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第23話「放課後クラブ結成」

「ざわ……ざわ……ざわ……」


 もはや周りの生徒全員は話についていけない、伝わるのは姫の尋常じゃない妹愛と、妹に攻撃したことへの姉の怒りのボルテージだけだった。悪ガキの腕は未だ姉の手の圧力に勝てず、これ骨折れてるんじゃね?ってくらい握りつぶす!


「よろしい ならば戦争だぁぁぁァ!!!!」


「ギッ……! ギャァアアアア!!」


 ベキベキベキと悪ガキの拳の骨のようなものが折れる音が聞こえる。そのまま悪ガキを投げ飛ばし残り二人も姉である姫がぼっこぼのけちょんけちょんにする。


「何が……どうなってるんだ……」


 近衛遊歩が天上院咲に質問する。


「まあ……簡単に言うと……姉の逆鱗に触れちゃったのね……」


 そこから先は姉による3人の悪ガキ共へのある意味いじめのように見える一方的な虐殺ショーが、大乱闘が開幕したのであった。その後学校の授業は滞りなく行われた。姫と悪ガキ3人は先生に注意されるだけにとどまった、喧嘩両成敗と言うやつだ。近衛遊歩もそのあとの授業は普通に参加できた、先生がきょとんとしていたのが印象深い、先生自身も心配し、もう来ないのだろうとも思っていたからだと思う。これは…お礼を言った方が良いのだろうか…、咲に、姫に、両方に恩が出来てしまった、咲は僕には出来ない勇気の一歩を踏み出してくれた、姫に至っては喧嘩までさせてしまった。もっともそれは僕のためというより妹の咲のためと言う印象が最大限あるのだが。何か……お礼をしなくちゃ……と思った。放課後、学校の帰り道、遊歩は天上院姉妹を呼び止めた。


「咲さん、姫さん、その……あの時はありがとう」


「………あぁ、いいっていいってあいつら前から気に入らなかったし、今回の件ですっきりしたわ」


「別にお前にお礼を言われるためにやったのではない、妹のためにやった事だ」


 予想通りの返事だったが遊歩は続ける。


「それで、ッその……お礼がしたいんだ! あの、よかったらギルドに入れてくれないか!?」


「……おー……え! 入ってくれるの!? ありがとうたすかるわー」


「良かったな、咲」


 喜ぶ咲とその笑顔を微笑ましく愛でる姫、その後、遊歩は学校にちょくちょく顔を出せるようにまで成長した、相変わらず引きこもりによる不登校は治ってないけど…。

 それでも一歩ずつ前へ前進している、夕暮れの川辺を歩く三人の歩調はどこか楽しげで、わくわくを感じさせる行進だった。

 放課後クラブ結成。リーダー、天上院咲。サブリーダー、天上院姫。メンバー、近衛遊歩。



 VRゲーム、エレメンタルマスターオンライン(通称EMO)の中には現実世界の西暦と似た歴がある、それが神聖歴、神聖歴1485年雲の王国ピュリアで一人の少女が生まれた。少女は王家の家系で生まれ、すくすくと育っていった。神聖歴1490年、5歳、少女は疑問に思った、外の世界はあんなに綺麗なのに自分の足で行きたいと思った。


「だめよ、15歳になるまで外にでてはいけません」


「うーわかったー」


 少女は思った。


「速く15歳に、ならないかな~」


 そして10年後、神聖歴1500年。箱入り娘の少女の名前はフェイ・エメラルド、彼女が事件の中心人物になることなど、当時、神であるエデンの神も、その更に上のEMO制作会社である運営も、だれも予想だにしていなかった。


 西暦2034年5月中旬


 EMO草原フィールド、ここに天上院咲/サキ、天上院姫/ヒメ、近衛遊歩/エンペラーは模擬戦、PVP戦をしていた。


「たあ! はあ! せい!」


「よ! は! ほ!」


 エンペラーはサキとヒメの決闘を眺めていた、サキは息を絶え絶えに、ヒメのほうは余裕しゃくしゃくと言う感じが場を制している。魔法剣士と忍者の相性と言うものは割かし悪くはない、魔法使いと前衛職魔法剣士とかだと相性は悪いが、この場合魔法使いの魔法も魔法剣士だと属性魔法の防御を持っているので魔法使いが不向きである、なにより後衛で大砲のような役割を持つ魔法使いは個人戦には不向きなのだ。それに比べて魔法剣士と忍者は両方前衛と言う事で悪くない戦いをしている、しかし圧倒的経験の差かサキの剣先は空を切るばかりであたりゃしない、レベル10のサキ、レベル1のヒメだが当たらなければどうと言う事は無い。


(こりゃあ僕がやっても結果は同じかな…)


 そうエンペラーが判断するほどその実力差は歴然であった。


「ふにゃ~……」


 サキは疲れ切った体をふにゃふにゃの萎れるように倒れこむ。


「ほらほらもうバテたのか~ってゲームの世界に疲労なんてないか…どうした…」


「いやーもう精神的にだめー勝てる気がしない~」


 技術的に無理、とか力的に無理とか以前に、とにかく当たらないのだ、忍者は回避性能が高い、それも確かにあるのだがそれ以上に魔法剣士のシステムを隅から隅までわかっていて、なおかつ忍者の動きも完璧なヒメにはカクカク動くブリキの人形にでも見えているのだろう。


 唯一倒せるものを探そうとしても見つからない、それほど力の差が歴然と表れる試合となった。


「エンペラーもやってみればいいじゃない!絶対に勝てないから」


「おお、そりゃあいい伝説の廃人ゲーマー様がどれほどの実力者なのか見てみたい」


「いや……やらなくたってわかる、僕の完敗だよ、どうしてその人間離れした体術がゲームでできるのか疑問さえ覚える」


「なんじゃやらんのか?つまらん、どれちょっとだけちょっとだけその銃でわしを撃ってみ」


「じゃあちょっとだけですよ」


 そういってエンペラーは銃を構えドンドン!っと撃ってみた、するとヒメはキンキンっと弾丸を切って見せた、まるで漫画かアニメばりに銃を短剣で切って見せた。


「ほれ…もっと撃ってこんかい、1000発くらい撃ってこんと私は疲れないぞ」


「………、現実世界でもいじめっ子を殴り飛ばすし…ゲームの世界でも僕の努力も足元にも及ばない…どんなチート性能ですかあなたは…」


「なに、EMOの中だけじゃよ、わしは開発者だし。クリスタルウォーズだったらきっと負けるぞ、要は畑の違いだ。所で二人とも雲の王国ピュリアには行ったんだよな」


「うん」


「うん、あ、でもあそこのメインクエストまだ見つかってないんだよね」


 サキとエンペラーは二人して同じ言葉を発した。


「何を隠そうあそこは私がゲームマスターをしている、まあ最初だから難しくしてないつもりだ、気楽にやるといい」


「ゲームマスターって?」


 サキが初耳な言葉に耳をかしげる、ゲームのマスターと言う事だからなんとなく想像はつくけど知らないこともあるだろうという思いから聞いてみた。


「スタンプが6個あるのは知ってるな、その6個のスタンプには6個の地域に区分されて分けられている、その広さも膨大でうちのチームも班ごとに分けられて運営している、そのうちの雲の王国ピュリアは私天上院姫が担当しているってことさ」


「なるほどー」


「まーそんなわけで私は仕事もあるしネタバレになるのもつまらん、ここらでおさらばさせてもらうぞ」

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名を上げる。ボカロBGM:最終決戦~ファイナルバトル~
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