番外編21「光と闇の狭間に居る者たち2」
西暦2035年4月24日、朝空。
現実世界、神道社の社長室。部屋には天上院姫の姿しか無く、鍵はロックされている。
朝空を見上げる天上院姫は、休息の合間に2つの人影が歩み寄る……。
歩いて来たのは、今回も白い衣を纏った秘十席群と、黒い衣を纏った湘南桃花だった。
姫の衣は特に意味は無いが、個人的趣味でまたもや蒼色。
「お前らは相変わらず生っぽいなあ~」
「まあそう言わず、今じゃなと出来ないこともあるからさ」
「あとで意見言ったところでもう遅い、てなっても困るからな」
姫は観念したようにため息をつく。
「これも仕事か……、鶴の一声にならなきゃいいが。で、今回の件はなんなんじゃ?」
群と桃花は互いを見やり、顔をうなずかせてから言う。
「政治家、今泉善次郎の件だ」
姫は、やっぱりその件か。と、またもため息をつく。
「こっちは日本の反対側、アメリカまで視野を保たなければならないわけだが……。それで、その小さな島国での要件とは?」
桃花が言う。
「まあ色んな意見が、情報さくそうするのは仕方ないんだけど」
群が言う。
「お前が、政治家。今泉善次郎に求める政治の在り方とか。指針を示して欲しいってところかな」
姫が「は~」と生っぽく言う。
「やっぱ生々しいな、まぁあと1時間後とかじゃ遅いのは解ってるが……」
それくらい、今泉善次郎の政策方針が左右されてると言う事だろう。今言えることを言っておかないと今後に大きく影響する。それも数年単位で。
群が言う。
「姫の思惑は読めるが、……やっぱ察するのと。言質取ってるのじゃちがうからな」
姫は「わかってるわかってる」とこれまた投げやりだ。投げやりだが責任のある職務である以上、逃げ出したりはしない。
で、桃花が本題に入る。
「極論、今まで覇権を取ってた『四重奏』。最近特に力を入れて育ててる『放課後クラブ』。実質ブレインな私達『非理法権天』。この3組を天上院姫はどこに、政治と言う名の変換された職種に。今泉善次郎を任せる?」
姫がバカバカしく言う。
「ほんと、お前ら嘘が下手だよな」
「お互い様よ」
「お互い様だ」
一拍、間を置いてから姫は言う。
「ん~……どこも愛着あるからなあ~。1組に数年を任せるかもしれないと……」
桃花と群は交互に言う。
「で、社長としての判断は?」
「神様としての意見は?」
(おい、どっちも言うのかよ……と。少し頭痛に悩まされる)
「……。『四重奏』は戦闘メイン、『放課後クラブ』は冒険メイン、『非理王権天』は司令塔メインだ。トップ・頭は、非理法権天にした方が。動きやすいだろうな、あとは鶴の一声にならないように、ブレーキマンが居ると望ましい。あとは個々人の判断だろうさ」
桃花が聞く。
「それが社長としての意見?」
「まあ、現実世界よりだったらな」
群が聞く。
「異世界としては?」
「オーバーリミッツの件があるから、相変わらず『四重奏』をトップに置いておいた方が。未来予測で大きな軌道修正ができそうだけどな。変わり映えしない、冒険や新鮮さが足りないとは思うが」
桃花が聞く。
「今回の件で今泉善次郎に求めるものは?」
「誰かが言ってたが、安定財源は確保できたんだ。今度は、その財源を何に使って何に生かすか。ていう機関を作って運用しないとな。とは思う」
私だけを言えば、あとは座椅子さえリッチにすればほぼほぼ満足なんだけどな。とは言わない。
「こんなところで良いか? 一応目標や指針は言ったつもりだが」
群が「最後に」と付け加える。
「アメリカ。ジョン・サーガにはどう動いて欲しい」
「う~ん。善次郎がどう立ち回るかは知らんが、サーガとは関係良好にな。喧嘩してたらこっちが冷や冷やして『なんとかしなければ』て、変な労力が行く羽目になる」
言質は取れたので、満足そうにその場を後にする2人。
「うん、ありがと」
「じゃ、【本職】の方も頑張れよな」
「おお、なのじゃ」
そういうと。また瞼一つの瞬き一つで消えた。
「……、ほんと。あいつらおせっかいだよなあ~……」
天上院姫の早朝は、早々に忙しかった。




