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少女は異世界ゲームで名を揚げる。~ギルド『放課後クラブ』はエンジョイプレイを満喫するようです~  作者: ゆめみじ18
第8章「FRO~幻想VS現実~」西暦2034年10月18日

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第185話「ボスラッシュ18」

 グレゴリスが指令する。

「《連携》!」

「月閃光」

 歌峠夜鈴が攻撃する。

 もう一度、グリゴロスが指令する。

「《連携》!」

「森羅万象のワルツ!」

 もう一度、ヤエザキが攻撃する。

 そして今度は自分の番。

「《乱撃》!!」

 本能的に思った、手加減をしていたら死ぬ。だから思った、これは『あの時と同じ死地』、手に持っているのが。無手か得手かの違いしかない。本能が震えて新しい自分が目覚めている。その感覚。その感覚の中で、ナナナ・カルメルは『よくわからないけど審判』をずっと展開していた。だからこそ観つけてしまった。

「大物……小物……ッ!?」

 ドス。重い拳の一撃が入る。一瞬の油断――隙。一生に一度あるかないかの油断。

 何か大きなものを得たのだろう、しかし。この戦いの最中、その動揺は大きな油断となって現れる。

 それを逃さなかった。その間と間に挟み込まれるグリゴロスの《急所狙い》、狙うは特異点。体の中心点。ただ一つ。ナナナ・カルメルは体の自由が奪われ動けなくなる。

「これが、ほんとの不覚……。だね……」

 グラリ。視野が広すぎて目の前の事に集中できなかった、若者特有の驕り。異能の力である『よくわからないけど審判』がガラスのように割れ、解かれた。

「お前の敗因はただ一つ、視野が広すぎた」

 体重の重心が重すぎるでも軽すぎるでもなくちょうどいい、適度な重心移動をグリゴロスは可能としていた。無手による軽快な《乱撃》もさることながら、得手による《司令塔》としての力量も確かに揃えていた。それが独りではなく、周りの人間と自然の成せる技だとしても。確かにそこに居た。故に、小手先の攻撃連打の方が彼の手には馴染む。

 カルメルは右手を翳す、最後に悪あがきをした。

「《清めの炎》!」

 ボッ! HPが1だけ減った。何が起こったのかは判らない、ただ単に、気が晴れた。そんな気がした。

 ナナナ・カルメルは、瞼を幽か。半分閉じてから。体が倒れて、眠りにつく。


 ピッ――――――!!!!

《【天皇杯】古代ダンジョン超ボスラッシュ! 地下二階、VS放課後クラブ『ナナナ・カルメル』に勝利しました――。》



 全員が全員尻餅をつく、各々が死力を尽くして戦った。ここからがゲーム特有の真骨頂、連戦という醍醐味である。

「きっつ……」

「回復、回復……」

「楽勝とか言えるかよ、こんなもん」

 閉じられていた次への扉が開いた。

「どうする、さっきは休憩10分だったが。今回は消耗がひどい」

「休憩、1時間か3時間くらいならどうだ?」

 精神的疲労が尋常じゃないことになっていた。ここで初めて、第三関門。湘南桃花のライバル秘十席群が口を開く。

「3時間の方が良いだろう。あいつの強さは、力が強いとか。技が巧みだとか。心が折れないとかそういうものじゃない」

「じゃあ。どういうものなんだよ?」

「一言で言えば……。『絶対の執念』だな、ありゃあ」

 信じる心があったかと言われれば嘘になる。だからここはあえて執念と呼ぶことにした。言葉では信念と言っていたかもしれない、でもアレは今思い返すと執念だ。信念にしては祈りを忘れ過ぎている。

「それに、……あいつの諦めの悪さは俺が一番良く知っている。【潔さ】もだ、何が潔いいって? やる気がないときはほんとにやる気が無いからだ」

「え、てことは……」

 嫌な空気が流れる。

「今回ばかりは、……違う。あいつは『努力の天才』だ、10人中10人が手を挙げるだろう。だから、無名だったド三流が今の地位に居る。そう言うことだ」

 よくわからないけど、50年の年期には劣るだろう。だが、もう10年の年期が彼女にはある。

「夢も希望も、光も闇も全部入ってる。何がいいたいかってーと……」

「もういい、わかった」

 グリゴロスが制する。

「俺達で勝つ、それで良いんだろ」

 長い間の後、様々な葛藤があってから。秘十席群はそれを肯定する。

「ああ……、そうだな」

 グリゴロスが笑顔で皆に返す。

「みんな、兎に角休もう。今のうちに休めるだけ休んでおけ。俺達は覚悟してる、そして向こうも、覚悟してる。だから、全員覚悟しとけよ」


 これで、3時間。休憩できる時間が出来た。

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名を上げる。ボカロBGM:最終決戦~ファイナルバトル~
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