第178話「ボスラッシュ11」
各方面に参加を要請し、今回は以前より充実したメンバーが揃った。皆このゲームには勝ちたいようで、嬉しい限りである。
中央はギルド『ドラゴン・スピード』、グリゴロス、ファランクス、ヤエザキ、歌峠夜鈴、秘十席群、不動文、主神ゼウス。
前方はギルド『脳筋漢ズ』、ジャンプ、マガジン、サンデー、チャンピオン。
右方はギルド『連射隊』、総電、PF、桂馬、警察、怪盗、ネット。
左方はギルド『ヒーロー戦隊』、角車、モンスター、現夢、トップ、清掃、散歩。
後方はギルド?『放課後クラブ親衛隊』、賢者、空戦、牙。
【名のある冒険者】はこれで26名、残りはモブ冒険者4名だが。これ以上はむしろ今後のために空白にしておくべき。という意見から「これが最善」という総意になった。元々有象無象の集団。これ以上の作戦支持は無理だった。あとは放課後クラブ親衛隊に、回復や補助を任せる形となる。自分で何とか出来るのが一番だが、そうも言ってられない。
グリゴロスが全員に作戦を指示する。
「作戦名は『両翼作戦』だ、元々俺達に東西南北の指針なんて当てにならない。このダンジョンは磁場がコロコロ変わる。それだけは先に言っておこう。故に、信頼できるのは前後左右上下中央となる。【俺が指をさし示した所が前方となる】ここまででは普通だが、相手が浮遊超気な以上、《型破り》と《成長》で何をしてくるか解らん。そこで……各方陣はそれぞれ【右翼と左翼】に別れてもらう、そこは臨機応変にやろう。空を飛べるものは飛んで構わない。だがこの陣形だけは崩さないで欲しい。これで今回は進むが、超気が相手な以上。気持ちで負けちゃダメだ、皆。この戦い絶対に勝つぞ!」
『おう!!!!』
あとはもう本番でどうにでもなれ! 作戦としか言いようがなかった。グリゴロスが第3ラウンドを宣言する。
「うだうだしてても何も進まねえ、今度こそ進もう!」
◆
何度も言うし、何度でも言うが。入ったら全面クリアするか、全滅するまで出られない。後戻りは出来ない。大門が開き、そして閉じられる。もう後戻りは出来ない。
機械的なアナウンスがログに流れる――。
《【天皇杯】古代ダンジョン超ボスラッシュ! 地下一階、VS四重奏『浮遊超気』戦闘を開始します――。》
浮遊超気は喜々としてはしゃいでいる。まるで子供のそれだった。
「お、今度は前よりやる気あるな! ウチも楽しくなって来た!」
3・2・1・ピッ――――!!!!
戦闘が始まった。グリゴロスが浮遊超気なの【標的を指差し確認し続け】味方チームに伝令を出す。
「浮遊超気をロックオン! 方陣展開を開始する!」
各ギルドがグリゴロスを中央・中心としてそれぞれの四方陣に展開されてゆく。浮遊超気はソレを黙々と見送る、彼にしては珍しい行動。あまり観ない、見慣れない行動に興味深々といった形である。なので彼は空中で静止して動かない。ありがたい間が出来た。
中央は右翼:グリゴロス、ファランクス、ヤエザキ。左翼:歌峠夜鈴、秘十席群、不動文、主神ゼウス。作戦名は『自由自在に行こうぜ!』である。
前方は右翼:ジャンプ、マガジン。左翼:サンデー、チャンピオン。それぞれ概念レベルの攻撃処理をする構え。回復も出来ないことも無いが、こればかりは中央メンバーでは手も足も出ない。
後方は中央:賢者。右翼:牙。左翼:空戦。後手に回ったパーティメンバーの補助・回復に専念する構え。未来や今ではなく、過去を回復させる役回りである。ちなみに。ここで回復が間に合わないと全滅して死ぬ。
右方は右翼:総電、PF、ネット。左翼:桂馬、警察、怪盗。今や今回をどう廻してローテーションを組むかにかかっている。ものは転び人は流れゆく。この流転の運命をどう制御するかにかかっている。
左方は右翼:モンスター、現夢、トップ。左翼:角車、清掃、散歩。物理や特殊の攻防に専念、超気の速度は気にしない方向で動く。
以上が基本方針であるが、その実。始まったら陣形が崩れるのは至極当然なので、崩れた後の再構築の速度が鍵となる。グリゴロスがちゃんと聞こえるように叫ぶ。
「右方『連射隊』……撃てぇええええええええええええええ!!」
まずは試し打ち、なんて言ってたら超気に失礼。というか殺されるので。本気で気合の籠った弾丸を連射する。言葉と言うには生ぬるい、文法と言う名の弾丸が火花を散らした。




