第105話「ミラーフォース00」
姉妹二人は自宅で盤上で3面オセロを遊びながら話を進める。ちなみにこのオセロゲームには特に超自然現象的な意味合いはない。
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「お姉ちゃんが今やるべきことって、ゲームのソフト開発?」
「違うって。今は第2世代機『シンクロギア』でVRMMOのソフト、『エレメンタルマスターオンライン』と『クリスタルウォーズ』を遊ぶ時代だろ?」
「まぁ、第0世代機から第3世代機までお姉ちゃん未監修だもんねえ。第0世代機に至ってはお姉ちゃん生まれてないし……、第3世代機『おーぐまー』はお姉ちゃんが途中放棄したものが世に流れたと……」
「だから。【ソフト】じゃなくて【ハード機】が今わしがやらなくちゃならないことだ。『天上院姫・完全監修』の次世代機、名前だけは先に決まっている」
「それが、第4世代機『ミラーフォース00(ダブルオー)』てことね」
全面的な説明は。遊〇王の聖なるバリアミラーフォースと、機動戦士ガ●ダム00(ダブルオー)から来ているらしいのだが。どうにも天上院咲には嘘っぽく聞こえてしまった。
「で、本当の意味は?」
「さ、流石にお見通しか我が妹よ。そうだな正直に話そう、【双頭の写し鏡】が今の世界を動かす大前提なのだが。今までの私は物理構造だけで特殊構造に目が回らなかった」
「ゲーム内で、物理と特殊。両方を動かすってこと?」
「ざっくばらんに言えばそういう意味合いだ。ミラーは物理、フォースは特殊だ」
「で、ゼロゼロはどういう意味?」
「ゼロからイチを生み出すのが私の夢だ。その夢はもう叶ってるわけなのだが、【双頭の写し鏡】もあるし。私をもう一人、鏡の世界に置いてみた。てのが正しい意味合いだ」
「それで今までとどう変わるの?」
「今も動き続けているオンラインにも対応するって事だろうな。物理の二進法、特殊の二進法」
天上院咲が先読みして確信をつく。
「なにも全部統治しようとしなくてもいいと思うんだけどなぁ……で、お姉ちゃんが目指してる【ソレ】はやっぱり携帯型ゲーム機なの?」
天上院姫の目指すべきゲームは、全く変わっていなかった。そこにリアルオンラインゲームのていそうが、くっ付いてきたと思えばいい。
「そうだ」
「拡張現実型のARで行くの? それとも完全ダイブ(フルダイブ)型のVRにするの?」
「悔しいが先人の知恵だ。私もやって咲もやった、フルダイブの方が色々制御しやすい」
一息の休息という名の間を空けて。咲は首をかしげながら疑問文を投げかける。
「……じゃあ持ち運び出来る携帯ゲーム機で、いつでもどこでもフルダイブのオンオフ可能。てことなの? 大丈夫なのそれ? 危険です、歩きスマートホンはやめましょう。てレベルじゃないよ?」
姫が誤解を何とか紐解かせようと説得が始まる。誤解というより一緒に問題を解くという感じだが。
「今の流行を追いながら例え話をしよう。次世代機は持ち運びできるスマートホン型のハード機。ソフトはアプリ、つまりデータだ」
「うん、それで基本オンラインゲームなんだよね……」
「そう、だからゲームをオンにしたら途端に思考が加速して。二人の間だけほぼ0秒……【てことは出来ない】他社はやるかもしれないがな」
「じゃあどっかの公園で安全確認をして、目を瞑ってゲームをオンにしてフルダイブをする。てことは必須なわけだね」
「あとはリアルですれ違いをすればイベントやら報酬が発生するはやりたいかな……、まぁこれはゲームソフト関係の話になるが」
「じゃあもう『ヘッドギア』じゃないんだね」
「どっちかというと『スマートギア』だな、ホンすらないって言うのが馬鹿らしいが」
と、ケラケラと笑う天上院姫だった。
「で、これらにより実現可能となった技術革命が。オンオフ可能な【速攻休眠】と【速攻起床】だ!」
「え、マジか」
速攻で休眠できて、速攻で起床できる。まさに夢のような技巧だった。
「麻酔のSFだと思ってもらって構わない、まさに天才的だ」
「紙一重だなおい……」
仕事疲れのサラリーマンや、勉強に忙しい学生が別の意味で殺到しそうだな。と咲は思った。
と、そこで咲はゲームが終わったオセロをルール無用で白にした。本当に、特に意味はない。
だがまさに、人間らしい自然な行動だった。
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ついでとばかりに咲は姫のことを気にとめる。
「で、この話は『誰に』伝えるの?」
「そりゃお前……、穏便に英霊達の住む杖の村『フェイト』のゲームマスターだ」
「あれ? それって誰? 初耳なんだけど……」
「改めて……。Sランクギルド『紅の夜総団』であり、神道社の新米社員……『型月伝奇』。ゲームでのプレイヤーネームは『きのこナース』だ」
天上院咲にとっては何も知らない赤の他人なので、「ふーん」という感情だけで。ほぼ微動だにしなかった。
天上院姫にとっては大衆が「えー!?」とか「ぎゃー!?」とか感極まる大喝采を期待したのだが、その感情を心の引き出しにしまうのであった。
「ま、なるように成るのじゃ!」




