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少女は異世界ゲームで名を揚げる。~ギルド『放課後クラブ』はエンジョイプレイを満喫するようです~  作者: ゆめみじ18
第11章「浮遊城の夢」西暦2035年4月24日

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第247話「生き恥と夢の速度」

 失敗したのは自分のせいだと悟り、逆ギレしそうになるヤエザキは必死に感情を抑える。

 流石にこのままじゃまずいと思ったヤエザキは。気合を注入して活を入れる。援護要請を出す事に決める。

「ねえ、全クリ攻略組さん達。歌舞伎町ってどこだったっけ……?」

「え? そりゃあお前。新宿駅のすぐソコだよ。……て!? お嬢!? あんたまさか!?」

 どうやら、毒をもって毒を制する方向に舵を切るつもりらしい。

「【ヨロズ屋】に頼もう、ここは第三層だし? あいつらも因縁あるだろうさ。これ以上ないってくらい役得なステージじゃない? 新宿駅決戦」

 攻略組がドン引きで引いた。

「真っ黒ヤエザキだ」

 バケモノの幼女のように笑うヤエザキ。

きんもあるしたまもあるし、何だったらすずもあるし。新宿で因縁を全部清算しちゃいましょう! そうよ、このステージは全編ギャグです、て体で行けばイケルはず! クハハハハ!」

「感情に毒が廻ってるよ!?」

 戦空は燃え上がる。

「うちはやるぞ! 夜鈴はうちの仲間だ! 絶対ぶっ飛ばす!! 何をすればいい!!」

「じゃあ、私の手足になりなさい?」

 ヤエザキちゃんキャラ変わってるよ……。

「野郎ども今度こそ本腰入れていくぞー! カブト狩りじゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」

 キャラ違う!? 相手山羊!? てかキレてる!?

 スイッチ入っちゃったかもしれない。

 だが、それでこそ。――だ。


「でも金魂ファイナル映画のアフレコもう終わってますよ?」


「…………?」

 空気が固まった。

「ほら、ここ。ネット。昨日です」

 ここだけ時空が現代。恐る恐るスマホをのぞき込むヤエザキ。

「釘宮さん、温かい雰囲気を感じて。……終わった?」

「終わってますね」

「終わってるよ」

「終わったな」

 ヤエザキはバカヤロイドのように叫ぶ。

「じゃあ書き直しは!? 再アフレコは!? リアルタイムライブは!?」

「無理だって!! 金魂スタッフにそんな予算なんてあるわけねぇ!!」

「ふざけるなあああああああああああああああああああああああああああ!!!!」

 全クリ攻略組さんが肩をポンと叩いて「諦めろ」と言う。

「やめとけ。終わったものは終わったんだ。長引かせたくない気持ちは、……解るだろ?」

 これ以上は恥の上塗り……。

「なんて……あまりにも……あっけない……グウウウウウウウウウウウウウウウ!!!!」

「別の方法を考えよう。仕切り直しだ」

 ヤエザキの株価は更に下がった。


「? 結局どうなったんだ? うちどうすればいいんだ?」

 凪ノ唄夜鈴はログインした。

「あんたらはあんたらの冒険しなさい、以上」

「?」

 凪ノ唄夜鈴はログアウトした。

「????」



 全クリ攻略組は提案する。

「とりあえず、品川駅でセーブしようぜ。また東京まで戻るの困るし」

「おk」

 ――――。

 ……。


 ヤエザキは、これまで培ってきた流れの操作方法について。戦空に教える。伝授する。


「何もしなければどうということは無い?」


「そう。私達が真剣になれば皆も真剣に流れを作るし。私達がダラければ皆もダラけてくれる……、あ。これは攻略組のことね」

 そもそも、ヤエザキと戦空では『体感速度』はかなり違うのだ。ヤエザキの方は『凄く速く』、戦空の方は『凄く遅い』その齟齬を認識してからでないと前に進めない。

 例えば、ヤエザキと戦空の畑はかなり違うのだが。今はヤエザキの庭なのだ。

「どゆことだ?」

「答えは単純。自然体に動けってこと」

 不自然に動かず。流れにそって。頑張らない。

「どうしてそういう答えになるんだ?」

「システム通りに動けって言ってるわけでは無いんだけど。ん~なんて言ったら良いかしら……」

 少なくともヤエザキは、人気取りで教えているわけでは無い事だけは解る戦空。

「あなたは理由なんていらない、殴るべき奴を殴る。て、言うのかもしれないけど」

「うん」

「私は、暴力はよくない。ちゃんとルールにのとって、遊んだほうがフェアでしょ? て言うの。サッカーでも、悪いプレイをする人は居るでしょ? その人をムカつくからって理由で殴ったら?」

「レッドカード」

「そゆこと、あなたは理系と文系にしか分類できないと思ってるかもしれないけど……」

「うん」

「ここでは、【物は言いよう】って言うのよ。同じことでも言い方によって、よくも悪くも印象が変わる。ここはそういう世界なのよ。風使いさん」

 さっきまで思いっきり印象が悪かった人とは思えない言いようだった。

「それは難しいのか? 簡単なのか?」

「それはあなたの、さじ加減で変わる」

「……」

「はっきり言うわ。あなたの言動行動はきっと勇ましい。でも全員にちゃんと説明したって納得できない人は居るの。そのことだけは忘れないでね、一応先輩からの助言」

 戦空は違和感を覚える。何だかわからないこの気持ちを言葉で表現できない。

「なんか……夜鈴の時と違うな」

 ちょっと間が出来る。

「それはきっと、夜鈴ちゃんは夢を追ってた人だから。私は夢に追われてる人だからよ」

「うちは?」

「ん~、きっと。速度とは関係のない人ね」

 ヤエザキは呪文のように「速く書くには上手くなる、上手くなるにはいっぱい書く、いっぱい書くには速く書く」と小さく呟く。

「夢を膨らませる人。ま、正解かはわかんないけど。私はそう感じたってことで」

「ふーん、流れるってそういうことか」

「理解、……いや記憶できた?」

「ああ! お前は面白い奴だってことはわかった!」

「だてに訓練してないわよ」

 と、ほくそ笑む。


 もしかしたら、ヤエザキと戦空の基礎パラメーターよりも。重要な事を話したかもしれない。

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