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少女は異世界ゲームで名を揚げる。~ギルド『放課後クラブ』はエンジョイプレイを満喫するようです~  作者: ゆめみじ18
第10章「2年生編・EXイベント」西暦2035年4月15日

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第222話「四重奏VS放課後クラブ3」

 南陣形側:レイシャVS前衛・エンペラー【ロボット】&後衛・ミチビキ【空母】


 レイシャは四重奏の三人を見てからハシャいでしまっている。

「いやー皆のっけからハシャいじゃってるねー。無理もない、一週間待ってたわけだからね。この瞬間を」

 アレやろうコレやろうね、と皆で予行練習したのが楽しかったらしい。

 それほどまでに、今回の一戦は特別なのだ。

 そんな格下である、放課後クラブのエンペラーとミチビキだったが。

「ただのおまけ、だと思ってもらっちゃ困る」

「俺たちはクリスタルウォーズと、ブルーマウンテン・オンラインのランキング1位だってこと教えてやろうぜ」

 「と、言われても」とも思うレイシャ。

「片方はロボット乗ってて、もう片方は空母に乗って武装しちゃってるのは。男の子としてはどうなの? 主に正々堂々な精神的に」

 片方はロボットをウイーンガシャンと動かして、もう片方は空母の主砲っぽいものが産声を上げている。

「お前達の凄さを、正当に評価した結果がコレなんだから仕方ないだろ」

「諦めて勝たせてくれたら、こんなに苦労はしねーよ」

 四重奏の他の3人は、速くもバトルに突入しているのに。ここの三人はスローペース、むしろ雑談に入らないで戦闘に入った3人組の方が異常なのだが、ここでは割愛しておく。

 特にリスクとスズはペース配分などは考えない質なので、言っても意味ないことは解っている。

 相談する間もあるし、相手は言い方は悪いがマヌケだ。今のうちに作戦を練っておこうと話す放課後クラブの男子二人。

「どうする? 先に攻撃するか?」

「いや、どう見ても他の3人組のペースが異常だ。ここは情報収集の機会にしよう」

 ふたりはコクリと顔をうなずき合うことで合意した。彼女から好機の糸口を探る。

「ぶっちゃけお前等の弱点は何なんだ?」

「このゲームでは弱点の設定が無いプレイヤーは違法ってことになってるが?」

 レイシャは、「むしろ弱点ばっかりの冒険だったけどなあ~」と。聞こえるか聞こえないか微妙な声色で呟く。

 ここはちょっと、ちょっかいを出すことにするレイシャ。

「むしろ弱点がないと勝ったことが無いプレイヤーさんなのかな? 贅沢だねー、ランキング1位さんは。βテスターさんなんて弱点無くても【ここまで】上り詰めて来たよ?」

 それがSランクの条件だとばかりに。煽ってきた。どうしようもなくタゲられるレイシャ。敵意がレイシャに向けられる。当然向こうは向かって来るのだろう。【これまでの定石通り】ならば。

 天然ボケは、天然ボケらしく。定石通りにはいかない。タゲられているのに、他の組の戦場を観る。そして短く単的に一言。

「ま、モブの相手はいいや」

 カチンという憤怒感と、ヤバイ! マズイ! という焦燥感と危機感が漂う。


「ヤエザキちゃーん、あーそーぼー!」

 神の巫女たるレイシャは神速を使える。西陣形側へ敵の歩が進んだ。

 スズとレイシャの二重奏デュオが始まる。


 ――定石が崩れた。

 ――同時にレイシャの時間の流れにそった『一撃必殺・マジ殴り』がヤエザキを襲う!

(強……! 速… 避…… 無理!! 受け止める 無事で!? 出来る!? 否 死)

 それともう一つ思考する。

(エボ白…… 回避… 可能! でも1回! 今使う!? でき… 手遅れ 死)

 ――その刹那に割って入って来た人物が一人居た。

 素早さにステータスを極振りしたグリゴロスだ。


 ――チュドン!!!!


 はるかから、こなたまで体が吹き飛ぶ。紙同然、紙一重でヤエザキの命を繋いだ。壁にぶつかり地面に倒れるグリゴロス。

「!? グリゴロス!?」

「仲間を守るための速さだ……! 当たって本望!」

(神速と同等の素早さ極振りなんて、最高じゃないか。ファンタジアリアリティ・オンラインも無駄じゃなかったんだって。本気で思えるぜ……)

 ヤエザキが驚愕の声を上げる。彼のHPが全損、0になった。


《グリゴロス戦闘不能、退場します》


 消えゆくポリゴンの中で、グリゴロスはヤエザキに言う。

「仲間を頼れよ、なぁ、大将……!」 

 ポリゴン片は四散して消滅した――。

「グリゴロス――――!!!!」

 スズの『絶無加速思考ぜつむかそくしこう』はこれらの結論を正確に予測出来ていた。それなのに何故行動に移さなかったかと言うと。

 彼の行動が、偉大だったからだ。


 西陣形側。スズとレイシャがこう着した場を仕切り直す。

「さて、まずは1人ね」

「んじゃ、始めようか」

 両者阿吽の呼吸で構え直す。凛として花のごとく。


「「私達の二重奏デュオを!!」」


 エンペラーとミチビキは自分達の行いのせいだと悟り悔いた。

 オーバーリミッツと農林水サンは。プッツン怒りに任せて暴れようとするが、自分でそれを鎮静化する。

 守られたヤエザキはというと。グリゴロスがやられる風景を、何度も何度もループしていた。何度も何度も脳内でフラッシュバックしていた。

「あ、あ、あ……」

 声が、体が、目の前で起きたことが【理解出来て】震えが止まらない。

 立ち直らせてくれるプレイヤーは、まだ居ない。

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名を上げる。ボカロBGM:最終決戦~ファイナルバトル~
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