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おれ異世界でもトラブルが絶えないのは何でだろう。  作者: じむ
一章:旅と仲間と魔法学園とトラブル
22/51

21:休日の奇妙な依頼2


じむです。

最近ちょっと時間が出来やすくなったのでちょびちょび投稿していきたいと思います。

まだおれトラを見捨てないで読んでくださっている方や、これから読んでくださる方、

これからもよろしくお願いします。


サイド:ハク


「この先だよね、失踪現場って」


「ああ、たしかトリッキーフォレストとオリハール山脈の中間辺りが失踪現場だった」


ルリーアの確認に、おれは頷いて水筒を一口飲む。

おれたちは現在、ガウァースが持ってきた"失踪事件の手がかり探し"という、

捜索クエストというか調査クエストのような依頼を遂行すべく、

トリッキーフォレストを北上していた。

……昨日行ってないだけのくせに、

その入学式(きのう)の密度が濃すぎて久しぶりに感じるおれは末期だと思う。主に体質的な意味で。


「もう少しで着くが、とりあえず手分けはナシ、必要以上に離れるのもナシだ。ミイラ取りがミイラに、って事態だけは避けたいしな」


「そうだね、私は2人の指示に従うよ」


おれが色々としみじみしている横で、

そんな会話が繰り広げられるのはもうお約束なのかもしれない。


と、不意にガウァースが周囲を見回した。

それを見て、そういえばとおれも辺りを見回して、呟くように言った。


「ここまで来ても、モンスターがいない、か」


そう。

最初の方こそおれの体質も合わさってとんでもない数かかってきたモンスター御中が、

北上するにつれていなくなっていったのだ。

ここまで来ると、一体も見当たらない。

トリッキーフォレストの北には、

基本的にオリハール山脈に用がある鉱山関係者以外は来ない。

用がない人間はよほどのことがない限り絶対来ない。

そりゃまあ、ドラゴン住んでますよーな場所に好き好んで行く理由もないだろうし、当然なのかもしれない。

今回失踪の報告があるのも、

鉱山関係者とかそういう類の人たちとか、

それについていった警備役の冒険者とかだ。

そんな感じなので、モンスターが比較的多く、

年に1度ボランティアで騎士団と冒険者合同のモンスター討伐隊が組まれるほどだ。

そんな所に、なにもいない。

……なにこれ怖い。

……そういえば先程戦闘の途中でいきなりビビって逃げ始めたゴブリンの群れがあったが、あのときも北に向かって進みながら戦ってたっけな。


……どうでもいいけど、いきなり逃げ始めるモンスターを見送るときの"なにこれ怖い感"は異常だ。

最初こそギャーギャー言いながら斧とかナイフとか色々振り回してた奴らが

いきなり泡をくって逃げるっていう事態に、

おれもガウァースもルリーアも超ポカーンとしたわ。

しかもそれから"まだ"なにも起こってないとか、

普通あり得ないだろうなにこれ怖すぎやめて。


「……これも失踪事件の手がかり、だったり?」


色々考えて怖くなったおれが言うと、

ガウァースは口の端をつり上げて笑いながらおれを見る。


「かもなぁ。面白くなってきたなぁ、おい」


「……どこがだよ……」


「……あはは…ガウァースって、ほんとに刺激に飢えてるね……」


「よくわかってるじゃねぇかお嬢ちゃん」


ククク、とお得意の笑いを浮かべて背中を叩いてくるガウァースに、

おれとルリーアがそれぞれの反応を返す。

……ていうか刺激に飢えてるなら1人でオリハール山脈にいけばいいと思う。

きっとドラゴンが刺激をいっぱい与えてくれるだろう。


「……まぁ、この先だから、気を引き締めていこうね?」


「おぅ」


「……ああ」


ガウァースは楽しそうに、

おれは憂鬱にルリーアに答えると、

おれたちはまた北上を続けた。

……そんな馬鹿な会話を繰り広げようとも、モンスターは全くいなかったのは、

幸運だったのか、ある意味悲劇だったのか……。


──結論から言うと、それはとんでもない悲劇(トラブル)の前の、ほんのちょっとした幸運だったのだが。


───────────────────


ガウァースが(勝手に)ワクワクし始めて北上すること数10分。


おれたちは絶句することになった。


「……なんだこれ」


おれがおもわずつぶやいたその場所、トリッキーフォレストとオリハール山脈との中間地点である少し開けた場所には、

鉱山関係者のものと思われる機械や護衛の冒険者の着ていたような防具が転がっていたのだ。


「……どうしたら、衣服以外のもんがここに置いてきぼり喰らうのかねぇ……」


ガウァースでさえやや困惑ぎみだ。

それはそうか。ガウァースのいう通り、衣服以外が、武器でさえ、とんでもない数壊れて転がってるんだから。

その異様な光景をみて、おれはあることに気づいた。

いやむしろ、なんで今まで気づかなかったのか。


「……ここで全部落ちてるよな、機械とか。向こう側にはなんもないよな。

……つうことはだ、おれたち今、続々と失踪者が出てる超危険な場所の、ど真ん中に参上つかまつってるんじゃね?」


「「……あ」」


おれが気付いた発言に、2人が声をあげる。

そう。そういうことだ。

つまりおれたちがノコノコ来て立ち尽くしている場所こそ、

何やらイベントが起きて装備とか全部置いていった挙げ句に失踪する場所なのである。

とすると今現在、ざ・べすと おぶ 危険な状態にある人のトップ3はおれたちということだ。


……アカン、非っ常にアカン。

このままだとまず真っ先におれがやられる可能性大だ。なんでかって?

そりゃあおれほら、あれじゃん?ちょっと人と違う運勢持ってるじゃん?

ここはいったんちょっと戻ってから、

もっと警戒して進み直すべきだと思うし、さっさと引き上げよう、うん。

……と、ここまで超速HETARE思考を巡らせると、

おれは若干ヤバ、って顔をした2人にいったん退くべく声をかけ


『──ほほう、まだ我に楯突きに来る輩がおろうとはな』


──ようとしたところでかかってきた声に、半泣きになりながら恐る恐る後ろを振り返った。

そこには、


『さて、我が領域を荒らした挙げ句に我が子に手をかけおった塵共が……今度はたった3人で殺されに来おったか。覚悟は出来ておろうな?』


……まっっったく覚えのござらんことでキレ気味の、ドラゴンが降り立っていた。


またまた短めで申し訳ござらん。

この先戦闘、ご注意下さいなのでいったん切りました。

次回も、休日なのに伝説とバトっちゃうトラブル王者ハク君を、よろしくお願い致します。

では

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