第150話「社長の号令」
神道社、運営管理室。天上院姫は各運営に連絡した。
「なに、〈紅白頂上戦争〉やりたいって? いいぞ。今からやっても」
天上院姫は、基本自然放置主義だ。だからと言って、それは今まで『世界樹の種』が勝手に芽吹いていたのを知らなかったからこそである。
ので、ある程度データの手入れはする。天上院姫のシナリオの代案を提出して、運営陣が持っていき。
各々の解釈で味付けをするのを今更「全部するな」とも言えないので。「いいよ、やっても。私も見たいし」と言わざる終えなかったというのが本音だ。
境界線が曖昧だが、少年ジ〇ンプやプリキ〇アで表現されてるのは基本OK。これは大の大人が責任を持って世に出したからである。
逆にデッドゾーンはHとG。これは単に天上院姫が見たくないからである。という個人の采配が大きいので。「表現の自由は良いが、私の見えないところでやってね。私は見ない」が基本スタイルだ。
注意すべき点は【シナリオの代案を提出して】というところである。これは運営陣に公開したものは、基本変換OKなのだ。
つまり、脳内設定はバツ。PCに原案を非公開で書いてる時もバツ。運営陣に提出したものはマル。と言った具合だ。
「〈紅白頂上戦争〉については、やりたい気持ちも解るしマル。だが、他の運営陣が独自解釈して失敗したものに対しては責任は取れない」
優秀な運営陣が一人食い下がる。
「では成功したものに対してはどのようにお考えでしょうか? 社長の口から、直接お聞きしたいです」
脳内設定で満足しないのは流石だな、と思った天上院姫。
「利益が出たのならそれは【私達】に返上してもいいし、しなくてもいい。財布と相談してくれて構わない。私は個人で楽しんでたものが、こうやって拡散されてるだけでも嬉しいんだ。今更利益よこせというのも無粋だよ」
優秀な運営陣は、周りの運営陣に言って聞かせる。
「つまり。社長はご自身の作品が広まるだけでも嬉しいということだ。運営諸君、失敗を恐れるな。何より自由に遊ぶことを心せよ!」
運営陣が奮い立つ。賛否両論を恐れていては表現なんて元から出来ない。それは個人でも全体でも同じこと。指針がある、それだけで喜ばしきことなのだ。
表現の幅は、社長が意図していなくても示してくれた。相当変なことでもしなければ、アウトゾーンには引っかからない。
「公園は用意した、あとは自由に遊べ。それが全てだ」
社長は面白いものを今か今かと待ち望んでいる。合唱も大事だが、つまりはそういうことだ。
◆
「ところで『九賢者魔団』に対してだが」
一団体を名指しで指名する天上院姫社長。
「引き続き、私の手の届かないところの補佐をよろしく頼む。と礼を言っておいてくれ」
『は!』
それ以上は、運営陣は何も問わなかった。




