番外編14「宿題」
現実世界、創造歴2034年8月ぐらい。
天上院姫は手動で動かせるアナログ時計の針を。進めたり、戻したり、止めたりして、考え事をしていた。
そして導き出された考えの答えを研究者達に叫びながらぶちまける。
「お前らが勝手に持って行った研究成果! 出来てるとこまで写させろ!」
研究者達は動揺しながらお茶をにごす。
「そ、それはうさぎの資料。カメの資料、クマの資料。のどちらでしょうか?」
誤魔化そうとする言い回しに、渋々付き合う社長、天上院姫は怒っていた。
「カメの資料だ!」
「もしかして、カメの資料をリセット。我々が積み上げてきた成果を、初期化するおつもりですか?」
恐る恐る聞く研究者に。姫は渋々、研究者たちに言う。
「そんなつもりはないが、全部写すのも面倒だ。大事な所だけ写させろ!」
「大事な所ですか……」
「それを元に、MFC000(ミラーフォースコンバートオーズ)に組み込んで昇華させる」
姫はM:物理とF:特殊とC:変化を16進法から10進法に戻した、理由は暦が10進法で出来てるから。こちらのほうが、都合がいいと判断したからだった。
大方の状況を把握した姫は、『見た目は違うが中身は一緒』という結論にたどり着き。自分の手から離れても、『手に余るわけではない』ということが解った。
すなわち、今から、今さら、でも。十分に修正可能ということだけは解った。雲の王国ピュリアは落ちてない、それだけはわかることだった。
「そうなってくると……始まりの街の設備を充実させるか。結構皆、拠点にしたりしてるみたいだし……」
色々考えながら、家に帰ってきた天上院姫に天上院咲はこう。ボソッと呟いた。
「全ての空は繋がってるのなら、もういっそのことファンタジー世界1個分作ってみたらどうだろうか? オープンワールドってことで」
一瞬呆けながら間を開ける姫は、「それだ!」と返す。
「そうだよ! 全ての場所が地続きなら、地域で起こったことが別の地域で起こるって現象も出てくるし。東西南北と太陽の位置関係が重要になってくるんだったら、太陽や凪から抜け出ない! なら、異世界惑星を最初から作っておけば、全部の世界を自地続きにできるし。シェアワールドとしても効力を発揮する! 何より、私が惑星一個分で落書きしてると解れば。私も管理しやすいし、ほかの人も理解しやすい!」
余計なこと言っちゃったかな? とも思った咲であったが。広い視野的に考えられたのなら。それに越したことはないだろうと、心を落ち着かせた。
「できそう?」
「まあ、やってみる」
話はそこで終わった。




