第102話「連結の。2」
英霊達の住む杖の村『フェイト』
そこから歩いて1分もないほど近い距離にその怪物は出現した。どうやら他のフィールドにもバラまかれているようである。放っておけば村に侵入してきてしまうだろう。
『連結の軍勢・プロト』
攻撃力:【今の】地水火風を流転させながら攻撃する。
防御力:【今の】鋼タイプで鉄のように重い。羽はあるが重くて飛べない。
素早さ:【今の】大型トラック並みの速さで。初速は遅くギアを上げながら段階的に加速してゆく。最大120キロ。
賢さ :【今の】人間が片手分で出来る範囲の操作性。最大5つのボタンを個々に押せるぐらい。
弱点 :【今の】影が本体
「野生のラスボスが出てきたって感じだなあ。ちょっと初心者にはきついかな?」
「【出会っちゃった】からには、本能的に。戦うか、逃げるかしかないでしょ!」
お互い【逃げる】という選択肢には苦い思い出があった。
少年には【人生から逃げている】ような現実的な劣等感が走り。
少女には【人生から逃げたくない】という古臭い過去の願望が走った。
お互い【今を生きなかったからこうなった】ことを肌で感じる。遠き見えない艱難に躊躇した結果がこれだ。その過程で何度も心転び、嫌なものも見た。
だから……。その影を、己の手で打ち破るために……。
「「戦うしかない!」」
二人は前に地面を蹴った。影の向こうには、猪突猛進で勇猛果敢で負けず嫌いで、どうしようもなく純粋な光が見える。その裏側たる形がこれだ。
解っているからこそ、このヒトカゲの機械には。ちょっと退場願おう。
「こっから先は通行止めだ!」
「レッドカードで退場よ!」
短剣と二刀流が鋼の獣に響いて火花が散った。
「ギューピピピピ……!」
ヒトカゲロボットが、飛んでくる丸いモブ型機械を放ってきたのでソレをサキは斬る。するとサキに新たな技が追加された。
【時刻斬】
時の流れをきざんでとらえた場合の、一瞬を斬る。例:0時から1時に斬る。
「これは!?」
「サキその技を使え!」
言われなくてもと言わんばかりに。技のスロットの中に叩きつけるサキは。
「時刻斬!」
正面0時の牙突から右1時に横凪にぶった斬った。飛んできた丸いモブ型機械は爆発四散してポリゴンの欠片となって消える。
「よし!」
「負けてられないな……いくぞヒトカゲッ!」
その瞬間、【つまらない空から流星が降り注いだ】ブロードの攻撃が『連結の軍勢・プロト』の影を的確にとらえて。影を縫うように離さなかった。




