4:幼年期って才能の片鱗が見える時期だと思うんだ。
サイド:ハク
チビチビ情報と栄養(もう乳離れしたもんね!もんね!)を集めつつ、はや3年。
おれはついにある程度のことは出来るようになった。
いや、今思えば長かったぁ……実に……!
2年前はあっちにいけば連れ戻され、こっちにいけば抱き上げられ、そっちにいけば野良犬に出くわし、散々な一人立ち(もどき)だったなあ……(遠い目)。
まあ、そんな事件もおさらばしてみりゃいい思い出!
これからは自分で考えて行動できるぜ!スゲエだろ!
んで、まあそんな成長したおれが始めに何を始めるのかというと!
ガチャ。
「ふぁあぁ…おはよう、かあさん、とおさん」
朝食っすね。
……なんだよう、いいだろ飯くらい!美味しいんだよパンとベーコンと目玉焼きとスープが!やたらと!
「ん?ああ、ハクか。おはよう。よく眠れたか?」
そんなおれに声をかけてくるこの20代後半な見た目の彼。
彼こそ我がパピーであるシルーヴァ・ウィンスである。
……スゲエだろ、父さん、いま35なんだぜ。
なにあの若さ。
ちなみに父さんは王国騎士団の団長やってる人だ。
スペックたけえ。
「あらおはよう。ハクはいっつも起こす必要ないから、とっても助かるわあ」
そして魅惑の朝食片手に挨拶をよこした見た目20の彼女。
彼女がマミーであるリリーナ・ウィンスである。
……スゲエだろ、母さん、いま30なんだぜ。
ちなみに母さんはデウィーネのエリート学園卒である。
……もうなにこの両親。
「お兄ちゃん、おはよー!」
おお、忘れてた。
妹ができました。
テヘっ☆
……ごほん、まあなんだ、その、母さん退院してすぐに父さんとおっ始めて(何かって?ナニカだょ!)、その一年後に出産したらしい。
…すげえな。人間って。
名前はリリス。おれのかわいい妹だ。
まあそんなこんなで四人家族であるわけだ。
あ、ちなみにおれの名前だが、ハークレイなのでハクとあだ名で呼ばれている。
似たような名前でよかった。
「それじゃあ、いただきます!」
「「「いただきまーす!」」」
と、まあなんというかなぜか日本式の挨拶を済ませ、四人でワイワイ朝食。家は仲良し一家!
そして、昼。
今日、おれは今日仕事が休日みの父さんに教えてもらいたい事がある。
そう、魔法である。
せっかく剣と魔法の世界転生したんだ、覚えなきゃ損じゃないか!
とゆー訳で書斎前なう!
いざ、マフォー習得!
コンコン
「はーい」
ドアの向こうから聞こえた返事に意を決して入る。
「ん?ハクか、どうした?」
机に肘をつけてこちらを向いた父さんに、おれは用件を伝える。
だが、あくまで年相応に、さりげなく、かつ大胆に!
「あのねおとおさん、まほーってなにー?」
くらえ、どこぞの女神様秘伝、小首を傾げる!
「おおハク、魔法に興味があるのか?」
効果 は バツグン だ!
「うん、まほー、知りたーい!」
さらにくらえ、どこぞの妹秘伝、純真無垢な目!
「そうかあ、魔法教えてほしいか?」
「うん!」
「よおし、じゃあ教えてやろう!裏庭で稽古だ!」
作戦 は 大成功 だ!
ククク……大人なんぞチョロいチョロい。さて、魔法の習得をば!
十分後。
裏庭にたつのはおれと父さんだ。
「いいかあハク、魔法ってものはどういうものか教えるぞ」
そういうと、父さんはおもむろに庭の樹に的をくくりつけた。
そして、的に指をさし高々とおれに言う!
「考えるな、感じて放つんだあ!」
ふむふむどんとしんく。じゃすとふぃーる。
おうけい。
落ち着こうか。
なんというかとっても放任主義なあれをいただけたので、とりあえず聞いてみることにした。
「かんじるって、どーゆーことー?」
さすがにあれじゃ分からん。
父さんは今度は丁寧に教えてくれた。
「感じるってのは、思い描いて解き放つってことだ。」
父さんの説明はこうだった。
この世界の魔法は、想像力と自分の体内にある魔力によって左右されるらしい。
つまり、自分の起こしたい魔法の様子を想像し、それを魔力を魔素に干渉させ、体外に実際に現象として放出させる、ということらしい。
ふむ。なるほど。イメージのちからで魔力に形を持たせて、そのまま放出させたら魔法ができますよ、と、そういう感じだろうか。
おれが見た目4歳児で難しい顔をしていると、父さんは笑いながらおれに言った。
「まあ、理解しようとしてもハクにはまだ難しいな。まあ、ダメもとでやってみろ。ほら、あそこの的になにかを想像してぶつけてみなさい。それが出来れば上出来だ」
つまり習うより慣れろ、ということか。
やってやろうじゃないの!
ということでやってみることに。
「ほら、あそこになんでもいいから当てるようにイメージして……」
父さんが言うと同時におれは、火の矢がアレに突き刺さり、炎上するところを想像した。
「よし、イメージしたらそれを手のひらから出すんだ!」
十分にイメージしたおれは、思いっきり体内のなにかを外に押し出す感じで手を突き出した!
瞬間、我が家の裏庭の樹は爆発に包まれた
「………」
父さんは唖然としていた。おれも唖然としていた。
目線の先には、粉々になった樹の残骸だけが残されていた。
………転生ってスゲエ。
はい、やっぱ主人公は強いかんじになりました。ごめんなさい!
次回は初モンスター登場です。あわよくば戦闘です。頑張ります!