第103話「連結の。3」
「影縫い(シャドウソウィン)からのメテオストリームのコンボだ!」
ブロードの〈影縫い〉は影縛りの術とかの忍者スキルから覚えられる捕縛系の物理技。〈メテオストリーム〉は風の妖精が星屑を呼び寄せて星の隕石のように相手を追撃する特殊攻撃。どちらとも二刀流で覚えられる技ではないが、経験値を積み重ねて得たスキルだった。
ちなみに【おもしろい空】という技よりも【つまらない空】のほうが習得難易度が高く、【真典の妖精】と契約を結ばなければこの技は得られない。普通の妖精より上位の存在で中々真似ができない代物だ。だが全く真似できないというわけでもない。
【つまらない】と名の付く技は総じてワンランク上の優先順の上位に食い込む。これで、あちこち移動される心配も無くなって。じっくりと戦うことが出来る。
そして時期を待つようにサキとブロードは互いにジャンプをして影を攻撃する。
「森羅万象のワルツ!」
「リミットブレイク!」
踊るような剣さばきと、ダイナマイトのような覇激が、轟き響き。弧を描いた。
こと【この敵】に限っては長期戦は不利になる一方だった。周りを見るとそこかしこで戦闘が開始されていた、意外と皆慣れてたような手つきでモンスターを狩ってるようにサキには見えた。やはり弱点が最初から解ってるからだろう、何というか。足の運びがスムーズに感じた、今度お姉ちゃんに教えておこう「弱点の公開は正解だったよ」て褒めるのだ。
「とどめだ! 時刻斬!」
刹那、0時から12時まで右横凪に全回転して、野球のようにカキン! とホームランを打つ。短剣で、その後に遅れて【風が来た】。
『連結の軍勢・プロト』はポリゴンの欠片となって爆発四散した。退治できた時間は5分。イベントによる報酬を受け取り、そのアイテムの確認は後回しにしてサキとブロードは会話を続ける。
「やったな、これで当分昼寝が出来ない心配は無くなりそうだ」
「ゲーム中だから寝てるのにね」
お互いが笑いあい、それを小鳥のさえずりがチュンチュンと見ていた。
ことサキにとって、〈時刻斬〉はそれほど気にする必要のないものなのだが。あったほうが良いのは確かだ。ブン! と3時の方向に設定してデータ化してステータス画面の中に戻した。剣を鞘に戻す感じで。
そして、サキは【特に意味はない】言葉を口にする。ゲームの受け売りの言葉だ。
「シュタインズ・ゲートに栄光あれ……!」
なかったことにしてはいけない。これは少年少女たちの執念のなんかだ。




