家2人が、最高人工知能2人が、トッププレイヤー2人が。聞きたいことは山のようにあると言わんばかりの視線で社長を見やる。

 アメリカ代表、政治家、ジョン・サーガは言う。

「これはどういうことかな? 姫くん」

「観ての通り、続編の企画書じゃ」

 そう言って、紙切れを数ページめくる。

 そこには……。

「シナリオも未定、イメージボードも未定、音楽も未定……」

「あるのは登場キャラクターの設定とキャラデザだけか……」

「しかもその……、キャラ設定が……。」

「チート。というか強すぎるんですがそれは?」

「この設定をゲームに落とし込むのか?」

「そもそも経済面が」

「2って言っても1がその……、言っちゃ悪いけど【大失敗作】だったはずでは?」

「超絶無反応の不人気作だったような記憶が……」

 社長が言う。

「ところがどっこい超絶人気の大成功作に極大魔法であるんじゃよ。実績がある」


 湘南桃花は手を挙げて、発言権をもらってから言う。

「あのおォ~。言いにくい経緯は知ってますけど~。アレって先取りされて映像化されちゃったものでしょ? しかも現実は、シナリオが審査員が評価するまでも無いって程にホボ1点判定の奴の続編……を作るの?」

 社長は食い下がる。

「でもプレイヤーが続編を望んでる」

「いやだから! 他者の作品の続編を望んでる声を何でうち等が2(ツー)を作らなきゃならないのって話なの! ネタ取られたんだよ!? それをネタ取られたけど人気出たからうちらの評価も10点満点ですよね? ならねーよ!? 現実1点じゃねーか!?」

「あれはシナリオ制作初心者の第1作目だったから……!」

「んなもん商業じゃ通用しねーよ! プレイヤーには関係ない話だよ!? どんな形であれ! うちで結果出なかったモノを! うちで続編出すってどんだけお人好しなのさ!?」

「でもプレイヤーは続編を望んでるのじゃ!」

「間接的にだろ!? 直接的じゃなきゃ利益にも実績にもならねーんだよ!! 何だよ評価1点の奴を続けてまた皆が納得の1点モノ作品でも作るって気か!? 通さねーよ!? せめてシナリオ完結させてから持って来いよ!? バカじゃねーの!?」

 吸血鬼大戦、紅蓮のシナリオを作った湘南桃花の口調は甘くはなかった。本気だから口調も昔のように本気になる。

 ところがどっこい、政治家達の反応は違った。

「いや、同じ責任をいつまでも続けるわけにはいかん。我々は『エレメンタルワールド・オンライン2』の正式な歴史を知りたい」

 桃花が本気で食い下がる。この作品も誰よりも愛してるからだ。

「面白くならないから言ってんの! 0に何賭けても0なの!?」

「1点だから0点にはなりませんー!」

「政治的なキャスティング臭のご都合主義で、これ以上その作品を汚すなって言ってんだよ!? わかれよ!!」

「じゃが! 望んでくれるプレイヤーが1人でも居る! 桃花だって最初は人気ゼロでも完結させるって意気込みだったじゃないか!!」

「それとこれとじゃ話は別!」

「同じですぅ!」

「何で私達の会社が損をするって解ってて。本物の金が動くって解ってて。軌道に乗ってる作品に上乗せしようって話になるかなぁ!? 私の言う事そんなに間違ってる!?!?」

 天命アリス=スズが口を出す。

「いや、間違ってない」

「それでも極大魔法で何とかなるはず!」

 湘南桃花は本気のマジ顔だった。

「他人任せにするんじゃねえ! お前の企画だろ! 自分の作品だろ!? お前が責任もてよ!!」

「じゃがやりたいもんはやりたいんじゃあぁーー!!!!」

 長い間が発生してから……。

「別に『エレメンタルワールド・オンライン2』をやることに否定はしないよ? でもさあ、『ハイファンタジー・オンライン』や『クリスタルウォーズ』が若干成功したからって。それに上乗せするように、便乗するように2(ツー)を持ってくるのが納得できない」

「まあ、言いたいことは解るんじゃが……」

 完結して安眠してたのに叩き起こされた本人からしてみたら。同じ境遇をこの作品にも感じてしまう桃花だった。

 でもやりたい、作りたい。

 どうしてもやりたい……。

 そんな思いを汲んでか、湘南桃花は条件を付ける。

「わかった……、じゃあ『エレメンタルワールド1』のシナリオを【推敲し直して】、1ページずつ全部。枚数は公募のページ数越えてもいいから、今できる限りの技術で今風に治して。でなきゃここから先、その企画を通させない」

 それは天上院姫に130p分のシナリオを全部直せと言っているのと同義であった。

「それをやったら、ここに居る皆は納得してくれるんじゃな?」

 みんな、顔をコクリと頷かせる。

「未評価の新作だったら」

「でも、他者の評価に振り回されるなよ?」

「あんまり変えるなよ? 2にも響くから。準備はしとく」

「キャラ減らすのは良いが、増やすのはカンベンな」


 天上院姫は呆れた。

「みんな注文が多いな……」


 そして2ヶ月後……。

 西暦2035年06月01日、放課後。

 ソレは始まった。


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