第118話「オセロ型領土抗争」
現実世界2034年8月2日の午後。
2bシシ地区、宿屋『ゆっくり』で名前の通りゆっくりしていたサキと蒼葉だったが、何やら外が慌ただしかった。
NPCのおっさんに話を聞いてみると、まるでこの街に住んでいたら当たり前のように返答が返ってきた。
「あんたら知らないのかい? もう結構なプレイヤーがそのクエストの準備してるぜ!」
最前線攻略組の動きが速いこと速いこと、でも遅い人もちゃんと居る。速い人が目に留まってしまうというだけだ。
「え……私知らないんだけど……お祭り?」
クエストの内容すら知らないサキと蒼葉だった、ここでの定時クエストは午前の部と午後の部に分かれているらしい。参加の有無はプレイヤー次第。
放課後クラブは放課後が活動時間なので、自然と午後の部となる。
「皆お祭り好きだね~」
蒼葉は笑顔とともにサキをみる、単純に楽しそうだった。サキはマイペースに街の外を歩く。
「……まぁ、お祭りなら仕方ないか。前準備って大事よねえぇ~」
折角なのでそのクエストに参加することにした2人は受付の前まで来る。
エリアクエスト『オセロ型領土抗争』
9地区に9体のボスモンスターが配置されている。
オセロをモチーフにした白と黒のチームにギルドは分けられ。
より速く撃破出来たほうが、そこの領土を主張できる。
サキと蒼葉が参加するのはCランクからBランクまで参加可能のクエストに参加登録して外に出る。
他のプレイヤーも各々のランクのフィールドへ散ってゆく、極端な話。自分たちと同等ぐらいのクラス以外は関係がない。
ルールは簡単だ。9地区のうち、多く領土を獲得したチームが勝ち。
1aサソリ地区は平地、恐竜型のモンスター。
1bオオカミ地区は沼地、ゴースト型のモンスター。
1cテンビン地区は空き地、電気ネズミ型のモンスター。
2aオウシ地区は城壁、ゴーレム型のモンスター。
2bシシ地区は5重の塔、フェニックス型のモンスター。
2cヘビツカイ地区は格闘闘技場、巨人型のモンスター。
3aカメレオン地区は森、ゴリラ型のモンスター。
3bワシ地区は空き地、機械型のモンスター。
3cカジキ地区は孤島、モグラ型のモンスター。
サキが知っている参加ギルドは以下の通り。
Bランクギルド
1位『非理法権天』
2位『エンタメ部』
3位『日没の黄蝶教団』
Cランクギルド
1位『ルネサンス』
2位『放課後クラブ』
大体プレイヤー60人、12ギルド。それ以外の他のプレイヤーとは部屋が違うので出会うことが出来ない。
そして白黒チームに分かれることになる、知っている形では以下の通り。
〈白チーム〉
『ルネサンス』『エンタメ部』『日没の黄蝶教団』
〈黒チーム〉
『放課後クラブ』『非理法権天』
そうして、18時。開始の合図が。全エリア、全部屋で鳴り響く。
「ま、最終決戦のつもりで行きますか!」
「おー! なのだー!」
サキと蒼葉の二人組は、またもや足並み軽く。最終決戦のつもりで始まった。
ちなみにヒメとエンペラーと遊牧生は不在である。




