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おれ異世界でもトラブルが絶えないのは何でだろう。  作者: じむ
一章:旅と仲間と魔法学園とトラブル
10/51

9:旅に出て初の魔法がこんな理由って嫌だよな。マジで。

いつのまにやらこんな駄作を読んでくださっている方がいることを確認しました。

歓喜しました。ほんとにありがとうございます!

これからも"おれトラ"をよろしくお願い致します!

サイド:ハク


「よし……」


剣をもらってからもヤクザオヤジにいろいろ貢がs……都合してもらってから、おれは準備万端となった。

特にポーチは儲け物だったなぁ。

今おれが腰につけているポーチは、空間魔法がかけてあり、入れたものは状態維持魔法がかけられる。つまりデカイテントとか、生モノとか、大量のモンスター素材とかを入れられる優れものだ。

そんな便利グッズを結構な量もらってから家にかえったら両親に装備のよさに仰天され、ご自慢のアドリブで金貨を全部使っていいものを探しまくった、とでっち上げ、納得してもらったということがあった。

……いや、さすがに闇商人に貰いました、とは言えないだろ?騎士団隊長相手に。

まあいいか。


そして翌日。

ウィンス家の前にはおれと、おれを見送る家族がいた。

おれは母さんから弁当を受け取り、やさしく抱き合う。


「体に気を付けてね」


「ありがとう、母さん」


そっと抱擁をといて、優しく微笑み合う。

そしておれは父さんの方へ向く。


「……ハク、父さんはここでお前の帰る場所を守ってる。だから、でっかくなって戻ってこい」


父さんはどこか厳しく、それでいて穏やかな顔でこちらを見ると、しっかりとおれを抱き締める。

……痛い。

父さんの力強さが伝わってくる。

……力強過ぎね?いた、あれ、イタタタタタタタ!

いや、この感動的なシーンを台無しにしてたまるか!なにも言わん、言わんぞ!


「わかってるって、ありがとう父さん。」


気持ち急いで、かつ穏やかに抱擁をといて、今度は力強く微笑み合う。

まあ、元気はもらえたさ。

きっと。

そして最後は我が愛しの妹、リリスに顔を向ける。

リリスは少し拗ねたように言った。


「……私だって、お兄ちゃんと一緒に冒険したかった……来年になったら絶対に追いかけるから、こまめに手紙、書いてね?」


言うだけ言うと、うっすらと笑っていた。

おれはそんなリリスの頭をガシガシと撫でる。

そして抱き締める。くそぉう、かわゆいやつめぇ!

そしてさりげなく、腕の中でむずがっているリリスにそっと耳打ちする。


「来年になったら、商店街の裏にある闇商人のおっさんを訪ねてみるんだ。おれの妹って知ったら、いい装備もらえるから。そんで追っかけてこい。お兄ちゃん待ってるからさ」


両親に聞こえないようにいうと、リリスは今度こそ満面の笑みでおれを見た。


「……うん。約束だよ」


「おいおい、急に元気になったな。なに言ったんだ?ハク」


「ああ、お土産期待してろってね」


おれが驚いたように聞いてくる父さんに言うと、父さんは可笑しそうに笑っていた。

そして挨拶も終わり。

おれは剣を担ぎ直し、最後に一通り家族の顔を見る。

と、視線の先になにやらデカイおっさんを発見する。

ヤクザオヤジだ。

オヤジはおれを見ると、小さく、本当に小さく手を挙げた。

見送りにくるとは、なかなか情にあついオヤジである。

おれはうっすらと笑みを浮かべた。

そして、力強く言った。


「じゃあ、行ってきます!」


「「「行ってらっしゃい!」」」


即返ってきた返事に笑みを深めて、おれは平穏な毎日を探す旅に出た。


─────────────────


「カッコよく始まったのはいいが、どうしようか」


旅を始めて少したち、おれは途方にくれていた。

ない。計画が全くない。

……だって、だってさ。

旅の主旨がトラブルがないところを求めて、って奴だし、そんなんで計画とかねれないでしょ?

だから仕方ない。

うん、仕方ないんだ。

……コホン。

よし、まずはどこにいこうか決めようか。

結論付けて、おれは地図を取り出す。

この地図も魔法がかけてある。

おれが向いている方を上にして表示してくれるため、コンパスがいらないという優れものだ。

さらに、目的地までどれだけかかるかの平均時間を教えてくれるというおまけ機能つきだ。

闇商人オヤジは偉大である。

今おれがいるのはシーウォール王国の北門から少しはなれた街道だ。

そこから西へ進むとデウィーネ共和国。

東はジパンギル共和国。

北はダステート帝国、跡地だ。

北は論外だとして、どちらにいこうかなやむ。

かたや武芸の本場であり、ギルドの統括支部がある、日本的な文化でをもつジパンギル。

この国には刀やらなんやら、おれのグッとくるものもあるという。

かたや芸術と医療、そして学問の聖地であり、この世界で唯一無二の学園があるデウィーネ。

この学園には学費がなく、来るもの拒まず制らしい。

どちらにいっても損はないと思う。

実際、どっちに行こうが得るものはあるだろう。

ジパンギルは武芸。

デウィーネは魔法と知識。

ここで決めるものは1つ。

……ぶっちゃけよう。

おれ、高2になってちょっとで死んじゃったから、学校という物にとてつもなく惹かれている訳よ。

そして、偶然にも今この世界では学園の入学式的なものの一ヶ月前なのである。

そして、ここからデウィーネまで3週間で到着すると地図は伝えている。

……もうね、ここまで偶然だとあれでしょ?どこぞの神様がせっかくだから行ってもいいよ、って言ってるんでしょ?

おれに迷いはない!


「行くぜ、デウィーネ!」


そう言うとおれは西へ向かって歩き出す。

学園ライh、いや、知識を得るために!

……まあ、こっからだとどっちに行こうが3週間くらいかかるんだけどね?

…間に合うかな、おれ。

不安になりつつ急ごうと足を運ぶ。

目指すは3週間でデウィーネ入りだ。


……もう数時間歩いただろうか。

しばらくあるいていると、ふと1つだけ小さな影があることを確認する。

モンスターの可能性もあるので、何時でも剣を引き抜ける体勢にしながら、ゆっくりと進む。

そこにあったのは、死体だった。

もちろん、人ではない。

狼のようなモンスター、ポイズンウルフェンだ。

このモンスターは牙に毒があり、その毒を加熱すると毒素が抜けて解毒剤ができるという、なんとも矛盾したモンスターだ。

しかしおかしい。

ポイズンウルフェンは集団で行動するのが基本のはず。

本に書いてあったのだから間違いないだろう。

そして印象的なのはその腹。

なにやらグロいことになっているそこは、大きな3つの引っ掻き傷ができていた。

……うわあ、キモ。

しかし一体だけということは、ここで何かから逃げ遅れて、その何かにやられたのだろうか。

群れで行動するモンスターが逃げるような存在であり、さらにこのデカグロい引っ掻き傷。

……うん。

これ絶対モンスターだよね。

戦国BAナンチャラみたいに三日月兜のあの人がお得意の刀三本でザシュッ!て訳じゃないよね。

そしてここで日が傾き始めている今、歩いているおれは多分ここらでポーチからテント出して野宿、ってことになるだろう。

……急いで地図を取り出す。

そして近くに村とかを探すおれ。

これはヤバい!急いで集落なり村なりに到着せねば!

すると今からこのペースでいくと3時間程度でつく村を発見する。

ツクモ村。

なにやらモンスターを狩るゲームっぽい名前の村だが、そんなことより。

こんな所で野宿だぁ!?やってられっか!おれは先に村に行くからな!

……あれ、フラグ?嫌な意味の方で。

……。

……いいや、気にしても仕方ない。

魔法でも何でも使ってやる!とりあえず村につくのが先だ!とりあえず!

決めるやいなや、おれは魔力を呼び起こした。


強化魔法(ブーストマジック)!我が身体にまとい、強靭な身体を与えよ!」


イマジンは神経と筋肉に魔力で働きかけ、身体能力をアホみたいにあげる想像。

ちょっと想像は難しいが、そこは妄想ばかり膨らませてたおれ。

難なくイマジンする。

そして魔力を込めて発動すると体が光を纏うと同時に、あり得ないくらいに体が動くようになる。

そして前屈みになり──。


「GOぉう!!」


全力で走り出す。

同時に周りの木々がものすごい勢いで後ろに流れていく。

そりゃそうか。魔力量がとんでもないおれのブーストだ。

……近くのポイズンウルフェンの死体が後ろに飛んでった気がするが、気にしない。

ナンマンダブ。

走りつつ、地図を確認する。ツクモ村までの時間が、みるみる短縮されていく。

3時間、2時間40分、2時間20分……。

1時間50分、1時間30分、1時間……。

走る。

走る走る。

今は何より命が大事。

爪痕があんなデカイバケモンなんか相手にしませんっ!怖いもん!

え?そんなんで冒険者やってけんのかって?バカモン!死体だけ残されとるのに倒すモンスターがいないって相当怖いんだよ!?

なにそれ!家ん中で殺人事件が起こった時級の怖さだよ!起こったことないけど!

そこで寝泊まりなんて出来るか?出来るかぁ!

してたまりますかあぁぁっ!!

と言うわけで全力で走る。

地図を確認する余裕もなくす。

ひた走る。

もうすぐだ、もうすぐ村につくはずだ。

目を閉じて祈りつつ信じて走る!


ゴッチーーーーン!!!


……日が傾いた空に、盛大に響き渡る轟音。

いや轟音ではないか。

……まあ、目を閉じて身体強化された状態で走ったら、頭ぶつけますよね。

おれがぶつけたのは、"ツクモ村"と書かれた門の柱だった。

……門番さんがとってもビックリした顔でこっちをみてました。


「……」


「……あのぉ、村ってまだ入ってダイジョブですか?」


……おれが絞りだすように放った言葉が、やけにむなしかった。

これが、おれが旅に出て初の魔法使役だった。

……もう、ほんとにやってけんのかな、おれ。

短くなってしまいましたが、きりがいいのがここまででした。ごめんなさい! これからデウィーネまで3週間、いろいろあったりなかったりしますが、読んでくださっているみなさん、重ね重ねもうしますが、どうかこれからもよろしくお願い致します!

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