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少女は異世界ゲームで名を揚げる。~ギルド『放課後クラブ』はエンジョイプレイを満喫するようです~  作者: ゆめみじ18
第11章「浮遊城の夢」西暦2035年4月24日

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第236話「新浮遊城・第1層」

 レベル1のデスゲームと言う割には、フィールドの敵はまるで歯ごたえが無かった。ヤエザキが成長したからだろう。


 ヤエザキの弱点設定は一応『左足首』に設定、理由はボールを蹴る時の軸足が左足だから。そこをケガすると素直にボールを蹴れなくなる。という自然な合理的な弱点からだった。

 と、さっさか最前線へ進んでいたが。見知らぬ声がリストバンドから聞こえてくる。

『油断するな、ここは旧浮遊城とは違うぞ』

 フラクトライトキューブ・リストバンドが喋りだした。ちょっと低い声だけど、感じ的には200歳の人間と話をしている感じだ。

「おっと! てコレ喋れるの!? 感じ的に男の人っぽいけど」

 そのことにはツッコまずに話を続ける、本人も話す気が無いのだろう。

『外見こそ旧式のままだが、この城は。勝手にアップデートされるように出来ている。つまり――』

「つまり?」

『今のお前に最適なレベルにアップデート済みって事さ、だから……』

「「「「うわああ!?」」」」

 と、その時。前線プレイヤーの悲鳴と共に。エリアアナウンスが流れる。


《第1層フロアボス『アインクラッド』が出現しました! 迎撃可能です、プレイヤーの皆さん楽しんでください》


「あれって……アナザーヤエザキ!?」

『いや、よく観ろアレは『アナザーサキ』1ランク格下の怪物だ。だが俺からしたら……旧浮遊城、第100層のラスボスだ』

「ゲッ! つまり旧浮遊城のラスボスが新浮遊城、第1層のボスってこと!?」

『俺からしたら、無意識の天上院姫と戦ったんだ。今度は意識的な天上院姫と戦える、願っても無いチャンスだ』

「あなたからしたらそうなんでしょうけど。私からしたら、どっちにしろいい迷惑なんですけど~……」

『とは言えゲームは受けたんだ、ならやるべきことは一つだろ?』

「ま、……うん。そうね……エンジョイしなきゃ」

 と言うわけで、フロアボスは。エリア内に入って来たプレイヤー達を迎撃し始めた。

 ヤエザキもその後ろに続く……。ゲームはまだ、始まったばかりなのだから。


 ちょっとボスの方へ向かって駆け走ったあと、思い止まって立ち止まるヤエザキは、フラクトライトキューブへ顔と声を向けた。

「ところであなたの名前は何て言えば良いの?」

『……マゼンタだ』

「? 意味はなに?」

『……【鮮やかな赤紫】、ヤエザキに解りやすく言うなら。【桃色】に近い』

 その一言で。あぁ、湘南桃花関係の人なんだな。というか分岐? の人? なのかなと言うことは解った。声は男性だけど。

「解った、じゃあ。これからもフォローお願いね」

『あぁ、受けたまわった』

「で、どう切り崩せばいいの?」

『そこまでおぜん立てするつもりはない。君を縛るものはもう無いんだ、だから君の好きにすればいい』

 フォローも居る、前線組もいる。地図もある。そして街には情報がある。そして何よりこのゲームは【ログアウト可能】なゲームなのだ、決定的に違うのだ。だから私が取りたい行動は……。

「う~ん。わかった、じゃあここはいったん引くね」

『お、』

「引いて、街のサブクエストでも受けてフェアリーの羽でも手に入れるわ。その方があとあと動きやすそうだし」

『なるほど。賢明な判断だ』

 まだ慣れない、まだ慣れない。と言うつもりはもう彼女にはないが。それでも疲れたら休みに戻るという、ゆとりのある行動は。今の彼女には取れることが何よりも重要だった。

「まずは、家とか羽とか。地盤固めをしてからダンジョンにのぼります! 先は長そうですし。ということで! 今回は下見!」

『うん、好きにすればいい。君らしいよ』


《▼ダンジョンから脱出しますか?》


 ステータスが出たので、彼女は〇を押した。前衛も後衛も気になるけど、まずは自分の好きなように行動・エンジョイすることにした。

 そう、昔のように。



「おろ、もう帰って来たんだ。速いねえ」

 受付嬢、湘南桃花はすっとんきょうな声色で返してきた。

「えぇ、なんか緊張しちゃって。ちょっと下見ってことにしました」

「ん。良いんじゃない?今までなりふり構わないで突っ走って切り開いて来たんだ。1回ぐらい慎重に事を運ぶくらい良いと思うな」

『お前の場合無計画過ぎると思うんだがな』

「ん? 誰? 今どっから声がした?」

「ああ、これです。このリストバンド、喋るアイテムです」

 どうやら喋るアイテムはかなりのレアらしく。湘南桃花も知らなかった、いや。最も、このフラクトライトキューブ・リストバンドという代物は。世界でただ2人、天上院姫と天上院咲以外は持っていないのだから。

 ただのアイテムではないのである。本当に貴重品なのだ、本来複製も出来ない。

「ふーん……。でも私の冒険は100%、計画通りに事を進めたはずなんだけどな~」

 昔の冒険の話である。

『ロマン溢れる破天荒さは、身に余るものだったと思うけどな』

「あの時は通信機器も脆弱で、情弱だったと思うけど。おかげでかなり集中して、しっかりした計画を立てれたと思うけどな」

 その辺はヤエザキと比べても、こと集中力に限って言えば良かったのだろう。かといってあの頃に戻れない以上集中力を鍛えるか・自ら選択肢を削る以外、当時の集中力を保つことは出来ない。それしかヤエザキには出来ないのが歯がゆい。

「まあそれは置いておいて。この後どうするの?」

 言って桃花はヤエザキに返答を求める。

「まずは住居が空母船になってるので、それを降ろします。それからお家周りを確認してから、妖精の羽のクエスト受けたいです」

「あいよ、解った。準備しとく」

『ついでにと言っては何だが。100層分のエリアマップを製作してくれないか?』

 言いたいことは解るのだが、桃花のキャパシティを大幅にオーバーしている依頼だった。

「100層分は難しいなあ~。10層分ならやるけど」

『無いより有った方が良い。頼む』

 乗りかかった船、というより置き去りにした船だ。そのまま放置を決め込むのも忍びないと感じる湘南桃花嬢。

「ん~解った。じゃあ暫定の簡易版。第10層・第20層・第30層・第40層・第50層・第60層・第70層・第80層・第90層・第100層。合計10枚分のエリアマップは、私が責任を持って作らせてもらいましょう。良かったねヤエザキっち、攻略本が手に入るよ」

『助かる』

「ありがとうございます」

「んじゃ、その間お時間をもらおうか。ヤエザキっちはプレイヤー街に移動かな?」

「はい! よろしくお願いします!」

「うん、んじゃ。またあとでね~」

 そう言って、ヤエザキはギルドの家を出て、電車に乗り。プレイヤー街へ行くのであった。


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