第214話「キャラクターメイクと鍛冶屋」★
現実世界、西暦2035年04月15日
『ハイファンタジー・オンライン』のキャラクターメイキング機能は細かい。
《名前を決めてください》
「カタカナのヤエザキで、漢字だと八重咲ね」
《性別を選択してください》
「普通に女性で」
《身長と体重を選択してください》
「身長は、平均的な男性よりも頭一つ低いくらいで。体重はやっぱり軽い方が良いかな。今回は美少女を目指そう」
言動や行動が美少女的な振舞い化はかは別問題である。
《肌の色を選択してください》
(あ、お姉ちゃんごめん。ここは趣味全開で行きます)
「褐色で! 健康な常夏の海で少し日焼けした日本人って感じの! で! 水着の日焼け跡がくっきり残ってる感じが萌えポイントで! 胸元がちょっと白肌って感じがもう最高!!」
性癖丸出しである。
《髪型と髪の色を選択してください》
「前回と同じで。黄色の左側のサイドテール、セミロングで。そこはこだわりは無いかな」
《種族を選択してください》
超人種
邪悪種
動物種
自然種
機械種
人類種
神話種
「おりょ? いきなりファンタジーっぽくなったなー。ずっと人間でやって来たからなあ~……超人種は憧れるし、自然種だと精霊系にも成れるみたい……。んん~……」
さんざん悩んだ挙句、自然種だと昔の枠にはまってる感じがしたので。超人種にすることにした。超人種って普段の姿とあまり変わりないみたいだけど、どうなのだろうと思う。
《目・鼻・口の形と色を選択してください》
「細かいな~。目は明るそうなクリ型の目で、色は黒。鼻はどの角度から映してもほぼ点で表示。口は喜怒哀楽の表情が豊かに画面表示出来るように、長い口線がデフォルト。全体的には健康で明るそうなイメージ」
お絵描きの時はもっと細かく考えるが、文字にして設定をするとここまで煩わしいとは思わなかったヤエザキ。
《以上でよろしいですか?》
「はい」
《設定が完了しました、HFOの世界へようこそ!》
《HFOの世界へログインします。》
◆
~以下、前回の受付嬢・湘南桃花さんとの会話。イベント受諾~
◆
そして、そこら辺の鍛冶屋へ足を運んだヤエザキプレイヤー。いかにもファンタジーで出て来そうな、ヒゲを生やしたドワーフの鍛冶屋さんだった。
そして私はアイテムボックスの中にある武器を全部出してウキウキしながら言う。
「すみませーん! これらの武器を【合成】して、良い感じの武器にしてください!」
ガチャン!
と大量のアイテムが出現する。普通のゲームでアイテムが一杯になることはあるが。VRMMOでは初めてだ。
星剣『ミルキーウエイ』
短剣『ジーラダガー・オーディリー【深い闇】』
長剣『日本刀型の神器【真≠幻】』
長杖『トリックメーカー【改+3】』
靴『真新しいスニーカー【改+3】』
眼鏡『万華鏡転生レンズ【改+3】』
長剣【千物語・アナザー2009】
短剣【千物語・オリジン2018】
魔服【千物語・ジンジャ2002】
兎靴【千物語・ミチビキ2034】
頭帯【千物語・ムゲン1987】
「な!? なんとこれは!?!? 凄い、どれも一級品ではないか!?」
仰天の眼差しで観る鍛冶屋のおっさんは値定めるように、マジマジと観る。
「そんなに値打ちものなんですか? まぁ、全部一筋縄じゃ手に入らなかったですからねえ~……」
改めて、自分の冒険を思い出すと。確かにモンスター1匹倒して手に入る武器もあったが。基本的にイベントが終わってからまとめてゲットしたような気がする。
鍛冶屋のドワーフおじさんは疑問視する。
「質問なんじゃが。お主はこれらの武器をどのように合成してほしい?」
「どのように、とは?」
「ステータスを高くして欲しい。文字的に上等にして欲しい。はたまた、もっと単純に使いやすくして欲しい。などじゃ」
確かに、上級のプレイヤーは。無暗やたらに長い文字の装備品は作っていない。ログが圧迫されるからだ。故に漢字2文字や4文字ぐらいで納めている。決して、短剣【千物語・オリジン2018】なんて。長ったらしい名前は付けていない……。
これらのアイテムは文字的には既に上等なものだ。だからヤエザキがとれる選択肢は一つに絞られる。
「単純に使いやすくして欲しい。かな~かな~」
なるほど、あいわかった。
そう言うと、かーんカーンかーん。と、さっかさ作り終えてしまった。
星剣『ミルキーウエイ』+長剣『日本刀型の神器【真≠幻】』+長剣【千物語・アナザー2009】+長杖『トリックメーカー【改+3】』
=星剣『朝過夕改』
短剣『ジーラダガー・オーディリー【深い闇】』+短剣【千物語・オリジン2018】+眼鏡『万華鏡転生レンズ【改+3】』+魔服【千物語・ジンジャ2002】+頭帯【千物語・ムゲン1987】
=聖服『鏡花水月』
靴『真新しいスニーカー【改+3】』+兎靴【千物語・ミチビキ2034】
=兎靴『足跡追及』
「ほい、できた」
「おお、速い」
早速、説明欄をまじまじと見るヤエザキ。アレだけの苦労をして作ったものなので流石に関心がある。
星剣『朝過夕改』
自分の過ちをすぐ改めること。また、その改め方の迅速な様子。
聖服『鏡花水月』
はかない幻のたとえ。目には見えるが、手に取ることのできないもののたとえ。
兎靴『足跡追及』
臭いを手がかりに、追跡・捜索対象者の移動した経路をたどる能力。
「文法の勉強かな?」
とも思ったが、適当な漢字4文字より。四字熟語のほうが威力はありそうな気がするのは、きっと文法上の意味合いを極めてしまったからであろう。
とはいえ、11個あった武器が3個に圧縮されたわけだから良しとしよう。やることはまだまだある、次はスキルの個数も多いのでそっちの問題だ。長居をしてる場合じゃない。
「では、ありがとうございますたー!」
「おう!」
その声と共にドアを閉めた。




