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少女は異世界ゲームで名を揚げる。~ギルド『放課後クラブ』はエンジョイプレイを満喫するようです~  作者: ゆめみじ18
第8章「FRO~幻想VS現実~」西暦2034年10月18日

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番外編16「打ち合わせ」

 現実世界。西暦2034年10月18日17時00分。

 仮想世界。西暦2019年05月18日17時00分。


 『ファンタジアリアリティ・オンライン』がスタートして、おおよそ1時間が経過した。


 現実世界、秋葉原の喫茶店。政府との打ち合わせ。

「ふむふむふむ、なるほどなぁ」

 神道社社長、天上院姫は手に持てるだけの資料の海からどっぷりと浸かり。そしてゆっくりと浮上してきた。相手は政府の役員。

「現状のシュミレーションとしてはどうでしょうか?」

「うん。悪くはない、悪くはないが……私がちゃんと船の舵を切らないと回りも空回りすることだけは解った。まあこの場合は合唱コンクールの指揮棒だが……」

「私はゲームのシステムをもう少し【改善】した方が良いと提案しますが……」

「いや。そこはまだいい、冷静に冷静を重ねて鑑みても。まだ始まって1時間だ、やっとPCが温まってきた所でメンテってのも無粋だろう。あんたらのフォローは買うが、私にも私なりのテンポと言うのもある【熟考や構成】はいいが【実行】にはまだ早い」

 天上院姫の決定は≪世界樹シスターブレス≫全土へと渡って響く。それは本当に世界規模だ。そのことも考慮し今回は慎重に検討する時間が欲しいといったところだった。

 剣と魔法のシステム。純粋なゲームのシステム。メディアミックスへの波及……。AI的にも、人間的にも『私ならこうする』を少なからず見た。だからこそ、己の基盤を大切に作りたいといった所からの【メンテの延期】だ。

「では、社長の基盤はどのようにお作りになるので?」

「そこは今も昔も変わってない。『心』だ、心を基盤に作る。それは揺らがない」

 『心』とは言いたくないが、『精神』は揺らぎに揺らぎまくっている。無邪気に遊んでも良いんだろうけど、そこは責任を重んじて遊びたいというところも本音だった。いわゆる、本気と書いてマジ。

 かと言って。あっちもチェックしたい、こっちもチェックしたいじゃ。何も出来ない。

「んん……、……」

 まるでどこかの侍と将棋でも打っているかのような、間の取り方になってしまった。

 幸い。生死を賭けた斬り合いではない、これは自分との心の戦い。それをどう、政府にお披露目するか……。

「……。私は面白いのを作るのが仕事だ、それ以外の業務は邪道だとも考えている。少なくとも私は」

 仮に、清掃業務を邪道と考えているかと言えば断じて否だが。ゲーム会社の姫君としてはやっぱり違う。そこは大人な対応をしてくれる政府役員さん。

「おっしゃる通りでございます」

 ――で、あるならば。

「私のフィールドはようやく温まって来た所だ。他のフィールドが十分に温まっていたとしても、私のフィールドで体感『残り4時間』。現実世界で21時になったらメンテに移る。それでどうだ」

 それを遅いと感じるか、速いと感じるかは差異が生ずるが。とりあえず政府は了承した。

「――かしこまりました」



 現実世界、神道社。運営との打ち合わせ。

 現実世界。西暦2034年10月18日17時15分。

 仮想世界。西暦2019年05月18日17時15分。

「運営諸君、どうだ調子は。異常は無いか?」

「は、皆もみな。作業に大分慣れてきました。新体制ではありますが、これなら今後もいけそうです」

「そうか、それは何よりだ」

 お金による給料の精神的安定が功を奏したのだろう。反感や批判は、目に見えて激減していた。

 元々、変な精神論は。天上院姫の独りよがりな理論だ。彼女は自分に厳しく他人に甘い。ついでに言葉足らずな感覚主義者。それが以前の彼女だ、それが彼女の過去。そう、もう過ぎ去ったのだ。

 怒涛のような自然災害の嵐は、吹き飛び。あとには爽快な雲一つ無い晴天が広がっている。そんな雰囲気。依然、予断を許さない状況ではあるが。ゲーム稼働からまだ1時間だ、稼働前に実験を繰り返しても。失敗するのはむしろ当たり前。大成功は基本奇跡の業だ。

「長く続けばいいが……」

 それは結果的に自分の妹が実験台となってしまった、エンドゲームの話だ。あくまで結果論だが、無意識に巻き込んでしまったのは本当に頭が上がらない。もっと打ち合わせが出来ていれば、人と話していれば。ゲームで交流していれば……。ダメだった所を洗い出していたら霧が無い。

「もっと皆を信じられていれば……」

 自分も他人も信じられていれば……。

 そこに、弱音をはいた社長に。数人の運営社員が喝を入れる。

「社長。それでも我々はここに居ます、去っていった人達も確かにいます。ですが私たちはこうしてあなたについていっている。そのことをお忘れなく」

「そうだぜ社長! これから俺たちを信じろ! 俺たちをタダのアマチュアと思ってもらっちゃ困るぜ!」

「ええそうですとも。我々は、立派なプロフェッショナルなのですから」

 天上院姫は目頭が熱くなった、半泣き状態である。

「皆、……ありがとう。私も、負けないように頑張る!」

『おぉ!!』

 社内にも良い空気が流れ込んでいる。これからだ、これからなのだ。

 ついでに言うと、彼女の夢はまだまだ始まったばかりなのだ。そのことを再認識する。自覚する。決意する。

「ん~やっぱ言葉足らずだったのかなあ~?」

 と、神道社社長。天上院姫は自問自答していた。



 現実世界、神道社。天上院咲との打ち合わせ。

 現実世界。西暦2034年10月18日17時30分。

 仮想世界。西暦2019年05月18日17時30分。


「咲、今そっちはどんな状況なんじゃ?」

『いや、今絶賛ゲーム中の戦闘中なんですけど!? ながら作業の並列思考なんて私訓練してないし出来ないよ!?』

 と、言いつつ。VRMMOでフルダイブしながらやってのけるのが。咲を特訓した姫のせいなのはさておき……。戦場でのバトルは続いていた。

「ふ~ん」

『ふ~んじゃないよ!? 何さ用事があるなら早く言って! こっち今手が離せないんだって!!』

 画面越しから、何やら絶叫が轟いていた。

『スーパーフレア・フルバースト!』

 ――チュドーン!!

『うわああああああ!?!?』

 爆裂魔法が炸裂していた。咲/ヤエザキは悲鳴を上げていた。

「うん、楽しそうでなによりなにより」 

『楽しくねえよ! こんにゃろう!!』

「ふふふ。そっかー問題ないかー、なら切るね~」

『おう! あとでピザまんオゴレー!』

「おっけーあとで太るなよ~」

『だからそういう! あ! 切るな……!』

 ――ブツン、と連絡が途絶えた。


「……ふ~ん。まバグとか無ければ問題ないっか。さーってこっちはゲーム内時系列でも作るか―。無いと皆困るだろうし」

 と、社長は世界全体の事を考えていた。

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名を上げる。ボカロBGM:最終決戦~ファイナルバトル~
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