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少女は異世界ゲームで名を揚げる。~ギルド『放課後クラブ』はエンジョイプレイを満喫するようです~  作者: ゆめみじ18
第10章「2年生編・EXイベント」西暦2035年4月15日

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第233話「難易度Bクエスト1」

 天上院姫/農林水サン/神道社社長は考える。


 人間は、いつか必ず死ぬ。

 死んだ後にいくところは、無である。

 死んだ人間は生き返らない。

 

 この大原則がNPCに対しても反映されてしまったのが、今回の案件の一番の落とし穴だったのかもしれない。

 とにかくこの世界というものは。

 『前の時間に巻き戻す』等の、直接時間に作用する類のものを嫌うらしい。だからNPCにも死んだらデータをリセット、ではなく。何らかの形で廻るように、流れの向きを変えれば。この問題は解決する、はずだ。

 はずだ、というのは。やってみないと解らないと言うこと。実際にどうなるのかは見当もつかない。

 ちゃんと【行って】ちゃんと【帰ってくる】、この一連の動作・循環をNPCにも組み込ませれば。問題は解決するはずだ。


「『NPCの輪廻転生化』か~……、ちゃんと勉強しないとな」


 本を読んで対策を練らないと、ここから先はどうしようも対処の仕様がない。解らない知識は、理解・分解・再構築の真理を体現できない。

 よって、『陰陽五行思想』の時のように。一応巡廻して行ったこの世界を、もう一度組み直す必要がある。動物達が一杯いる、幻想の世界でここまで出来たんだ。

 【リセットのないNPC化】も出来るだろう、そこで生を謳歌した。生きた魂の為にも、これは科せられた宿題だ。

 運営長が告げ口をする。

「今の世界観でも十分回る気がしますが? 強化・賢術・陰陽・精神・未覚の世界観」

「それは戦闘。特殊能力、超能力に利用した術だ。NPC・AIの生きた魂に当てはめていいのか疑問だし……実例が無い。まさに手で雲を掴むような話だ、科学的にな」

 社長は学者まがいなことを、熟考するようになってしまった。何にしても、ここから先は少し勉強しないと。白い紙に何か書いても意味ないと判断したようだ。

「ここが限界かな。しばし、休暇を頂くよ。勉強してくる」

「かしこまりました」

 今回の問題は根が深いようだった。



 西暦2035年4月23日。15時00分、放課後。

 仮想世界、ヤエザキはHFOの中へログインした。


 早速、ギルド広場。受付嬢・湘南桃花の所へ行く。

「すみませーん、NPCと会話できるイベントを探してるんですけど」

「おーっすヤエザキっち。NPCと会話か~それなら今はこれしかないね」


《クエスト名『NPCの霊魂の行方を追え!』 難易度B》


「難易度Bですかー」

「一応戦闘系のクエストじゃないし、追って観るだけなんだけど。今さっきシステムが作ったクエストだから、まだクリア者が居ないんだ。未踏クエストだからB判定ってわけ」

「今までの先駆者が既にいる、踏破クエストとは違うんですね」

 踏破クエストとは、他の冒険者が踏破し終わったクエストを追体験することが出来るクエスト。大部分がこの踏破クエストに当たる。

 未踏クエストとは、他の冒険者が未だ踏破していないクエストを指す。ウイキにも攻略情報は載っていなく、難易度はワンランクぐらい上がってしまう。

 桃花は軽い気持ちで談笑する。

「ヤエザキっちならEXイベントをこなしたことあるから、未踏でも楽勝でしょ」

「じゃあこれを受けます」

「あいよ、じゃあ受けたまわった。んでこれが前情報ね」


《クエスト名『NPCの霊魂の行方を追え!』 難易度B》


【カルマタイプ】

 隠しパラメータなので基本的にプレイヤーは確認出来ない。

 カルマとは、心の深い層に蓄えられたデータ。自分の為した行為、身業・口業・意業のカルマ。印象が痕跡として深い意識に残る。

 そして、その残存した痕跡を原因として、条件が整うことで現象・結果を生じさせる。このカルマの力が輪廻転生の原動力です。

 善いものが蓄積されれば、その反映で善い現象が生じます。悪いものが蓄積されれば、悪い現象が起きます。

 これは、善いことをすれば善いことが返ってきて、悪いことをすれば悪いことが返ってくるという現象です。

 善因善果、悪因悪果。因果応報ということです。


 これでNPCの死後。極善、善、中立、悪、極悪のタイプが決定され。

 そのタイプごとに、魂の廻り方が違ってきます。ですが最終的に、現世に帰って来ることは同じです。


◎NPCのカルマタイプによる、死後の輪廻転生の現象。

 極善……生命として再び誕生する。まれに記憶を引き継いでいる時がある。

 善………果実に転生し、それを食べた動物の栄養となる。

 中立……大地に転生し、吸収されて食物に姿を変える。

 悪………雨に転生し、再び現世に降りる。

 極悪……焼かれ続け、空気・幽霊・怨霊となる。


▼《ヤエザキはスキル〈魂眼こんがん〉を覚えました!》


 〈魂眼こんがん

 魂は精神を支える気。出来ること。

 1、NPCの霊魂の行方を観ることが出来る。

 2、カルマタイプの可視化が出来る。カルマタイプは、極善、善、中立、悪、極悪に分けられる。



「ほうほう、スキル〈魂眼こんがん〉ですか。〈鷹の眼〉とは違うんですね」

「〈鷹の眼〉は物理的に上空から景色を視て情報を得るスキルだからね。魂の行方を観る〈魂眼〉とは元々役割が違うのさ。むしろこれが無いとクエストすらできないってことで、難易度B判定だね」

 納得出来たヤエザキは、そのままクエストを受けることにした。

 早速〈魂眼〉を使用してみる、すると。湘南桃花のカルマタイプは『中立』と出て来た。ちなみにヤエザキのカルマタイプは『善』だった。

「プレイヤーに対してもカルマタイプって有効なんですね」

 隠しパラメーターなので、実際に観たいと思った人に対してしか出来ないらしい。するとステータスアイコンから、詳細なデータが出て来た。


《湘南桃花、カルマタイプ『中立』判定。大量の自殺願望はあるものの、それと同時に大量の生存願望があり。プラスにもマイナスにも上昇値が高いので、平均化すると中立に》


《ヤエザキ、カルマタイプ『善』判定。善いおこないが高く、本来なら極善だが。決闘によるプレイヤーキルならぬ、ゲームマスターキルの経験があり。更にリアルワールドで病院送りにした。以上のカルマから、ランクを一段下げ。タイプは『善』判定になる》


 どうやらかなり前の時期のデータすら、蓄積して判定対象の判定材料になるらしい。ヤエザキは桃花に質問をする。

「これって、死んだらログアウトするだけなのに。カルマタイプって居るんですか?」

「何も輪廻転生の霊魂だけがカルマタイプの使い道じゃないんだよ。善いことをすれば善いことが返ってくる。自業自得。つまりNPCやその他、運の要素で。帰って来る見返りが違うんだよ」

「てことは、NPCとの会話内容・アイテムドロップなどに変化があるってことですか?」

「そういうことになるね。でも今回は霊魂の追跡だから、まあ頑張ってね~」

「わかりました!」

 こうして、ギルド広場を後にして。外に出るヤエザキだった。

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名を上げる。ボカロBGM:最終決戦~ファイナルバトル~
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