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惑星タトゥは独立するって言ってるの!  作者: 青樹加奈
第二章 ロボットと神社
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八、都賀平

「何、あれ?」


「え?」


 凛が指差す方を仁は見た。はるか遠く、都賀平の荒地を仁はじっと目をこらして見た。

 見たことのない人型ロボット達が都賀平にいた。凛達が見ている間にも一つ、空から球形の物体が落ちて来た。物体は地面の上でバウンドして止った。同時に二つに割れ、中から銃を持ったロボットが出て来た。ロボットは先に降りていたロボットの列に並ぶ。落ちたカプセルは溶けてなくなった。

 凛はロボットの数を数えてみた。約百体ほどである。整列したロボット達は微動だにしない。まるで指令を待っているようだった。


「タトゥにロボット兵団がいるなんて知らなかったわ」


「あれは、地球自衛隊の災害救助用のロボットじゃないかな?」


「災害救助用なのに、銃をもってるって変じゃない?」


「そうでもない。宇宙で遭難した場合、どんな未知の生物がいるかわからないからな。それで、武装してるんだと思う。ガジャがこっちに来たのは、あれのせいだったんじゃないかな」


「ロボット兵から逃げて来たってこと?」


「ああ、そうだ」


 刈谷仁は通信端末モビでロボット兵の様子を3Dビデオに取ろうとしてはっとした。


「ビデオに映らない! 何故だ!」


「機械が故障してるんじゃない?」


「いや、風景は映ってる。ロボット兵だけ映らないんだ。そうか、わかった! ステルスだ!」


「ステルスですって! じゃあ、どうするの? ビデオに映らなければ誰も信じてくれないわよ」


「わかってる。……取り敢えず、取っておこう。画像を分析して貰えば何か出て来るかもしれない」


「それにしても、一体、いつのまにあれだけのロボットを……。タトゥにだって防衛網はあるでしょうに」


「あの球形の物体はロボットを運ぶカプセルだろう。カプセルにステルス機能がついているんだ。いくらステルス技術があっても、大きな上陸艦では防衛システムに引っ掛かる。そこで、こっそりカプセルを使ってロボットを一体づつ上陸させていたんだ。ガジャが逃げて来なかったら、わからなかっただろう。

 ……ということは、今、月にいる三本木大将の母船は陽動だな」


「陽動?」


「三本木がタトゥ防衛軍の注意を引いておいて、その裏であのロボット達が州都ナニワを襲うのだろう。この都賀平を、まっすぐ西に行き、都賀山脈を越えると州都ナニワに出る。人間なら無理だが、ロボットなら可能だ。いや、ロボットじゃないな。ロボットは三原則を刷り込まれていて、人を傷付けられない。あれはアンドロイドだ。目的は一人、橋本大統領。恐らく誘拐か殺人」


「殺人!」


「ああ、そうだ。地球の官僚達は橋本を殺してでも、タトゥの支配を続けたいのだろう。しかし、それにしても……。早すぎる」


「なにが?」


「地球日本は戦争を永久に放棄している。だから、他国を侵略する武器はもてない。自衛隊もあくまで自国を守るのが目的だ。他国からの侵略に対して戦うというスタンスだ。いわゆる専守防衛というやつさ。

 だが、実際に他国が侵略して来る事はない。各国のパワーバランスで平和が保たれているからね。だから、自衛隊の様々な装備は災害救助を目的として作ったり、購入したりするんだ。あのアンドロイド達も災害救助が目的で作られた筈だ。

 ところが、橋本が独立を宣言して二ヶ月足らずで宇宙自衛隊がやってきた。最新鋭のワープ航法を使っても、地球とタトゥでは少なくとも一ヶ月はかかる。と言う事は逆算すると、一、二週間で災害救助船を攻撃型艦船に、アンドロイドをステルス機能付きに改造出来た事になる。

 日頃から準備していなければ、無理だろう。まーったく、権力というのは一度持ったら離したくないらしい」


 凛達が見ていると、ひと際大きなカプセルが落ちて来た。数体のロボット達がそのカプセルに群がる。カプセルを開けると、中から小型の飛行艇が出て来た。


「なんてことだ。飛行艇まで運び込んでいるのか! 急ごう! みんなに知らせないと」


「うん!」


 二人は山道に戻ると、一目散に走り出した。




 二人が地ノ宮神社の近くまで来ると、雅な音がした。シチューだ。ガジャ達の死体を始末したシチューが舞を奉納していた。宝田神主らがシチューの舞を見ている。凛達が駆け寄ると、ちょうど終わった所だった。宝田神主達は盛大な拍手をシチューに送った。


「シチュー、雅に踊っている場合じゃないわよ」


「西九条さん、大変だ。地球日本の攻撃だ。都賀平にアンドロイド兵が!」


「なんじゃと!」


 刈谷は通信端末モビから、立体映像を皆の前に映し出して見せた。


「なんじゃ、何もうつってないじゃないか」


 西九条のじいさんが不満そうに言う。


「ステルス技術で映像機器にはうつらないんだ」


「あたしも見たわ。確かにいるの!」


「何かの見間違えじゃないですか」と宝田神主。


「本当にいたんだ。見たんだよ」と刈谷仁が力説する。


「うーん、宝田君、どうじゃね、ワシらも見に行かんかね」


 結局、皆で見に行く事になった。刈谷はさっきアンドロイド兵を見た地点まで、宝田神主らを案内する。


「ほら、あそこです」


「なんと!」


 西九条通兼が声をあげる。宝田神主も真っ青になった。


「これで信じて貰えましたか?」


「ああ、信じたわい。おい、見つからんうちに戻ろうぞ」


 全員でゆっくりとその場を離れると急ぎ足で地ノ宮神社に戻った。




 社務所に落ち着くと仁が言った。


「たとえ映ってなくても、この映像を分析すれば何か出て来ると思うんだ。とにかくこの映像を知り合いの編集長に送ってみるよ」


 刈谷はいつも世話になっているナニワ日報の編集長岡崎京介を呼び出そうと通信端末モビをいじった。しばらくして、端末から男の声が流れて来た。


「よう、仁、久しぶりじゃないか、元気?」


「ええ、元気ですよ。ところで、すっごいスクープを見つけましてね」


「なんだ? もったいぶらずに早く言えよ」


「今、映像を送ります。都賀平に地球日本のステルス型アンドロイド兵が終結しているんですよ」


「なんだと!」


 刈谷は編集長に映像を送った。


「何も映ってないじゃないか」


「だからステルスなんですよ。彼らは球形のカプセルに乗っていたんです。カプセルが地面に落ちるとアンドロイド兵が出て来ましてね。その映像を分析して下さい。今、説明した内容がうつっています。カプセルが落ちた時の石の破片、アンドロイド兵が動いた時の空気のゆがみ。編集長、お願いです。そっち関係の専門家に見てもらって下さい」


「よし、わかった。調べさせよう。おまえは確証のない話を持って来るような男じゃないからな」


「編集長、それと、ここからは僕の憶測ですが、地球日本の宇宙自衛隊は陽動だと思うんです。タトゥ軍の注意を月に向けておいてその間に州都ナニワを襲って橋本大統領を拉致、或は、殺害するのが目的ではないかと。今回の独立、橋本大統領が折れたらそこまででしょう」


「うーむ、過激だが、手っ取り早く制圧出来るな。よし、後はまかせとけ」


 山の日暮れは早い。あたりに薄やみが立ち始めていた。


「宝田君、今日はカガミハラに避難した方がいいんじゃないか。夜になってガジャが襲って来ないとは限らんじゃろ」


 西九条通兼が心配そうに言う。


「ええ、私もそう思っていたんです。ここでは防ぎきれませんから」


 宝田神主は自然に埋もれそうに建っている家を思い浮かべた。

 と、その時、大地が揺れた。


「地震だ」


 皆、床に伏せた。揺れはすぐに収まった。


「さ、早いとこ、脱出しようぞ」宮司が叫ぶ。


 三人と一台は、ロボットカー・メリーナに乗り込みカガミバラの街へ向って走り出した。

 宝田神主と二人の少年も神主の運転するトラックに乗って後に続く。

 日が暮れて行く。皆、急いでいたその時、ロボットカー・メリーナがスピードを落として言った。


「仁、この先に多数の生物の気配が」


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