未完
掲載日:2025/12/24
男がいる。
黎明。机に向かう彼は隙間から這い出る冷気を感じず、目の前の蝋燭の光を見つめている。
手にもつ筆ペン。インクが白紙を濡らす。
陽が昇る。蝋燭は未だ灯っている。
「出来た」
男は立ち上がる。垂れたインク。白紙に点々としている。
「出来た」
蝋燭の灯りはそのままに。
男は昇りゆく太陽に原稿を照らす。
蝋燭の火は揺らめく。そして、自ら消えた。
「出来た」
陽の光は原稿を透かし、何もないのを男に見せている。
あるのはインクの跡だけ。
男は歓喜する。
「出来た」
未だ暗い部屋。
消えた蝋燭。紫煙が揺らめていた。
最近、こんなのが頭に浮かんでしまう。




