3:異世界デビューなう。たのしす
サイド:ハク
えー、どうやら胎内なう。
……うん。わかる。
おれ多分もうすぐ生まれるっぽい。
だって頭掴まれてるもん。
どうやらおれは前世の記憶持ちのようであります隊長!バカモノ!そうじゃなきゃいみないだろう!
……いかん、産まれる直前だからテンションたけえ。
笑える。
おお?上半身でる、おおお、スゲエ!
産まれるよ、ウーマーレーマースーヨー!
全身出たらどうしようか?泣こうか。
いや待て、普通に泣くのはつまらん。
もっとこう、イヤッホオオ!的なあれで!よし、もうでる!いくぞおおお!
「オギャア、オギャアア!」
……うん、まあ生まれたてでうまく発声出来ないのは分かってたよ?
え?イヤッホオオはどうしたって?あれのことなら冗談に決まってんぢゃーん!もうマジになっちゃってぇ!
………。
………………畜生。
まあともかく、おれは剣と魔法のウキウキ世界に転生した訳っすよ、奥さん。
いや、いいね赤ん坊で記憶があるって!母の温もりってやつがわかるよ!
……それ以外なんかないかって?
んー強いて言えば、ミルクのんで、ミルクのんで、寝る。
たまに排泄するけど、そんときは大声だして知らせたり…。…
……。
……ああそうだよ、赤ん坊クラスのことしか出来んよ、今は!
ああでも、この世界について分かることを学べるのはいいことかな。
いや嘘じゃないって。
散歩とか、両親の会話とかでわかるんだって結構。
なんで言葉がわかるのかって?
知らん!多分女神様の粋な計らいってやつだ。
ルキナ様サイコー!
閑話休題。
この世界についてわかったことはけっこうある。
まず、この世界について。
いきなりデカイ話になるが、この世界には魔素という不思議トンデモファンタジー物質が空気中にあり、それを取り込み、明かりからビーム的なものを撃つ魔法兵器までの様々なもののエネルギー源として使っているということらしい。
地球上で言うところの空気中の水分を使ってそれだけで生活できるようなものかと思うと、とてつもないエコである。
次に世界情勢だが、この世界には4つの国々からなっている。
まず1つ目がおれの生まれた国、世界屈指の技術力を誇り、魔素を使った機械を世界で唯一開発しているシーウォール王国だ。
ここは海に面しており、貿易や防衛に優れた地形らしい。地球でいう鎌倉時代の幕府のあの地形だ。海と山に面してるアレ。
アレをでかくした感じである。
そしてシーウォール王国は二つの共和国に挟まれている。
山を越えた西側の国は芸術と医療、学問の国、デウィーネ共和国だ。
ここでは世界一大きいとされる学園があり、学問に勤しむ者にとって聖地とされている。
いいね、学園。
行きたいな。
そのデウィーネ共和国の向かい、シーウォールの東側にあるのは、武芸と伝統を守る、ギルド本部がある国、ジパンギル共和国だ。
ギルドについてはいずれ説明するとしよう。今?めんどい。
名前を聞いてピンとくる人もいると思うが、この国は東洋のような雰囲気で、軍やギルドの人々は一度は必ず訪れるとさえ言われる武芸の聖地とされている。
この3つの国は同盟を組んでおり、とても良好な関係ということらしい。
その原因となっているのが、世界で唯一の敵国と言われる、ダステート帝国である。
この帝国は昔、世界征服を果たそうとし、三国によって北の彼方へと追いやったのだという。
そこからは貿易も和平交渉もせず、北の彼方で活動しているらしいが、情報はまるでないということだ。
……と、まあこんな感じでこの世界のことを少しずつ知っていってるわけである。あー疲れた。
え、なんでそんなに詳しいのって?そりゃもちろんすることがないからさ!(キラッ☆
……ごほん。
あー、とりあえずおれはそうゆう情報はチビチビ集めつつ、楽しくやってくさ!
……あ、漏らした。
泣くか。
「オギャア、オギャアア!」
今日もおれは元気である。
さて、次回は少年、いや幼年期突入っす!マフォー使います!あ、でもちょっと主人公のスペックが良くなりそうです。いやほら、トラブル体質に対抗するためってことで……ダメ?
なるべくフェアに頑張ります!