表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
少女は異世界ゲームで名を揚げる。~ギルド『放課後クラブ』はエンジョイプレイを満喫するようです~  作者: ゆめみじ18
第8章「FRO~幻想VS現実~」西暦2034年10月18日

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

199/789

第169話「ボスラッシュ2」

 ところ変わって、今回は名もないAランクモブ冒険者の物語をしようと思う。


「第一線、最前線組はもう古代ダンジョンに入ったな。遅れず俺も続くぞー!」

 モブ冒険者はジャンプしながら第1戦組に飛びついた。やがて、大型トラックも入りそうな大門へ着いた。

 観ると巨大なビックスクリーンが壁画のように描かれている。それは1~5まで居るボスモンスター?のわずかながらの情報だった。

「お! 今回は前情報なしって訳じゃないんだな。ラッキー!」

 とか言っている、今回コピーされた冒険者の存在を【知らないプレイヤー】はそう感じた。

 だが、今回のボスの存在を【知っているプレイヤー】からみたらその楽観視に罵声が飛んできた。

「なに言ってんだよ!? あいつらが前情報だけの動きをするわけないだろ!!」

 Sランク冒険者が覇気を纏い罵声を浴びせ。

 Aランクモブ冒険者がビビり。

 Bランク冒険者が、何とか後ろから追いついて来たにも関わらず。その覇気で心神喪失して倒れた。

「全員、どこかの大陸のチャンピオンレベル。それが5人いてなんと【勝ち抜け戦】だから、常軌を逸している」

「地下4階の不動武ふどうたけるって知ってるか? Sランク1位の『最果ての軍勢』のリーダー。つまりアイツ1人だけでも、誰も勝てたことが無い」

「だよなあー。未知未踏が好きすぎるだろ、今回の運営……呆れてものも言えねえ」

「何にしてもいつものイベントとはわけが違う。名前を聞いただけで、誰も勝ち方を知らないんぜ、今回……」

 Aランクモブ冒険者は驚愕する。

「え、それが5人居て。勝ち抜き戦!? じょ冗談じゃねーぞ!! あ、回復アイテムは使っていいんだよな!?」

「使って準備はしていいが……5人相手じゃ。……いや無理だろ」

 早々に、1人のSランク冒険者の心が折れていた。

「ハハハ馬鹿らしい! 無駄にハードルを上げすぎだろ! 直に戦ってもいないんだから!」

「いや、あいつらに限ってはそれはない」

 Aランクモブ冒険者は今の戦場の状況を確認する。モニターを見る、貴重なボスの情報源だ。見ないわけにはいかない、というか対策しないわけにはいかない。まず目に止まったのは。

「全員、アビリティで《神速》持ちかよ……」


 そして第1陣の1番隊30名が、【負けて帰って来た】。いわゆる、死に戻りである。

「ただ動くだけで《神速》状態だったぞ。技も使ってないで……」

 第1陣全員が鳥肌を立たせる。

「お、おい! どうだったんだ! 四重奏『浮遊超気』の情報は! 情報は……ッ!」

「俺達だってそのつもりで行ったさ! でもダメだった! 何の情報も得られませんでしたぁ――――ッ!」

 無駄死に。その言葉が一番よく伝わる言葉だった。

 第1陣のSランクギルド達が静まりかえる。

「で、でも。負けた時のペナルティは無いんだな……」

「そ、それだけは。救いだな……」

「じゃ、じゃあ何回も戦えば、【いつか】は勝てるんじゃ……」

「【遥か】かもしれねえし【此方こなた】かもしれねえぞ」

 意味が解らない会話だが、Sランクギルドには意味が解るので。逆に誰もツッコまずに。ただ、戦慄だけが残った。

「こ、言葉遊びのつもりか? そんなの言語道断で……」

「あいつが、浮遊超気がそんなことするタマじゃないことは知ってるだろ!?」

 Aランクモブ冒険者は知らない。でも知ってるSランク冒険者は、それはもう狂乱の嵐だった。

 全員勝つ気はある、引く気もない。戻る気もない。

 戦う前から、心を折られている。そんな気持ちだった。でもただそれだけのプレイヤーだったら、Sランクとは呼べない。

「さあ、お前ら。ここからが本番だぞッ!」

「おぉ、そうだな!」

「あぁ、やってやろうじゃねえか!」

「うひょー! 楽しくなって来たー!」

「わ、私の見立てによると。これは○○大戦と同等か、それ以上の高鳴りを感じるわー!」

 Aランクモブ冒険者は思った。

(い、イカレテル。まあ、俺もたいがいソウだけど……)

 一大イベントは、まだ始まったばかりだ。


 Aランクモブ冒険者はそこらのモブとは一味違った。

「お、俺。ここで手に入った情報を、街の温泉街まで持っていって。皆に共有してくる!」

 冷静で健全で優秀な対応だった。戦略撤退とも呼べなくもない。

「ああ、その方が良い」

「助かる! 俺もそう思ってたところだ」

「異世界攻略軍と地球防衛軍とか言ってる場合じゃねえよ、協力しなきゃクリアなんて夢のまた夢だぜこれ」

 誰も彼の事を弱腰と呼ぶものは居なかった。卓越していた。小バカにすらしない。

「俺たちはSランク最前線は、あとへ続くものの為に、有用な情報を少しでも多く。手に入れる事が役目!」

 Aランクモブ冒険者は少し安堵した。

「で、情報は」

「第1関門だけだが、持って行ってくれ!」

「おお、この短時間でこんなに……よし!」

 と、託されたので。街の方へ走って戻っていった。



 現在入手している情報。

 地下一階、VS四重奏『浮遊超気ふゆうたつき

 天候:暴風

 能力:光風

 戦闘スタイル:拳と蹴りによる接近戦闘、たまに遠距離圧縮爆風攻撃あり。

 アビリティ:《全力》《神速》《剛力》《反射》《乱撃》《飛行》《圧力》《壁走り》《壁破壊》《輪唱》《真空波》

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
・よければブックマーク、評価、感想などよろしくお願いします!
・こちらも観ていって下さるとありがたいです。
名を上げる。ボカロBGM:最終決戦~ファイナルバトル~
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ