第145話「可視化」
「現実世界の状態異常は長期的な調査が必要そうだから、耳に入れといただけに留めておく」
「あら。まあ私は報告したから役目は終えたから良いけど……」
「うん。ゲーム機の事は今回ので終了だ。次はいよいよゲームソフトのシステムの方だ。で、一つの要望が目にとまったわけだ」
「【アプデは可視化してほしい】……? お姉ちゃんマジで社長で運営やってたんだねえ~……」
「……今更過ぎてもう突っ込まんぞ。兎に角! 今までのゲーム機は借り物だった、それを今回私の味付けで改良した。次はゲームソフトの方だ、私の真の味付けも、咲が居たおかげで大分形になってきた」
「それが今回の改良ルールってこと?」
咲はタブレット端末に目を通し、ゲーム『エレメンタルマスターオンライン』の新しいゲームシステムのルールを観る。
色々な微修正の羅列が設けられていたが、今回の目玉はどうやらこれらしい。
◆西暦2034年9月13日、午後。Ver.1.7.1『心のエレメンタル』
『エレメンタルマスター』ゲームのルール。ver.1.0.5
【1つ】エレメンタルマスターは『心』と『心』の勝負である。
【2つ】『心のエレメンタル』は1文字から4文字までで設定する。
【3つ】武器の所持数は自由。特殊能力はひとり一つまでである。
【4つ】プレイヤーは、自身の特殊能力と弱点を明記し。公の場で公開しなければならない。
【5つ】ルールはシーズンが終わるまでは不変とし。ver.が変わるまでは環境に適応しなければならない。
【6つ】以上のルール以外は、全てを自由とする。
天上院咲は、長ったらしくとも。姫が頑張って作ったルールを読み上げる。
「えーっと、詳細な理由は……」
・1つ目、心が強いほうが勝つ。この大原則は揺らがない。
・2つ目、文字数が少ないほど強く、多いほど弱くなる。これは文法の量が多いほど、強くなることを防ぐためである。
・3つ目、ただし、1つの特殊能力に複数の能力を付加させるのは可能とする。上限はないが、魅せ方に美しさがないと逆効果になる。
・4つ目、ゲームなので戦闘開始前から最強無敵の能力不明、弱点なしという理不尽さを否定する。
・5つ目、世界やルールや理が違う新規参入者は必ず出てくる。ver.が変わるまではそのルールの中で最善の戦略を立てるのが真のゲーマーである。
・6つ目、ルールを守って自由に遊びましょう。
咲は目の前で言い終わった後、姫に疑問を投げかける。
「まあ、ルールの事は良いんだけど。これ、ウチ(エレメンタルマスターオンライン)だけでやるの? 『世界樹シスターブレス』だっけ? に連結して全ネットプレイヤーにプレイできるようにするの?」
「『このゲーム』のことは十分理解してるが。……プレイヤーへの影響がわからんからなあ、念のためにウチのゲームソフトだけで。やってみる」
「なるほど。つまり、大幅にシステム変換されてる所には関与しないと……」
「そういうことになる。『エレメンタルマスターオンライン』をガチで遊びたい人のみ、自由にログインしてくれればいい」
咲は変換への影響への定義を投げかける。
「定義確認。今回の変換とは、ゲーム業界だけである」
「否定する。漫画、アニメ、ゲーム業界のみで。政治、仕事、家庭での影響に責任を負わないものとする。つまり無関係」
「ふーん……それでも範囲広いわねえ。『エレメンタルマスターオンライン』」
「まあそれだけエールされてるのかな? まあいいんじゃが。と、いうわけでアプデの公式発表は以上じゃ、細かく発表すると私たちの会話がアプデの話だけになってしまう量だし」
とニコやかな笑みで返す天上院姫。相変わらず忙しそうだ、いつ休んでるのか不思議なくらいだった。
「おっけーい! じゃあ私は今回のゲームに初陣で乗り込むよー!」
「おう、じゃあ楽しんでみてくれ!」
そういって。その後、天上院咲は。
『エレメンタルマスターオンライン』Ver.1.7.1『心のエレメンタル』
にログインした。




