10:村の夜ってフラグたちやすいよね。エンカウント的な。
じむです。前書き長くね?と自分で思う今日この頃。すいません。でもやっぱこうゆうの大事だと思うんで。なんというか。
あ、えーと、ささやかにこれまでの話を見やすくしました。別にストーリーは変えてません。もちろん。
サイド:ハク
なんとかツクモ村に入れたおれ。
入って第一声が
「へえ、なんか、やさしー雰囲気だな」
ツクモ村は、見た感じ暖かみのある村だった。
スゲエ活気って訳ではないが、
こう、ほんわかした空気が流れている。
あー……落ち着く。
死体見て全力ダッシュしたあとだから特に。
いやマジで。
とりあえず宿を探すべし。
結論から言うと、探し始めると意外に早く見つかった。
見た感じ、普通に宿屋っぽい。
今夜一泊してから明日出発するか。
まったりなこの空気は心地いいけど、時間は有限なり。
3週間でデウィーネ入りするためにも我慢だ。
……まあぶっちゃけ、さっきのダッシュすれば1週間ちょっとでつくとは思うけど、
それはあんまり使いたくないね。
え?だってダルいじゃん。
魔力の消費も多分激しいし。
さて、宿は見つけたし、さっさと入ってさっさと寝るか。
……あ、忘れてた。
「……とりあえず飯食いにいこう……」
思い出したように訴えてくる空腹に腹を押さえながら呟くと、
おれは定食屋を探してさまよった。
夕食は大事。
……肉料理は避けよう。
まあ、そんなこんなで定食屋を見つけて、入る。
定食屋は結構な活気だった。
テケトーな場所に座ると、メニューに目を落とす。
さて、どんなものがあるかな?
パンは頼むとして。えーと……
~本日のディナー~
1・ガーナフィッシュのスープ
お、これはちょっとうまそうだ。
ガーナフィッシュって言うのは、まあ要するにサバをちょっとでかくしたみたいなモンスターで、
危険は皆無である。
味はちょっと甘い。
これは選んどこう。さて次は
2・ファットフィッシュの衣揚げ
おお、ファットフィッシュの揚げ物はおれの大好きな料理だ。
ファットフィッシュってのは、これも危険は皆無だが、とにかくデカイ。
揚げ物って言うと、ステーキみたいに分厚い一枚にされた状態の揚げ物だ。
これは言うまでもない。
もちろん即注文だ。
さて、他には……
3・ポイズンウル
メニューを閉じた。
「すいまっせーん!パンとガーナフィッシュスープとファットフィッシュ揚げー!」
おれの夕食は決定した。
……あれ、食えるんだね。
まあ、それからは特になにもなく食事は終わった。
異常なのはファットフィッシュ揚げのサイズぐらいのもんだった。
「お、おおう……ファットフィッシュは当分食えんな……ていうか3分の1匹揚げてるとは……」
化け物である。
よく食えたな、おれ。
ていうか食いきった瞬間、おばちゃんに「ほぉ。やるね、あんた細っちょい癖に」とか言われてニヤッとされたし。
ともかく宿に戻り、部屋をとった。
宿のおばちゃんは穏やかそうな人だった。
あの定食屋のおばちゃんに見せてやりたい。
いや多分知り合いだろうけど。
そして部屋に入るなり、風呂に直行する。
この世界には風呂がある。
転生してちょっと感動したことの1つである。
「ふーっ、きもちいねえ!風呂!いいねえ、この感じ!ばばん ばばん ばん ばんっビバノンってね!」
どこぞの荒川ネタのようなワケわからんことを言いつつ、風呂に浸る。
日本人は風呂だよね、やっぱ!
そして風呂から上がり、
おれはこの10年間使っていた乾燥魔法を使う。
もうなれたもので、イマジンする必要もなくなってしまった。
慣れってスゲエな。
もう「乾け」って念じるだけでできちゃう感じだよ。
そして服を着こんで、防具である黒コートを椅子にかけておく。
まあそして、旅初日である今日を思い出す。
「今日はなんか、いろいろあったなあ」
いやマジで。
家族と別れて、
ポイズンウルフェンの死体見つけて、
全力疾走頑張って
柱にゴッチーーーーンして、
定食屋でアホみたいな揚げ物食って。
まあ、なんか新鮮な感じだったなぁ。
明日もなんもなければいいなあ。
なんて考えつつ、おれはベッドに潜る。
……結論から言うと、おれの祈りはわりかし早く裏切られる。
それはもう、あれ、ちょ、早くね?早すぎね?って早さで。
─────────────────
「モンスターだあ!モンスターがきたぞお!」
そんな声でおれの安眠は覚醒する。
見ると、現在日本で言うところの朝2時くらいをさす。
朝じゃねえな。まだ夜じゃね?
ってレベルである。
まあ、それはどうでもいい。
ただ、
モンスターが出たってことは、村人は慌てて避難しているだろう。
外からざわざわ聞こえてるし。
おれも急いで黒コートを羽織る。
外へ出ると、2種類の 人間がいた。
避難している住民と、
門の方へ走っていく自警団やら冒険者だ。
おれは急いで避難側に入ろうとする。
……いや、冗談だっての。
おれの安眠を邪魔したやつだ、せめて顔でも拝んで来なきゃ。
おれは人を掻き分けて門の方へ走っていく。
門につくと、そこはなんか劣勢っぽかった。
自警団やら冒険者の皆が取り囲んでいるのは一体のモンスター。
そいつは、まあなんというか、モンスターを狩るゲームに出てくる熊的なあれだった。
恐らく、昼間のポイズンウルフェンの死体もコイツなんだろう。
熊を囲む自警団のやつらも、なんか手に負えてないっぽい。
そこら辺に負傷した人間が転がっているのを見たところ、囲んで倒そうとしたら予想外に強いもんだから、やべ、コイツどうしよ?
って感じか。
と……
GUAAAAAAAAAAAU!
叫び始める熊的モンスター。
声量パナい。
「ひいっ!」
誰かが悲鳴を漏らす。
まあ、そりゃビビるよな。
おれもちょっと怖かったし。
と、そのとき、熊的モンスターが動いた。
こちらを睨み、唸る。
獰猛な口が少し開き、これまで食ってきたであろう肉が見える。
……もういや。
当分肉料理は避けよう。
絶対。
そんなこんなでちょっと戻しそうになっているおれを置いて、
熊的モンスターは自警団と冒険者の包囲に突っ込み始めた。
単調で読みやすい動きだったため、冒険者たちは難なく避けた。
おれも一応安全圏まで移動する。
死にたくないしね。
まあおれの場合、全力で魔力を流せばあれくらいはなんとか倒せると思うけど、
いたいのやだし。
そんな感じでそそくさと避難したおれの耳に届いたその声は、本当に予想外だった。
「うわぁーん!母さぁん!どこぉー!?」
……え?
驚いて熊的モンスターの進行方向を見る。
そこにいたのは、男の子だった。
見た感じ5~6歳ってとこだろうか。
男の子は泣きながらこちらまでよたよた歩いてくると、
こちらが見えたのか、固まっていた。
その視線の先にいるのは、突進中の熊的モンスター。
……え、ちょ、少ねええええん!?
必死で逃げるように祈るが、悲しいことに男の子は足が震えているだけで動けない。
このままだと熊さん直撃コースだろう。
で、まあ気がついたら体が動いていた訳で。
「強化魔法!我が四肢に強靭な力を!」
……叫ぶやいなや、
熊さんの進路上に突っ込んでましたー。
ドゴオオオオオオオオオオオ!
直後響き渡る轟音。
今度こそ轟音でございます。
多分。
感覚的に。
おれは、熊的モンスターを両手で受け止めていた。
数メートル後ろに押されたが、子供は無事っぽい。
良かった良かった。
っと、まだ言うほど無事な状況でもないんだよね。
おれの腕的に。
「母さんはあとで一緒に探してやるから!今は後ろにおもいっきり走れ!ダイジョブ、お兄ちゃんが守ってるから!」
熊モンスターを押さえつつ、後ろの男の子に叫ぶ。
あれ、これっておれカッコいいんじゃね?
とか思っていると、男の子はこちらを見るとこくんと頷き。
「あ……ありがとう、お兄ちゃん!
」
とだけ言うとくるっと回って一目散に走り出した。
んー、素直な子で良かった。
おれがそんなことを考えて前に意識を集中すr……っとお!
「うあぉおおっ!」
吹っ飛ばされた。
どうやら相当怒ってしまっちゃったらしい。
……こええ。
ひたすらこええ。
だけど、退いたらあのいたいけな男の子が餌食になってしまう。
んなことさせないためにも、
お兄ちゃん頑張っちゃうぜ!
と空中で姿勢をたて直しつつ、決意を新たに。
が。
GUAAAAaAAAuaAAAUu!
「……どーしよ、これ。多分いつぞやの犬人間よりデカイよ?」
呟く。
軽く3メートルはあるだろうこの熊さん相手に、どうやって有効な攻撃を当てようか。
1対1なら魔法でどうとでもなるが、今おれの魔法を行使すると
周りの人間が巻き込まれてしまう。
まあ正直、隙があるようでないから、
どのタイミングでかかればいいのか分からん。
どうしたもんか。
「……よう、小僧。さっきのは見事だったぜ」
おれが悩んでいると、おっさんが話しかけてきた。
どうやら冒険者っぽい。
こっちはターゲットにされてそれどころじゃないっての。
「そいつはどうも。んで、なんの用だ?けっこー危ないぜ今は」
おれが言うと、おっさんは小さく笑うと、デカイ斧を構えて熊モンスターを警戒しつつ、おれに目を向ける。
そんな中でも熊モンスターは腕をブンブン振り回して、飛びかかってきた他の自警団、冒険者をなぎ倒し、威嚇している。
正直、本当に話している暇がない。
このままだと死者が出る。
さっさと用件を伝えてもらおう。
「ああ、俺の名前ぁガウァース。ガウァース・ロックボーンだ。
さっきのあれ、またできるか?」
ガウァースっておっさんが聞いてくる。
あれって言うと、おれが受け止めたあれだろう。
まあ、出来ないことはない、ような気もしないでもない。
……あれ痛いんだよね。
他にできることないからやるけどさ。
「できるよ、多分ね。んで、やったらどうすんだ?あんたのデカイ斧でも打ち込むのか?」
「ああ、それが一番いいだろう。
おれが受け止めてもいいが、お前さんの方が力の受け流しをわかってるんでな。頼んでいいか?」
確かに、あのおっさんはおれうおりあのデカイ斧での一撃必殺を心得てるだろう。
おれも痛いのヤだって一心から、それなりに力の受け流しもできている。
なら、やったろーじゃん。
「やるさ、おれが挑発して受け止めるから、あんたはあの首筋に一発、頼むわ。
あれ痛いから、3回はしないよ?」
「……ククク、面白ぇな、小僧。
まあ、任せときな。終わったら肉料理で一杯やろうや」
「気が向いたら、なっ!」
おっさんの言葉に悪意を感じつつ、苦笑をこぼしておれは行動を開始した。
「土魔法!彼の者へ石の雨を降らせたまえ!」
まずはアースマジック行使。
石のつぶてを作り出し、頭上から一気に降下させる。
やはりその程度じゃあ足止めにしかならないが、それが目的であるため、大して期待はしていない。
熊モンスターがこちらを勢いよく振り返る。
相変わらず凶悪な面してるなあ、
などと思い、イマジンをしつつ、ゆっくりと魔力を体に流す。
「いいぜ、来いよ熊さん。受け止めてやんぜ」
GAAAUAAAAAAAAuh!
おれの声に答えるように、真っ正面から咆哮をあげて突っ込んでくる熊モンスター。
腕を持ち上げる。
腰をおとした瞬間、重い巨体がおれをおそう。
「ぐっ……うぅおお……っ!」
ガガアアアアアアアアアアアー!
アホみたいな衝撃を受け止め、流しつつ、おれは数メートル後ろに押される。
そして、巨体は音を静めつつ、止まった。
今だ。
「任せた、おっさん!」
「ガウァースだってのっ!」
おれが叫ぶと、おっさんは叫び返しつつ、斧を振りかぶって降ってくる。
おれは、おれたちの勝ちを、確信した
なんかまたどうしようもないスペックの低い話になりましたが、これが限界っぽいです。すいません。
できれば感想とか待ってます!