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おれ異世界でもトラブルが絶えないのは何でだろう。  作者: じむ
一章:旅と仲間と魔法学園とトラブル
30/51

29:実践演習パーティー酷すぎる件

最近、睡眠時間がシマウマ並みに定まりません。じむです。

まあとりあえずどうぞ

サイド:ハク


──実践演習。

それは、普通魔法科を3名、もしくは特異魔法科を3名組ませ、

そして魔法剣士科をその両方に2名ずつ入れたパーティーで実践演習の舞台、

今回はトリッキーフォレストのどこかに隠されたポイントを回っていくオリエンテーリング式の大掛かりな授業である。

毎回、負傷者は多いものの、

その場でパーティーが回復魔法(ヒーリングマジック)などを使ったり、

"セーフプレイス"と呼ばれる教師の配備されている場所で教師に回復して貰ったりと、

比較的安全が確保されているために大怪我はないということだ。


その実践演習を受けるのが数日後だと知ったのは、

小テストから4日の朝、つまりついさっき、朝のホームルームで学園長が言ったときだ。

全員驚きつつも、廊下の貼り紙でパーティーメンバーを確認するように言われおれたちは廊下で確認中なうなわけだが。


「実践演習用パーティー」とかかれた紙の前。

おれは絶望しまくっていた。


「……ハク、大丈夫?」


聞いてくれるルリーアも、どこか元気がない気がする。


「……ご主人、気をしっかり持つのじゃぞ?なにやら絶望しきっておるが……」


ティノにさえ心配されてしまい、

思わず笑いが……いや、こぼれない。


というのも、貼り紙に書かれたパーティーメンバーが目から離れないからだったわけで。

なぜ離れないかというと、それだけ凄まじいメンツであるというわけで。

それに絶望していたあまり、声がでなかった訳なのである。


……まあ、こんなことだけいっても、実物見た方がおれの絶望が伝わると思うので、貼り紙の内容を確認しよう。

特進魔法科パーティーメンバー。

そう書かれた貼り紙には、以下のメンバーが書かれていた


"特進魔法科、パーティーメンバー


ハークレイ・ウィンス:特進魔法科、魔法剣士系


ルリーア・ハイデンベル:特進魔法科、普通魔法系


ティノ・ウィンス:特進魔法科、特異魔法系


ニーア・ヘイム:特進魔法科、魔法剣士系


──セルティニア・フル・フェローニア:特進魔法科、普通魔法系"


……まぁ、ある程度予想はしてた、覚悟もしてたつもりだ。

入学式の時に、特進のパーティーの構成だけ言わなかったから、組むのは多分特進全員だと、薄々はわかってはいたんだ。

でも、それでも。


……なんでティノがウィンスなの、とか。

……なんでセルティニアの名前こんなに長いの、とか。

色々突っ込みたいことはあるけど、まずおれは思ったことを口にした。


「……おれ限定で生き残れる気がしねえ……」


暴走ドラゴンっ子ティノ。

大暴走貴族系女子、セルティニア。

ついに上陸!おれの体質と夢のコラボ!


そんな馬鹿げたCM調の声が脳内再生されて、おれは盛大な、いや、盛大で重みさえあるため息をついた。

現に今も、名前がどーのこーのでキャーキャー言ってるティノがおれの腰にしがみついている始末だし。

どうせ、セルティニア辺りから後でキツーい一言やら意味不明な宣戦布告やらティノにウィンスとか付けて不埒だみたいな理不尽やらを受けるんだろうなー……とか思いつつ、

ティノを引き剥がそうと悪戦苦闘しながらそのセルティニアさんの方をちらりと見る。


しかし。


「……」


「……あれ?」


おれの予想に反して、

セルティニアはこちらに刺すような視線を喰らわせていることもなければ、ズンズン歩いてきている事もなく、

貼り紙をジーっと見つめたままだった。

表情にはいつもはおれへの(何もしてないのに向けられる)憎悪でなくなっている理性も残っている。

……え、これはおかしい。

絶対何かしらの敵意が向けられる今までの態度と違う。

もしかして本気で騎士団に連れていこうとか、

間違っちゃった決意を固めちゃったりしたんだろーか?


「……あのー、大丈夫か?」


思わず、あまりに違う雰囲気に色々心配して口を出してしまう。

と、セルティニアは「びくぅ!」っとこちらを見ると、


「なっ、なんですのいきなり?どっ何処にも異常なんてありませんわ!びっくりさせないで下さいまし!」


狼狽えまくってこちらに言うと、慌てて教室に戻っていった。


……なんだ、一体?

セルティニアの狼狽えが理解できなくて疑問に思いつつ、

おれはとりあえず抱きついているティノをはがせずに疲れたようにため息をついた。


「……ふふ、ハークレイは人気者だな?ガウァース……ふふふ……」


「……あぁ、もちろんだ。ククク……」


理解できずにため息をついている途中、さらに聞こえてきた声に、

ため息の重みがもう一段階、進化した気がした。


──────────────────────────────


「……,というわけで、パーティーメンバーになった連中同士、ブリーフィングなり親交を深めるなり自由時間とする。揉め事は起こさないようn……あーいや、面白ければ起こしてもいいが、怪我はするなよー、以上」


おい。

盛大に突っ込みたくなる発言を受けて、

クラスメイトが各々のパーティーメンバーの場所にお互いを知ろと集まり始める。


そんななかおれたちのパーティーメンバーは全員が全員自然にお互いを知っている、というか知らざるを得なかったので、集まっても知ることなんてなかった。

知らないことは精々がお互いの武器とか趣味とかじゃないだろうか。


「……なんか、もうけっこう皆知っちゃってるし、どうする?なんか作戦とか序列とか、戦うときの立ち位置とか決めとくか?」


集まってウダウダするのもあれなので、おれが聞いてみる。

と、ルリーアとニーアが頷いた。


「うん、そうだね。やっぱり動きの食い違いで危なくなっちゃうといけないし」


「……賛成だ」


「そか。んじゃ、他の2人もそれでいいか?」


「え、ええ、私はよろしくてよ」


「んむ?何やらわからぬが、わかったのじゃ!」



おれが賛成の声を受けてセルティニアとティノに聞くと、2人もうなずく。

ティノ、それはわかったんじゃなく「とりあえずわからないし話を放棄する気満々」って態度だぞ?

……にしても、セルティニアはどうしたんだろうか?

あの態度はやっぱり

入学式から今日まで毎朝おれに突っかかってきては毎度おれに返されて自爆した結果、

自分で塗ったけどおれが塗ったことになる泥を更に自分でセメント固めするような大暴走貴族様のいつもの態度じゃないぞ?


激しく疑問に思う上になにかを企んでるかもなのでちょっと怖く思いつつも、おれは羊皮紙とペンを取り出して四角を描く。

前衛、中衛、後衛に線を引いて分け、

お互いの得意不得意、後衛ならどこにいれば攻撃を喰らわずに済むか、

逆に前衛が当たらないためにはどこにいればいいか等を話し合う。


「おれは完璧前衛だな。基本的に剣に纏わせるか強化魔法(ブーストマジック)くらいにしか使わねえし」


「私は後衛、かな。みんなのサポートする時にみんなが見える場所がいいし」


「……僕は前衛で頼む。魔法(マジック)の使い道がまだ解らない」


「……私は後衛ですわ。攻撃系の魔法(マジック)を使う際、的が全員見えていた方が好ましいですわね」


「妾はとりあえず真ん中がいいの!」


話し合いの結果、おれはルリーアの、ニーアはセルティニアの前で前衛を行い、中衛としてティノが特異魔法で援護、

ということになった。

さすがのティノもいざ戦闘のことになるとついてこれるようで、中衛としても使えそうだ。

正直、これが1番ホッとした。


そして逆にセルティニアが最後まで黙っていたことにうすら寒い物を感じるが、

余計な横やりは入れないように何も言わずにおく。

……だって、おれがなんかしゃべると必ず不審者を発見したお巡りさんみたいな勢いで突っ掛かってきてたセルティニアが、

おれが言い出しっぺで始めた作戦会議に何も言わないとか。

いつぞやの戦闘中いきなり逃げたゴブリン達並みに怖いだろ。

嵐の前の静けさ、という面ではむしろこっちの方が怖さが上だし。


「……なんですの?」


と、いつのまにやらまじまじと見てしまっていたことに気づく。


「あーいや、どんな武器使ってんのかなって思っただけ」


慌ててその場で適当に思い付いたことを言うと、

セルティニアは怪訝そうに眉を寄せたあと、「なんだこいついきなり」って感じで答えてくれた。


「……家の代々の短剣とロッドの二種類を使っていますけれど、一応剣術もそれなりには。それがどうかしましたの?」


「へえ。でもロッドはわかるけど、短剣も使うのか?」


「ええ、属性強化の魔法付加(エンチャント)が付いているので、攻撃系の魔法(マジック)を使うときに……あら、チャイムがなりましたわね」


と、セルティニアが答えているとチャイムがなった。

ボロを出さずにすんだことにとりあえず安堵する。


「ま、百聞は一見にしかず、だな。今度の実践演習ん時に見せてくれ。じゃ、ルリーアもまた食堂でな」


「……ええ、良いですわ」


「あ、うん。また後でね」


2人に挨拶をして、ニーアとティノを連れて寮に戻る。

毎度のことながら男子寮に女の子2人を連れて歩くせいで変な視線を浴びながら、おれはニーアに思ったことを言った。


「……なんか、今日のセルティニア、恐ろしく静かじゃなかったか?」


「……ああ、そうだな。僕も少し、気になった」


ニーアも変に思ったのか、綺麗に細い眉を寄せて答えてくる。

なんだろうな、あのいきなりの静かな態度。

まさかの実践演習でぶっ飛ばしてやろうとか考えられてるんじゃないだろーか。


……さすがにないか。


「……ウィンス」


「ん?なんだ?」


「……今度の実践演習、念のため後ろにも気を付けておけ」


「……」


怖いことおっしゃらないでください、ニーアさん。

まあ、このタイミングで態度がおかしいってことは、案外実践演習も絡んでるのかもだし、多分理由もわかるだろ。


……念のため後ろにも気を付けておこう、と思ったのは内緒だ。

その後も数日間、

おれはセルティニアの微妙に変な態度に首を捻りつつ、

クラスの空気と同様、実践演習のことでいっぱいになっていった。


そして、とうとうその実践演習が次の日までに迫っていった。


「……気を付けておけ」


……頼むからニーア、寝る直前まで言うの止めてくれ。

ようやくデウィーネ魔法学園編のメインディッシュが見えてきました。

ええ、長かったですね。

読んでみると全然短いんですけどね。

ここから先、少し戦闘が増えます。グロダメな方、ご注意下さい。ってグロがダメな人そもそも見ないかな?

次回、実践演習1つ目、始めの視点はまさかのあの人。

お楽しみに!

今回もおれトラを見てくださった方々、感想、コメント大募集しておりますので、お気軽によろしくお願い致します。

では

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