第143話「状況確認」
アルテマ島、始まり市。飛空艇・空母エヴァンジェリン。今は休憩時間、リラックスタイムだ。
あんまりにもあっちこっちに意識が霧散してしまい。集中力ほぼゼロの極地にまで慌てふためいて。混乱し、動揺し、落ち着こうとし、冷静になったヤエザキ。
「まずは状況確認だね! お姉ちゃん、クイズを出して! それで暗記してるか確認する!」
脱力しながら鉄の床で寝そべる姉は、適当に思うがままクイズを出すことに決めた。
「問題、今やってるゲーム機の名前は?」
「第4世代機『MFC000(ミラーフォースコンバートオーズ)』!」
ヤエザキは姉である農林水サンに向けて、手でもって指し示す。
「問題、私たちのギルド名と。今のギルドランキングを答えよ」
「ギルド『放課後クラブ』! ランクは~……B、だったっけ?」
「そうだな。一番最近のクエストでギルドランキングBで、変動は無かった。まあ私から見たら? 予想外のアクシデントにあたふたしてるヤエザキだったが。初陣組だったこともあり、他のギルドも手探りだったのが大きいかもしれんのう」
今度はヤエザキと座りながらキャッチボールを始めた。
「問題、今やってるゲーム『エレメンタルマスターオンライン』のバージョンはいくつ?」
「えっと……。ごめんなさいわかりません」
「これは仕方ない。一瞬、『Ver.1.7.0』に成ったが。『Ver.1.6.4』に戻って、修正された」
「ひっかけ問題!?」
「まあ、これは運営の落ち度だから仕方ないよ。お詫びの品ももらっただろう?」
「む、確かにログインしたときにGを少しもらった」
ヤエザキと農林水サンは座りながら、キャッチボールを続ける。
「問題、現実世界で今何日?」
「それ、ゲームの話じゃないよね……? えっと。西暦2034年9月11日、午後」
「問題、≪ヤエザキ親衛隊002≫の傘下に入ったギルド名とリーダーの名前を答えよ」
「えっと……。ギルド『九賢者魔団』でリーダーさんは『ガンダルフ』ってこれ良いの? 合法? なんか悪い気が……」
「違法でも合法でも。私が良いって言ってるんだから良いんだよ」
そう言いながら、農林水サンは鏡を持ちながら言う。なお、キャッチボールは継続中……。
「問題、これから先私たちがやるべき目標は?」
「えっと~……決まって、ない?」
「正解」
「ぁあ……」
一瞬間延びして、ヤエザキのボールが落っこちた。姉妹のキャッチボールは妹の失敗に終わる。
「ま、そういうわけだから。今のうちに生気を養えよ~。また何か始まったら忙しくなるからなあ~。てわけで、今から少しの間。自由行動な~」
農林水サンは鉄の床から起き上がり。背伸びをしながら。次に備えようと、持ちかけ。ヤエザキ一人を残して、どこかへ散歩しに行った。




