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少女は異世界ゲームで名を揚げる。~ギルド『放課後クラブ』はエンジョイプレイを満喫するようです~  作者: ゆめみじ18
第11章「浮遊城の夢」西暦2035年4月24日

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第257話「世界樹の夢」

 ~天上院姫、幼少期。時系列不明、とある公園にて。~


「ねえ知ってる? お空にはねえ! でっかいお城があるんじゃよ!」

「へえ、考えたこともなかった。浮遊した城か、なんて幻想的なんだろう」

「えへへー! すごいじゃろ!」

「ああ、凄いな。すばらしい」

 そこには京都はあるのだろうか? いや、それは私が青春を過ごしたゲームの話だったな。と、ふと思った。

「あのねえ! そのお城の上に立って、お姫様になるのが私の夢なの!」

「夢、か。いいな。そのためにはそのお城に立たないとな」

「でねー! そのお城は100階あってー100回! 夢を叶えないとのぼれないんじゃよー!」

「はは、ずいぶんと多い夢だな」

「あー! 人の夢を笑ったらいけないんじゃよー! 王様にいいつけてやるー!」

「はは、そいつはおっかないな」

「あー信じてないでしょー?」

「……、ふふ。いいや、信じてるさ。信じてるとも……」

「おぉ~ん?」

「ふふ」



 仮想世界。浮遊城『スターバーストストリーム』の崩壊が始まった。

 同時に、システムのメンテ中と言うことにして。プレイヤーは全員ログアウト状態にしている。


「アレが何年の何月何日だったのか、今では覚えとらんな……」

『人は伝承や、記録に残しておかないと忘れる生き物だ』

 天上院姫とシアンは、天空。文字通り天上から浮遊城を見上げていた。浮遊していた。

「お姉ちゃん、とシアンさん。だっけ、初めまして」

『お互い苦労するな、シアン』

 天上院咲とマゼンタもその場所、天井へと辿り着いていた。

 お互い、美味しい見せ場は浮遊戦空に取られた形だったが。それもこれで幕引きと言えば幕引きだろう。

 天上院姫は意識的に、今回選択を作ることにする。

「言い忘れていたな。マスター承認試験、不合格。おめでとう、合格は浮遊戦空に決まった」

 ヤエザキは心残りのようにヒメに言う。

「良いの? 第50層までで……」

「良くは無い、だが……悪くない結末だったかなと納得することは出来た。十分だよ、さて。これが最後のクエスト、選択だ。3つルートを用意してある」

 言って、ヒメはヤエザキにステータス画面を飛ばした。


《最終クエスト。世界樹『シスターブレス』をどうしますか?》

《1、崩壊させる》

《2、再誕させる》

《3、復興させる》


「え……」

「まさかまた浮遊城の崩壊クエストだと思ったか? 今回は違う、この広がり繋がる全ての世界をどうするかという最終クエストだ」

 それはつまり。

「花はいつか芽吹き、花開き、そして種を残して枯れる。今回はそれがちょっと速まった事だ、寿命は何にでもある」

 結論から言うと。

「この樹はもう寿命じゃ。失敗と言うよりかは、ちゃんと成功しとるんじゃが……。いかんせん、な……」

 あまりにも突貫工事が過ぎたとは思っていた。

「もし、崩壊したら?」

「この世界に繋がる全てが消える、私の得意なリセットだ。ま、その時はライトキューブの中の人。シアンもマゼンタも消えるがな」

「それは、……あんまりじゃ」

「サキ、このデジタル世界に永遠なんてない。私達人間も含めて寿命はある。が、それらを受け継ぐことは出来る」

 この指先一つでそれが決定してしまう。

「ま、終わり。と言えば最高に終わっちゃうけどな」

 苦笑のように冗談じゃない笑いを言う。ヤエザキは答える。


「まあ、崩壊させるは。皆ヒヤヒヤしてるから無いとして……」


 そりゃそうだ。今までのデータを無に期すなんてとてもじゃないが出来ない。

「問題は再誕か復興か、か……」

 人間で例えれば子孫を残すか、延命をするかのどちらかの所作をしなければならないということだ。

「延命には限度があるし、やぱり安全なのは……再誕かな……」

 安全な道を選ぶヤエザキ。

「ま、だろうな。タンポポの綿毛のように、この世界を構築するのが夢だったわけだし」

 自然はそうやってサイクル活動をする。

「私1人のものでもないしね、じゃあ2番の再誕させる。で」

 今度は自分の意思で決める。

「了解した。んじゃあ最後に、新たな世界樹に名前を付け終わったら。全ゲームを再起動とバージョンアップをさせる。では我が最愛の妹よ、この第2の世界の名づけ親になってくれ」

「うん」


《2の再誕させるを選択しました、枯れる世界樹に変わって。新たな2代目世界樹に名前を付けてください》


「名前か~、どうしよっかな~」

「……」

 ヒメは口を挟まない。

「ユグドラシルじゃ、普通過ぎるし……。かと言って結構な回数名前呼ぶ事になるよね~……う~ん」

 結局、考えは一つしか浮かばなかった。

「じゃあ2代目世界樹『クロニクル』で」

「年代記。か……、なんか普通過ぎるな」

「皆が呼ぶんだから普通で良いの!」

「じゃあ、OKボタンを押すのじゃ」


《2代目世界樹『クロニクル』の名前にして、全ゲームを再起動しますか? はい/いいえ》


 ポチ


《はい》


《選択が決定されました、再起動します……。》


 そして、何かの音がゆっくりゆっくりと。静止する音がした。


《ヤエザキとヒメはログアウトしました。》


 現実世界、天上院家。

 ゆっくりと起き上がる姉妹2人は互いの眼を見つめる。

「んじゃ、あとは現実のことじゃな」

「そうだね」


 現実は今日もポカポカ太陽が照らされていた。

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