表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
少女は異世界ゲームで名を揚げる。~ギルド『放課後クラブ』はエンジョイプレイを満喫するようです~  作者: ゆめみじ18
第11章「浮遊城の夢」西暦2035年4月24日

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

290/789

第253話「生きる伝説の英雄×2」

 ハイファンタジー・オンライン。A1エリア、プレイヤー街。

 不確かな道をグラつきながら歩いていると、二人組の男性と出会った。

 少女ヤエザキは尋ねる。

「あ、あなた達は確か……」

「ギルド『非理法権天』の秘十席群ひじせきぐんだ、湘南桃花と腐れ縁って言えばわかりやすいか?」

「ギルド『四重奏』のブロードだ。今は将護三ッしょうごみつやって名乗ってる。久しぶりだな、サキ。イフリート戦と豪華客船以来かな?」

 男性2人に挟まれるヤエザキ、若干きょどる。

「おお、流石に久しぶりすぎて忘れてました。イフリート戦ってほぼ1年前ですしね」

 そりゃそうだと、笑う男子2人組。片方は大学卒業の社会人と、高校2年生ぐらいの学生だ。ヤエザキは中学2年生。

「お互い色々あったな」

「何だかんだであっという間だったよ」

 ヤエザキは「そうですね」と言ってから。

「そうだ! 3人でお茶しませんか! スッゴイ話したいことがあるし!」

 大らかに明るく振る舞っているが、三ッ矢には【おみとおし】だ。

「それはそのキューブの話題か?」

 動揺と共に、きょどるヤエザキ。

「あ……! えっとその!?」

『……』

 フラクトライトキューブのマゼンタはダンマリである。

 表舞台に出て来た群は言う。

「お前ら喧嘩すんなよ?」

「わかってるよ、ことが複雑だってことぐらい」

 男性2人と和気あいあいとお茶の間トークという夢の花を考えていたヤエザキだったが、どうやら状況整理の方に花が枯らされそうだ。

 夢み心地のふわふわ足が、現実色に塗り替えられるヤエザキ。

「え、何? シリアス系やるんですか?」

「クール系2人じゃ場も冷えるわな」

「ムードメーカーは戦空が担当だったからな」

 戦闘狂なあの疲れる男性がムードメーカー……。

「え、あの子がムードメーカー? ただのガキじゃないですか」

 そうヤエザキに言われるが、クール系2人にとっては評価が違うらしい。

「あいつは俺達にとっては光だ」

「変わらねえよなあ、良くも悪くも」

 ヤエザキは知らない、戦空がこの2人の闇を晴らしてくれた光だということも。

「むう~……?」

 汚れ始めたヤエザキは知らない。男2人にしかわからないような歩調で、2人は言う。

「お互い綺麗になったな」

「ホントにな」

「なんのお話ですか?」

「バカは変わってもバカだったって話。ちゃんと説明すると【裏の裏は表だった】って話さ」

「?」

 お互い笑いあう2人。どうやらヤエザキとマゼンタと同じように、秘十席群と将護三ッ矢との間にも。軽くはない、大きな溝があって。埋めねばならない感情と自覚してるらしい。


 ヤエザキは知らない、この男2人の素顔も。

 マスター試験のライバル、戦空せんくうの真の実力も。


 データと化したマゼンタは知っている、そこにはもうどうしようもない壁があることも。

 その壁を軽々と超えてしまう戦空の実力も。



 レストラン屋。

 パンケーキ、ミルクシェイク、ピザにお茶、そしてエビ天の乗ったそば。

「俺はカニと牛丼な、他に何食う?」

「フライドチキン、肉まん、チョコに、あーあとお団子だな。ヤエザキは何食う?」

「えーっと~……う、鳥龍茶ウーロンチャ?」

「遠慮するな、食える時に食っとけ」

「や、だってココ。ゲームの中だし……」

 群と三ツ矢にとっては、割とどうでもいい。些細な差らしい。

「一応言っておくと、味はあるぞ?」

「そうそう、本物より薄味だけど。あ! すみませんポテトもください!」

 もはや普通に会食だった。ヤエザキは本当にオシャレにお茶! と言う感じが良かったのだが、ガッツガツ食う。遠慮なんて無かった。男飯と言う感じのラインナップに困るヤエザキ。

「飯が無いと会話も進まないぜ?」

 男子と会話はしたいヤエザキ、それも普通の男子じゃない。モブでもない、英雄と呼ばれた男性だ。


「じゃあ……話題いいですか?」

「どうぞどうぞ」

「ハムッ」

 美味しそうに食べる2人をしり目に、鳥龍茶だけで勝負に出るヤエザキ。

「えっと、まず。三ツ矢さんは『マスター』なんですよね? 群さんは……称号とかあるんですか?」

 群から先に話し出す。

「俺は桃花と同じ一般人だ、顔は広いが秘密主義で表舞台じゃ何にも話さないでやって来た男。て所だろう」

 三ツ矢は「何やったかなー?」と頭に疑問文を浮かべながら答える。

「俺はログに残らない所で色々活躍した感じかなあ~」

「ログに残らない?」

 その単語に〈エボリューション・白〉を思い浮かべたが、どうやら毛色が違うらしい。

「何て言えば良いのかな……、そう【オフラインゲーム】をやってたんだよ。だから噂的なログには何も残ってないし、非公開なデータの中でしか俺の記録は残ってないから。新しいPCに買い替えるときに一緒に捨てた。だからデータは残ってない」

「それで何で初代マスターなんですか?」

「う~ん。上手く言いにくいんだが、オフラインだけどリアルの公式大会で優勝した。と想っといてくれ」

「なるほど、とりあえずオンラインイベントではないんですね」

「そう、オンラインじゃないんだよ。俺はな」

 ヤエザキの右手に装着されているフラクトライトキューブを観て言った。マゼンタはここで口を開く。

『お前の、いや。三ツ矢の隠しデータを元に、俺がオンラインでゲームをしてたのは。そう、紛れもない真実だ』

 マゼンタは自分の現状を正確に白状した。ヤエザキは薄々感じていた違和感を口に出す。

「じゃあ三ツ矢さんのコピーAIがマゼンタさんなんですね……」

 三ツ矢がそれに補足する。

「たぶん、【俺より俺してる俺】って感じなんだと思うぜ。今は、もはや別の人生を歩んでるが」

『そこは否定しない、俺はオリジナルよりも精神年齢的には長く生きてる』

 群はブチリとフライドチキンを食う。そしてメタ的に言う。

「別にキャラが分岐して別人格になって、勝手に動き出すなんて事象は今までもあっただろ? そこまで深く考え込むこと無いと思うぜ」

 三ツ矢が食い下がる。

「群さんはそれで良いかもしれないが。俺は目の前に俺のデータがあることに、違和感しか覚えないよ」

「つっても。人格が生まれちまったもんは生まれちまったんだ。今更削除なんて出来ないだろ、イヤ。出来たとしてもするべきじゃないし、したくない。そうだろ?」

『綺麗に片づけないならその考えで間違ってない』

 ヤエザキが持ち出した会話だったが、やっぱりつついたらドえらい回答のが出て来た。

 はてさて、どうしたものか。

「……、……」

 群が援護射撃をする。

「とりあえずヤエザキ」

「はい?」

「俺達が居ない間、よく頑張ったな。よく耐え忍んだと思うよ」

「いえいえ、私は好きでお姉ちゃんのゲームを遊んでるわけですから。それでどうします? ……お姉ちゃんと会いますか?」

 どうやら三ツ矢が最も話したい相手の名前はお見通しなようだ。

「この機会を逃したらまたいつ話せるかわからない。……頼めるか?」

「わかりました、では呼び出します」

 こうして、男子2人・女子2人とAI型男子2人になったレストランのテーブル一角だった。

 と、しようと思ったが。

「え!? 来れない!? 大統領とお話し中!? そっかー、うんわかった。はーい」

 と、なって中々ヤエザキの思う通りにはいかなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
・よければブックマーク、評価、感想などよろしくお願いします!
・こちらも観ていって下さるとありがたいです。
名を上げる。ボカロBGM:最終決戦~ファイナルバトル~
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ