表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
少女は異世界ゲームで名を揚げる。~ギルド『放課後クラブ』はエンジョイプレイを満喫するようです~  作者: ゆめみじ18
第8章「FRO~幻想VS現実~」西暦2034年10月18日

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

207/789

第177話「ボスラッシュ10」

『ピンクの宿屋』は、まるで口論で暖が取れるような熱気だった。

 外はというと、これまたご都合主義のような雪が降っていた。地下なのに。肌寒く12月の気温、クライマックスはいつも夏なのに。真の最終決戦はいつも冬なのは、神様すら意図せぬ自然の摂理なのだろうか。



 作中で語られていなかった、この『ピンク髪の宿屋の看板娘の少女』の名前は。どうやら『カニ』と言うらしい。漢字で言うと『蟹』、そのまんまであった。

「このゲームの中で、記伝や口伝は数多聞いたが。やっぱり君の口から聞きたいかな」

「何ですかそれ、口説いてるんですか?」

「口説いてねえよ、ただ単純に知りたいだけだ。この土地の伝承を。君自身の言葉でな」

 《解読》を使って街中の書物を読み漁っても、攻略の鍵となるヒントは何一つ得られなかった。漫画本もあったので読み漁ってみたが。ただただ、Sランクギルド『脳筋漢ズ』の筋肉細胞がピクピクするだけである。

「ん、……あの日の体験を。私自身の言葉で語るのは、やっぱりちょっと躊躇を感じます」

「でも、歴史に刻まなきゃいけない事だってもう解ってるはずだ。【それ】が後から続くものの道となる」

 それは書物で見つけた知識で総合的にカニちゃんが、何か語ってくれれば嬉しいな程度の軽いノリだった。

「私の言葉より、他の記伝のほうが正確だと思いますが」

「そこは重要じゃない」

 そこは断言できた。カニちゃんは、ちょっとうつむいて沈黙する。

「残された人々の責務なんですかね、やっぱり……」

 カニはちゃんの過去に暗い影が落ちるが、グリゴロスはそれを。『幻は幻に』と言わんばかりに切り捨てる。

「責務ではない、君にできることだよ。君の言葉から語られる【それ】は【何でもできる】はずなんだ。それに、嫌なら話さなくても良い」

 長い、【長いこの間に感謝した後】に。カニちゃんは気は太陽のように、すっかり晴れわたっていた。

「いいえ、もう時が癒してくれました。話します、あの日の事を……。あ、ちなみにダンジョン攻略のヒントはありませんからね」

「んなの、気にしてねーよ」

 ようやく話が進む兆しが見えて来た、気がしたグリゴロスであった。



 タイトル『オーバーイヴⅠ』、著者名『カニ』――。


 何処から話せばいいのやら――。


 私的にはさして重要な事ではないが。数字の『1』はアラビア数字で、『Ⅰ』はローマ数字らしい。そのことから、今のクリスマス気分の雪景色と。今回の物語のタイトルは『オーバーイヴⅠ』とすることにした。『オーバークリスマスイヴⅠ』でも長ったらしいので。


 温泉地下都市イイユダナ、その天空。


 彼は、別に悪い人間なわけではなかった。ただ、何処かで歯車が狂った。『愛は盲目』と言うべきなのだろうか、ただ結果的にこうなった。

『忌むべき殺戮の陶酔者とうすいしゃよ。音に聞き、目にも見、身に刻み、思い知れ――天なる罰を』

 ――天破壌砕てんぱじょうさい――。

「ギ、ギャアアアアアアア!!!!」

 彼は燃えながらそのまま谷底へ落ちてゆき、闇の中へと消えていった。永劫に燃え続ける業火。やがて、その炎で地水脈を沸かし。温泉になったとかならなかったとか。

『終わったな。起こしてすまなかった、だが他に。適任も居なかったのだ』

「いえ。こちらこそお見苦しいところを、真の王様。これでもう、私に未練はありません」

『ああ、では天国で達者で暮らせよ。いつかまた会おう』

「ええ、それではお先に」

 そう言って、エルフの青年の霊は天国へと向かって行った。


 ……では、彼や彼らがこうなった。過程や行程を丁寧に説明していこう。



 ピンク髪の少女、カニはここで小さく口を開ける。

「ですが、ここでストップ」

「ストップ?」

「どうせダンジョンに挑んで、死に戻りして帰って来るんでしょ? だったら、それまでにお話をまとめておきます。いわゆる、ストックっというやつです」

「おいおい、……まぁ。死に戻る確率が高すぎるから。別に良いけど」

「じゃあこういう賭けはどうですか? 勝ったら進む、負けて帰ってきたら私の話を聞く」

 ダンジョンで負けるたんびに、物語の『オーバーイブ』のエピソードが増える形となる。これはこれで楽しいのか楽しくないのか解らない形となってくる。

「なるほど、速くダンジョンを進みたいのに。そのエピソードで妨害される形か、時間の浪費的な意味で」

「結構、甘美な味付けになると思いますが?」

「んー。ま、気がノったらノってやるよ」

「テヘペロ」

 そんな口約束を交わしたグリゴロスとカニの二人であった。粉雪が一粒溶けた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
・よければブックマーク、評価、感想などよろしくお願いします!
・こちらも観ていって下さるとありがたいです。
名を上げる。ボカロBGM:最終決戦~ファイナルバトル~
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ