え、・・・で?
短編です
朝からずっと、待ってるのに、いっこうに名前が呼ばれる気配がない。
「○○さん、どうぞ~」
私の隣に座る女性が呼ばれた。
この病院いつも思うけどすごく混んでる。朝早く来たつもりだったけど、すでに待合室の席は超満員。ようやく空いたその女性がいた場所に座ろうと思ったら、お爺さんが来て、思わず席を譲ってしまった。せめてお礼くらい言ってもらえたら、私もそんなにイライラしないのになぁ。
内科、整形外科、耳鼻咽喉科、小児科、他にもさまざまな科があって、それぞれのドアの前にたくさんの人が座っている。この街で唯一の病院だし、混むのはわかっていたけど、病院が始まってからすでに3時間も経っているのに、呼ばれる気配がない。
目の前を通った看護師さんに声をかけたけど、無視されてしまった。忙しそうにバタバタしているから、仕方ないかもしれないけど、「ちょっと待っててください」とかそういう言葉を言ってくれればいいのに。この病院、スタッフの態度が良くない気がするなぁ。まぁでも、大きな病院はココしかないし、ここに来れば、検査は一回で済む。その便利さを時間を払って買っているようなものだ。
待ちくたびれて、病院の入り口付近にある自販機でコーヒーでも買おうかと思って一歩踏み出そうとしたら、頭がグワリと回った様な気がした。視界が歪む。なんだか気持ちが悪い気がする。あぁ、体が支えられない。
気が付くと私は床に寝そべっていた。冷たい床。というか砂?土?が手と頬についている。私、病院にいたんじゃ?
「お待ちしておりました」
スーツを着た男性が、いつの間にか私の頭の近くに立っていた。
「え、・・・っと、誰?」
「△△様ですよね」
「えっと、はい、そうですが」
男性は私の名前を確認すると、にっこり微笑んで私を起こしてくれた。
私は体中に着いた土を払って、男性を見た。ニコニコとしているけど、なんとなく優しい笑顔というよりは、笑顔が張り付いているだけのように見えて、怖かった。
「あの、」
「どうぞこちらへ」
説明を求めて口を開いたけど、私は男性に促されるまま歩き出した。
「ここはどこなんですか?」
聞いたのに、応えてくれない。いったい何なのだろう。さっきの病院でも、無視をされたし、私もしかして視えてない?
「こちらでお待ちください」
男性はそう言って、門の前に私を連れてくると、どこかへ行ってしまった。
結局説明は受けられないまま、門の前で待つ。また待つのか、もう待つのは疲れたんだけど。
「△△様、中へどうぞ」
今回は名前を呼んでもらえた。よかったよかった。
そう思って中に入ると、正面に豪華な装飾の服を纏った体の大きな男の人が立っていた。傍にはさっきの男性に似た、細身の男性もいる。
「△△さん、あなたは今の状況が理解できていますか?」
「状況?」
まったく理解できない。
「△△□□さんですよね?」
「いえ、私△△□〇です」
そう答えると、急に場がざわついた。
——え、・・・で?——
え?・・・ん??




