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世界について〜隷属〜

なんだか暖かい光が俺を包んでいるような暖かさと溢れてくる力の心地よさで俺は覚醒した。

えーと、確か俺は…そうだ、神奈を失い自分も死のうと落下に身を任せたのだ。だが、謎のゼウスという神をなのる男の声を聴き…それから先は頭が痛くて思い出せない。多分気を失ったのだろう。


「何処だ此処は。おーい誰かいるかー!?」


不思議な空間に向かって叫ぶが声は帰ってこない。


「もしかして俺は死んだのか?なら此処は天国か?」


確かに此処が天国と言われたらしっくり来る。

なら神奈もどこかにいるはずでわないか。


「神奈ぁいるかぁぁ?」


期待を込めて呼ぶ。が、帰ってきたのは到底神奈の声とは思えないものだった。


「グギッ、グキャァア」


なんだあれは!?まるでRPGに出てくる化け物ではないか。

化け物が手に持った棍棒を振り回し近づいてくる。

どうやら此処は天国ではないらしい。


「ギシギャァァア」


意外にも俊敏な化け物が俺の頭を狙って鋭利なナイフのようなものを振ってくる。


「ふっ」


それをしゃがんで避ける。なんだか身体が軽い。これなら勝てる!

そう思った瞬間、手に剣が顕現した。


「おわっ、成る程これで殺せと。」


柄を握りしめ化け物を、見る。自分が何故こんなに恐ろしい化け物を見て冷静でいられるのかは分からないが取り敢えず考えてる暇はない。

化け物が攻撃する瞬間を見極め避ける。そしてそのまま剣を横に振りぬく。


「グキャァアアァァァ」


胸元からドロリとした血が吹き出た。

反撃を喰らう前に止めに胸に剣を突き刺す。


「グギッ……」


不気味な悲鳴を立て、化け物の身体中から血が吹き出て、完全に動かなくなったと思ったら手にあった剣が消えた。

「ふぅ」

こんなグロテスクな化け物を倒してなお冷静でいられた。そればかりか逆にこれが合っているような気がした。


「パチパチパチパチ、見事よ。流石に伝説の英雄の子孫だけはあるわね。」

そんな綺麗な透き通った声が空間に響き渡る。


「誰だ?」


俺の問いかけに、謎の声はすぐさま答える。


「私の名はヘラ、ゼウスの妻にしてオリンポスの最高女神よ。よろしく。」


ヘラと名乗る美しい女性は姿を現しそう言った。

全知全能の最高神ゼウスとその妻のヘラ、もう何が何だかわからない。


「さっきの化け物はお前が?」

「そうよ。あの程度の雑魚を倒せないようじゃあ世界は到底救えないから試させていただいたわ。ごめんなさいね。」


ヘラと名乗る女性は、優雅に礼をし申し訳なさそうにそう言った。


「そうか、確かゼウスという奴に全てを教えてやると言われたのだが。」


不思議と怒りはなかった。それよりも神奈が心配だった。


「ええ、夫に代わり私が全てを教えて差し上げましょう。この二つの世界の理と貴方の大切な神奈さんの行方を。」


そう言い放ちヘラが消え場所が移動した。いや、場所が移動したのではない、頭の中に映像を映し出されているのだ。


「この世には二つの世界が存在します。一つは貴方のいた世界、リアルワールド。そしてもう一つは私達が今いる世界、そして世界各国での異常事態の原因がある、アストラルワールドです。」


ヘラの声ではない…機械のような声が説明を始めた。


「二つの世界だと?」

「そうです。二つの世界は絶対に発見出来ないようになっています。しかし、互いにとても大きな影響を与えているのです。」


俺の問いかけに、機械のような声は無表情な声で答える。


「もし仮に二つの世界があるとしたら人はどうなる?」

「あちらの世界と存在は全く同じ人物がこちら世界にもいます。しかし、記憶や性格は全く違います。」

「俺はどうなる?確か同じ世界に二つの人物は存在できないはずだが?」

確かよくそういう話を聞いたことがある。

「はい、そのはずなのですが、どうやら世界はかなり歪んできているみたいです。そのおかげで貴方をこちらの世界に呼べて助かりましたが。」

「じゃあもう一人の俺と神奈はいるのか?」

「はい。残念ながらこちらの世界の貴方は魔王側についてしまいました。神奈さんについてはご自分でお会いになられてください。」

「魔王側だと?取り敢えず続けてくれ」


いろいろ気になることや、質問したいこともあったが、俺は大人しく説明を聞くことにする。


「はい、この世界には11種類の種族が存在します。全ての種族には序列が付いており、基本的には序列の上のものには絶対に勝てません。序列別種族表はこちらになります。」


そう言い、目の前にデジタル表が現れた。


ー種族別序列表ー

1位、神、魔王

2位、天使、悪魔

3位、竜族

4位、ヴァンパイア(純血)

5位、神兵(メカニック)

6位、オーガ(鬼族)

7位、エルフ族

8位、獣人族

9位、ゴブリン族

10位、人間族

序列外、魔物

ーーーーーーーーーーー


成る程、どうやら人間が序列最低みたいだ。


「序列のついている種族は皆言葉を交わすことが出来ます。このほかにも混血のヴァンパイアや、神獣、精霊などが存在します。これらは個体によって強さがそれぞれなので気をつけてください。」


そこまで言うと、機械のような声は少し声を低める。それに同調するように俺も無意識に身構えた。


「そして、これからがとても重要かつ貴方がこの世界にも来た理由となるのでよく聞いてください。」

「分かった。」

「今この世界は一人の魔王によって破滅へと進んでいます。その魔王の仕様としていることはこの世界の絶対支配です。これだけならしようとした魔王は過去にも沢山います。しかし、今回の魔王は、貴方のいた世界までもを支配しようとしています。」

「何だと。」

「普通はそんなこと絶対に不可能なのですがあの魔王はそれを捻じ曲げ貴方の世界に干渉する事に成功しました。そして、神奈さんをこの世界にも連れ去ったのです。同じような事が過去に一例だけあります。それは人の身ながら心に魔王を隷属させ世界を破滅に導いた者。それが、神奈さんの遠い先祖、鬼灯魔里奈なのです。そして魔里奈さんを殺し世界を救ったのが貴方遠い先祖、神々廻大輔さんなのです。」


神奈を連れ去っただと!それに今なんつった…

「神奈の先祖が世界を壊し、俺の先祖が世界を救っただと?そんな馬鹿な」


言い終わらないうちに機械のような声は変わらず無表情な声で言う。


「いえ、事実です。この世界にきて体が軽いでしょ?それは本来の力なのです。それに魔物を初めて見てあんなに冷静に対処できますか?普通。」


確かにそうだが…てことは


「おい!もしかして神奈もその先祖とやらの血を濃く引き継いでいてだから連れ去られたのか?」

「そうです。だから貴方に世界を救って欲しいのです。この二つの世界を。」

「何故俺なんだ。神ならば対抗できるだろう?」


神を合わせれば相当な数がいるだろう。それが魔王ただ一人に負けるはずがないだろう。


「本来そのはずなのですが、闇の力によって捻じ曲げられてしまった神は魔王の配下についてしまい、残りの神じゃどうしようもない状態になっているのです。本当にお恥ずかしい限りです。」

「笑える話だな。世界の創造主が序列最低の人間ごときに頼むなんて。だが面白い、良し世界を救ってやるよ。神奈のためにな。だがいくら英雄の血を受け継いでるといっても流石に魔王は殺せないだろ。」

「はい、魔王どころか、一つ上のゴブリン族を3匹も相手にしたら瞬殺されます。ですので貴方には心に何かの種族を隷属させてもらいます。」

「この世界に存在するものを殺せばその殺した相手の強さを自分のものとすることができます。貴方が少し性格に変化がでてきているのも先程倒した魔物の所為ですね。そこで直接精神に敵を干渉させてそれを隷属させることによって強さを得ようということです。」


どうやら性格に変化が出ているみたいだ。だがそんなのはどうでもいい。


「さぁ、選んでください。オーガですか?神兵ですか?それともヴァンパイアですか?この辺りにならないと魔王に勝つのは到底無理ですよ。もちろん上の種族を隷属させられれば圧倒的な力が手に入ります。しかし、失敗する可能性が高く失敗した場合取り憑かれ速やかに私たちによって排除されます。」


面白い。そんな雑魚を隷属させたところで魔王には絶対に勝てないだろう、勝てても何年かかるか…そしたら神奈が死んでしまう。それでは意味がない。


「魔王だ。」

「はい?今なん「魔王を寄越せ。隷属させてやる。」

「…本気ですか?確実に死にますよ?」


機械音が初めて感情を表した。


「当たり前だ。神奈が俺を待っている。」

「分かりました。その心の欲望に付け込まれないように気をつけてください。でわご武運をお祈りします。」


段々と声が遠のいていく。それと同時に身体に強大な何かが入ってくる。


「くっ…ぐぁぁぁぁぁぁああああ」


燃えるように身体が熱い。


「はぁはぁ…ぐぁっ」


大きな何かが体に入りきったと思ったら視界が真っ暗に染まった。


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