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木曜日の彼女

作者: 大川奈音
掲載日:2014/03/05

彼女は決まって木曜日にやってくる。

彼女は決まって僕がいるレジで会計する。

先週は漫画、その前はDVDを買っていった。


今日は、漫画か。


このお店はアニメのグッズや原作本などを取り扱っているお店だ。大抵のお客様はいわゆるオタクであり、店員である僕もその一人。そしてきっと彼女もだ。


お店を閉めた後は彼女の話。

「いやー今日も可愛かった」

うん、確かに可愛かった。

「来る度に髪型違うよな」

「ポニーテールかなり好きっすよ! 俺」

それは同意だ。

常連なだけあって彼女の顔を知る店員は多い。

事実、後輩は彼女のこと気になっているらしい。

「いっつもお前のレジで会計するってことはお前に気があるんじゃないか?」

「何言ってるんですか、それはないですよ。彼女きっと彼氏いますし。」

背はわりと小さめ、たぶん150あるかないかくらい。黒髪で色白、スタイルもいい方、だと思う。そして可愛い系の顔立ち。たぶん惚れてる男はたくさんいるはず。

「前に彼女が友達と話してるの聞いちゃったんですけど、いないみたいですよ、彼氏。出来たこともないそうです。」

「うそだろそれ。男共何やってんだよ。」

後輩はそう言って、アドレスとか渡そうかなーなんてぶつぶつ言ってる。

「ヘアーアレンジしたり、メイクしたり。それってお前に見て欲しいからだろ?」

だとしたら、僕はどうすればいい?

いつも可愛くしている理由が、僕のためなら、

僕のために毎週木曜日にやってくるとしたら。


彼女はいつもレジの前でレシートを折っている。

次はいつも来てくれているお礼と、彼女のことを見ているという証を込めて。


いつも通りレシートを折ると思ったので

今日は僕が折った。

「わ、ありがとうございます。」

少し震えた小さな声で。高めの可愛らしい声で。

僕だけにくれたはじめての言葉。

「こちらこそ」

今君のためだけにはじめて言葉を呟く。

小さすぎて聞こえなかったか。

ちゃんと届いただろうか、君の心に。

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