第120話「2bシシ地区1」
2bシシ地区は5重の塔、フェニックス型のモンスター、装備『世界樹の種【封】』。
「おやあ、また会いましたねえフフフ」
「ゲゲ! この前の宗教家!」
相手が誰だか知らないので桃花がサキに質問する。
「誰?」
「名前は、復讐鬼。ギルド『日没の黄蝶教団』の人よ」
サキと復讐鬼が戦闘態勢に入ろうとしたその時、上空からフェニックス型のモンスターが出現する。
「キシャアアアア!」
目の前に敵が、プレイヤーとモンスターの2人顔を合わせたような形になった、どちらを攻撃すればいいのか迷う蒼葉と桃花。
「どっちと戦う?」
「うわーやりにくそうな相手ー!」
この場合闘わないという選択肢は無かった。それはお祭りに参加しないと言っているようなものだからだ。答えは見つからなかったが、サキは前準備として散り散りになって戦うことには否定的な意見を述べる。
「皆でバラバラに行動するのはよろしくない、とは思う。やるなら3人一緒にアタックしたい」
悩んでいる間に復讐鬼はとりあえず戦闘態勢に変身しようとする。
『カオスクロス! ガンナー! 魔法使い!』
「変身でゴザイマスウウウウウ!」
『ママママ魔砲使いー!』
遠距離型の魔砲使いに変身した、狙いとしては。空を飛んでいるフェニックス対応のために、近距離ではなく遠距離用の職業にカオスクロスした。という言い方だろう。
「こいつを倒してからボスを倒すか、無視してボスを倒すかの選択肢しか無いねえ」
サキは迷った、どっちも厄介な相手には変わりがないが。どちらを相手にしても時間はかかるだろう。
フェニックスは5重の塔のてっぺんに不時着した、高いところから見下ろすフェニックスは。2bシシ地区に全体攻撃の火の雨を降らせる。
「キシャアー!」
とその時、逃げ惑う大量の犬の格好をしたプレイヤー群が。最後尾に居る湘南桃花の後ろをすれ違った。形としては3bワシ地区に逃げ惑い一時撤退するような形になっていた。
ピクリと、この世界が動く前提条件の『理由』を【思い出す】。スペックが人間である以上、無理がある動作は出来ないので。とりあえず【愉快に笑っている悪党のような存在の火の粉を釘バットで祓った】それだけだった、彼女にとっては簡単だった。
いや、【めんどくさかった】。そうして、再び目の前にある艱難に目を向ける、あるいはワクワクドキドキする冒険に。彼女は再び童心に帰る、そして第一声。
「面白い」
それだけだった、答えを見つけた子供のようだった。そして桃花は続ける。
「サキちゃん!」
声が、先頭に立つ未来に響いた。
「あいよー!」
その声に蒼葉が続く。
「存在を操る火の粉じゃ厄介だね、でも決定打にならない!」
「そだね! んじゃまずはあの宗教家を倒そう!」
フェニックスはフィールドを存在の火の雨を全体に振りまいてくるだけで、決定打にならない。そう判断して『放課後クラブ』は標的を復讐鬼に切り替える。




