第127話「3cカジキ地区1」
「ねえ2bシシ地区のボスモンスター強すぎなかった?」
サキが疑問に思う、いくら何でも体力も精神も削り過ぎだった。
「確かに、あれは度を超して強かったわよね。名前もないただのモブボスの割には」
『あーすまん、隠しレア度の調整でモンスターが強くなり過ぎた』
誤解を払しょくしようと、社長である天上院姫が通話画面から割って入ってきた。
「隠しレア度?」
『本来観せないんだけどな、運営が基準にするためにつけるレア度。ゲームに実装するときには問題が多すぎて消す代物だ』
「あー運営サイドの問題だったんだ……、じゃあ強く設定し過ぎたのね。……え、じゃあもしかして同等のレア度のアイテム。ていうかボスモンスター他にもいるの?」
『あーうん。同等の存在はもう1体居るんだ、すまない』
「先にあやまるなし」
逆に苦笑しながらサキは姉の言い分を聞く。
「で、その超強い同等の存在のボスモンスターは何処にいるの?」
『1aサソリ地区、アイテムは『全王の概念聖書【封】』だ。正直、そこは最後の決戦の場にした方がいいぞ』
その時、ドコン! とちょっと遠く。1aサソリ地区から【なにか】の地鳴りが、自分たちが居る3bワシ地区にまで鳴り響いてきた。1bオオカミ地区を占拠した〈白チーム〉のプレイヤーが、群をなして空中に吹き飛んでいるのが見える。米粒のように人影が飛んでるのが見えてしまった。
「あーうん。貴重なご意見ありがとう、大いに参考にするわ」
今入った情報も入れて、現在の情勢を図にするとこうなる。
a b c
1◇〇×
2×●×
3×●×
他はどっこいどっこいのレア度らしいが、何が起こるか解ったもんじゃない。サキ、蒼葉、桃花はデジタル的なマップを観ながら、作戦会議に入った。
「1aサソリ地区は〈白チーム〉単体では倒せないくらい苦戦を強いられている」
「てことは2aオウシ地区と3aカメレオン地区には攻め込みずらいってことね」
「じゃあCライン、1cテンビン地区と2cヘビツカイ地区と3cカジキ地区を先に攻略しよう」
「うん、無難に考えればその方が速くて楽よね。総合力で勝たないとこのイベントに勝ったことにならないし」
「てことは、今居る3bワシ地区から次へ移動する最善の選択は……」
「3cカジキ地区だね。そして2cヘビツカイ地区でまたひと悶着がありそう、て予想が立てられる」
「行くべき場所は決まったね」
「よし、じゃあ無理をし過ぎない程度に思いっきり楽しみましょう!」
「「「おー!」」」
◆3cカジキ地区、周りを池に囲まれている孤島◆
橋を渡りながら孤島の内側へと入ってきた3人、走りながら2cヘビツカイ地区へ行くその時、通路を塞ぐかのように、グニャリと空間が歪む。
「あ! お前は!」
「悪徳宗教家だ~!」
「またなの!?」
歪む空間と空間から現れたそれは復讐鬼だった。
「フフフ、システム外スキル『違法ジャンプ』です~。1bオオカミ地区から3cカジキ地区へ大ジャンプです~! ま、いつ規制されるか解ったもんじゃないですが。今のうちにね」
サキが同じ目線で復讐鬼に威嚇する。
「うわ! 卑怯! 使えるうちに使っておこうって魂胆か!」
すると復讐鬼はベルトを手を構え、手から職業マークのようなものを浮かべて変身する。
『カオスクロス! 召喚士! 魔王! ダダダ大魔王ゥー!』
「さぁ、さっきの仕返しをしてやりますですぅ! ショウモンチョウ様! 見ててくださいですぅう!」
するとブタ型の魔獣を召喚してきた。
「ばっちり観ているお姉ちゃん、違法してるけどどうしようかこれ……」
『面白そうな小物だから放置で』
「運営ザルだなおい!」
サキの突っ込みが木霊した時、巨大なモグラ型のエリアボスモンスターが『炎の王盾ネブカドネザル【封】』を装備して地面から現れた。
またボスとプレイヤーの二択である。
「またなのー!?」




