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少女は異世界ゲームで名を揚げる。~ギルド『放課後クラブ』はエンジョイプレイを満喫するようです~  作者: ゆめみじ18
第9章「ザ・エンドオブ・アリスストーリー」西暦2034年11月1日

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第199話「7+α日目」


 現実世界。西暦2034年11月7日13時00分。


「で、初見の私にどう説明してくれるのよ? 今のこの状況」

「えっと、ある時。黄色いスズが居ました。次にピンクのスズが居ました。次に蒼・白・黒・赤となり。今のAIスズが誕生しました……」

「んん~……」

 何が何だか全然わからなかった。

「ごめん! 記憶してたスズちゃんと! 記録してたスズちゃんが重なって。曖昧で、全然わからない!」

 姫という、説明する側が理解してないのだから説明できないのは道理である。困った咲は話を継ぐ。

「じゃあ話を噛み砕いて。今の私の置かれている状況だけでも教えてよ」

「えっと~……スズちゃんのストーリーの1時から10時まで見たから、その先の11時・12時を見届けてストーリーを1週させて終わらせて。……かな」

「そして戦いは続く?」

「そう」

 解るような解らないような解説に戸惑う。

「ちなみに全ての時間の私が集まった後に、スズちゃんにアッパーカットする場面。巨大化スズちゃんも居る」

 説明すればするほど、余計にわけがわからなかった。咲は混乱から抜け出すよう努力する。

「ちなみに私が最後尾なら、最前頭? は誰になるの」

「私、【らしい】……としか言えない」

「あぁ……」

 これまた要領を得ない。なので話を変える。


「じゃあ。……ゴールはドコ? 巨悪はだれ?」

「私だ」


 なぜか神速・即答で帰って来る。

「何それ? お姉ちゃんを倒せばゴールって事? 何故? いつ、どこから巨悪になったの? そんなことしてないのに」

「咲、一応補足しておくが。生まれる前から巨悪な人間なんていない」

 まぁ、そりゃファンタジーだわなあ。と、そこは要領を得る。理解できる。どこかで自我が芽生え、何らかのエピソードがあって。その人は悪への道を進むのだ。

「私、天上院姫は。神道社社長になる寸前のところで、巨悪としての自我が【目覚めた】」

「スズちゃんの話は何処に行ったし」

 話が繋がらない。次元が繋がっていない。

「咲、お前は物語が好きだったよなあ?」

「え? あぁ、うん。そうね」

「並行世界とか、多世界とか、マルチバースとか。別ジャンルの作品とか。全部繋がってますと言われて理解できるか?」

「知っている・読んで理解できているのなら。繋がってると【おぼろげに】理解は出来る。ぼーっとする感じだけど。まあ普通は理解できないと思う」

 「だよなぁ」と。姫も同意する。何を躊躇してるんだろう?

「はっきり言ってよ! じゃあ目の前のゴールの巨悪の姫姉ちゃんを! 私はどうやって倒せばいいのよ!」

「お前じゃない」

「いやいやいやいや!」

 話が繋がらない。

「少なくとも、【倒されたい】のはお前じゃない」

「じゃあ、誰やねん!」

「む~~~~~……」

「何で黙る!」

 まずい、このままでは『第2次姉妹喧嘩』に発展しかねない。流れを変えなければ。何とかして流れを変えたい姫は、話題を変える。

「アイス食べない?」

「このめっちゃ寒い11月に? てか何でアイス?」

「お、終わる世界を食べれるから……」

 意味が解らない……。

「まあ、そういうわけで。難易度SSSのイベントの最後尾で回復に専念しよう、てわけ」

「繋がってない」

「星は繋がってる」

「は?」

「ごめん、この話やめよ。咲と喧嘩したくない……ごめん」

「ガチあやまりされても困るんだけど……」

「ごめん……」

 妹の咲だって、喧嘩したいから口喧嘩してるわけではない。

「ま、まあ『そういうことだから最後尾で回復に専念しよう』てのは。今ので何となく解った」

「あ! ありがとう!」

「むしろそこだけしか解らなかったのが凄いけどね」

 はぁ、とため息がつく咲。

「と、というわけで。兎に角、仲直りのシルシにアイス食べよう。てことで……」

 話をスッとすり替えられた気がする。はぁ、と。またため息をつく咲。ここまで繋がらないのも逆に凄い。百戦錬磨の姉もタジタジだ。

「何のアイス食べてもいいの?」

「うん!」

 そこだけ元気だった。


 と、その時。天上院姫はまた【面白そうなこと】を考えてしまった。天井知らずの悪だくみが始まる。

「ふむ、流石難易度SSS。それぐらいの難易度じゃなきゃな」

「?」 



《ようこそヤエザキ様。エレメンタルマスター・オンライン、ログインします》

《赤い空の遺跡》


「あ、どうだった? お姉ちゃんたち」

「うん、解んない事がわかった」

「んん?」



 仮想世界、西暦2034年

 【日本時間】11月7日15時00分。


 Bランクギルド、ランキング5位『カイガイ』。

 編成人数3人と+α。

 主に海外勢がゲームプレイしている団体で、日本人がその名をつけた。ここのゲーマー達の最大の特徴は【時差がある】ことにつきる。ヤエザキの居るギルドは『放課後クラブ』、Bランク3位である。


「このイベントだけは逃さねえ! ぜってーに上位陣に入ってやる!」

 アメリカプレイヤー『メダル』

 【北アメリカ、ニューヨーク時間】11月7日02時00分。日本との時差-13時間。

 ゲーム内職業:空賊


「熱くなるな、まだ始まったばかりだぞ」

 中国プレイヤー『リー』

 【東アジア、上海時間】11月7日14時00分。日本との時差-1時間。

 ゲーム内ステータス。

 職業:山賊


「脳が震える―!」 

 イギリスプレイヤー『ステッキ』

 【北ヨーロッパ、イギリス】11月7日07時00分。日本との時差-8時間。

 ゲーム内ステータス。

 職業:海賊


 彼らは仲間内で、誰かが寝たら誰かが起き。誰かが寝たら誰かが起き。を繰り返している。つまり【活動時間が止まらない】のである。

 そんな彼らは他のプレイヤーが苦戦していた、遺跡までの距離を。このアクティブ数の多さで乗り越えた。

 周りには、誰が仕掛けたかわからないモブの海賊。と言うには本職がげんなりするほどの低装備だった。あのモブ達には『賊』と言う、1文字だけがお似合いだろう。


 そんななか。中国プレイヤー、リーが。周りのプレイヤーを探査してステータス画面を開いていると。ある人物達を発見する。

「おい、俺達と同じBランクギルド『放課後クラブ』が居るぞ」

 アメリカプレイヤーメダルが吠える。

「マジか! 会いてえなあ! 戦いてえなあー!」

 イギリスプレイヤーステッキがそれをなだめる。

「PVPか? やめとけ。それより目の前の敵は目下あのふざけた賊だ。遺跡に侵入しようとするNPCの敵軍を倒して貢献度を稼ぐ」

 メダルは残念そうに鳴く。

「そっかー直接対決は無理かあ~。そりゃそうだよなぁ、この乱戦じゃなぁ。解ってる、解ってるよ~」 

 リーは「しょうがないだろ」とメダルを制する。

「今回は異例中の異例の難易度SSSイベントだ、他人と遊んでる余裕なんてねーよ」

 ステッキもそれには同意する。

「何せガチリアルタイムイベントだ、精々自分の国益に叶う。自国のことを第1に考えるのが我が身の為だと思うぜ」

 国が違えば考え方も違う。というかまず言語が違う。そんな中でも育まれてきたこのオンラインゲームだ。

 ステッキが追加する。

「〇ッキーマウス見つけて拝んで、遠目から写真を撮るぐらいにしとけ。解ってないかもしれないが、俺達は国の代表だ。日本人に我が国の良さをアピールして帰るぐらいにしとけ」

 リーがメダルに言う。

「メダル、マジで変な事するなよ? ステッキにも迷惑がかかる。戦闘したいなら日本人を妨害してる連中をやれ」

「たーく! 会っても居ないのに接待プレイかよ! ……まあ難易度SSSだからここまで来るだけでもヘトヘトだけどな……」

 何故かリーが指揮をとる。

「解ったら、まずは遺跡の地上に降りて。日本人助けながら貢献度稼ぎだ!」

「放課後クラブ! 今日の所はこれぐらいにしといてやる!」

「まだ何もしてねーだろ!」

「おっしゃー! 野郎ども! 最前線に出るぞー!」


『おォ――――!!!!』


 熱い男ガチプレイヤー3人衆とその他が、危険な戦場を駆けて行った。

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名を上げる。ボカロBGM:最終決戦~ファイナルバトル~
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