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少女は異世界ゲームで名を揚げる。~ギルド『放課後クラブ』はエンジョイプレイを満喫するようです~  作者: ゆめみじ18
第5章「戦乱都市アスカ」西暦2034年8月1日

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番外編11「初心者育成」

 何だかんだやってたら普通に長旅をしてきてしまった咲。一番の育成は実戦の本番なのは解っているが、それでも一度やってみたかった〈教える〉ということをやってみる。

 今回は結構お気楽な訓練だ。咲のお古をもらった蒼葉だが、多分装備を取ったら基礎的戦闘能力は弱い。9歳だし。

 ということで咲は全くの我流だが〈指南役〉をやってみることにした。咲と蒼葉が持っている装備は普通の片手剣のみ。

「まずは普通の縦攻撃と横攻撃をやってみて」

「こう?」

 すると何の型もない、縦と横を振り回す攻撃を風が薙いだ。素振りにも満たない弱々しい剣だった。

「ふーん……」

 まずは蒼葉の実力を把握するところから始める。

「じゃあジャンプしてみて」

「わかった、ほい! ッ……んあぁ!」

 こてんと尻もちをついた。

「……、じゃあ何もしないで私を見てて」

 咲は悠長に、平然と、だらんと脱力する。

「こう?」

 蒼葉は、緊張を解きほぐそうとして。ダランと固まった。

「……。ふむ、フム……初心者と上級者の狭間、セミプロの位置に居るから難しいわね、もっとこう私も〈型の力〉を抜いて……」

 一人ブツブツ喋る咲、そして次の指南は。とりあえず柔道も受け身から覚えるところから始まるので、防御方法を教えてみようと思った。

「剣を前に構えて、攻撃を押し殺してみて。カーテンで薙ぐように」

 咲のゆっくりとした剣線が蒼葉を撫でるように捉える。

「こう?」

 オロオロしく身をグーの字に構える蒼葉。

「それじゃあ自分の剣に当たっちゃうわよ~。じゃあ次、掛け声やってみて」

「……? 何で?」

「いかくよ。セイ! ハア! って」

「いかく……それって意味あるの?」

「あるわよ。気合が入る」

 根性論になっていた。

「さっきから本格的な剣術指南になってるけど、ゲームだからオートモードとかあるんじゃないの」

「私はセミオートで戦かってるからなぁ……」

 セミオート、テ〇ルズ風に言えば。1ボタンを押せば最長、秘奥義までやってくれるアレである。

「でも通常攻撃は基本ノンオートよ。一撃入って、流れが出来たらセミオートの技が勝手にやってくれるけど。最初のヒットは通常攻撃、つまり現実世界の身体能力が試される実力世界」

「へー知らなかった~」

「私も言いながら今知った」

「ほ~!」

「…………」

 ちょっと頬を赤らめながら照れる咲、教え下手である。教えるのも教わるほうも初体験なのだ。

 

 咲は指南を続ける。

「ちょっとこれ出来る?」

 最初に後ろに残像の竜尾を構え……。

 地脈を縫うように土属性の縦斬り。

 水の濁流のような水属性の横斬り。

 火を旋空するように取り巻く火属性の右斜め斬り。

 風の豪風を巻き上げる風属性の左斜め斬り。

 最後に目を白黒させるような二連続の突き。

 地水火風闇光の6連撃、〈森羅万象の円舞ワルツ〉だった。

 

 パチパチパチと「おー!」と歓声を上げる蒼葉。

「お姉ちゃんが観たらまだまだこんなもんじゃないだろう? とか言いそうだけどとりあえず……真似してみて」

 

「はーい!」

 最初に恐る恐る後ろに剣を持ち……。

 土を巻き上げるような縦斬り。

 水を浴びせるような横斬り。

 火をぼわっとさせるような右斜め斬り。

 風をシュワワーっとさせるような左斜め斬り。

 最後にいっちにっと闇と光色の突きが空を貫いた。

 セミオートなので一応〈森羅万象の円舞ワルツ〉は形になっていた。


「できたー!」

「うん、えらいえらい」

 褒められる所はちゃんと褒める。殺伐と一人でやってた時とはえらい違いだなと咲は思った。

 なるほど、蒼葉の大体の実力が解ったと咲は思った。パンパンと刹那。咲は終了を宣告する。

「じゃあ今日は終わりね、またやりましょ~。はいアンパン」

「あ~い! やった~!」

 もぐもぐと食べる蒼葉の頬袋はリスのようにふっくらしていた。

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名を上げる。ボカロBGM:最終決戦~ファイナルバトル~
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