武とは
シドが谷に行くと、魔獣の死体の山になっていた。
死体の山の上に座る姿が二人。
マリンとイースだ。
イースはキセルを吹かし、マリンは大きなため息をついていた。
魔獣を呼ぶ笛は、一定間隔でなるが魔獣は来ない。
シド「魔獣、刈り尽くしちゃったか。」
そう。
もう近くに魔獣がいないのだ。
シド「半年は、何も出ないだろうな。さて、二人とも。次の段階に進もうか。」
シドの後ろから金髪の細目の男が現れる。
シド「うちの副長ね。」
クーン「クーンだ。よろしく。」
シド「クーンには、マリンの指導をお願いした。しっかり学んで。クーン。あと、よろしく。イースはこっちね。」
シドとイースは歩いて離れていく。
クーン「マリンだね。こっちに来て。」
マリンはクーンに言われるがままについていく。
クーン「さて、この辺りで良いかな。マリンに質問だよ?武とは何だい?」
マリン「相手を倒す術じゃないですかね?」
クーン「ちょっと違うね。ズバリ正解言うよ?武はね。弱者が強者を倒すために使うから術なんだよ。」
マリン「え?でも、強い一文字武術は使いますよね?」
クーン「本当の強者は、武術なんて使わないよ。そのままでも住文化強いからね。じゃ、武はどうやってできたか。それは、強者の戦い方を研究して、どうやって攻撃がを捌くか、どうやって攻撃するか、どうやってオーラを効率よく使って体を動かすかとか、色々考えた結果できたらものなんだよ。マリンにやってもらうのは、ひたすら型を覚えてもらう。考えなくても体が勝手に動くくらい。オーラも全力で使ってもらうよ?しっかり覚えてね。まず、見本ね。」
クーンは右足を半歩前出し、膝を少し曲げ、右手を少し前に出し、左手は左胸辺りに持ってくる。
全身に力は入っておらず、脱力していた。
クーンは大きく息を吐く。
すると、どんどんオーラが体から溢れ、大きく膨らんでいく。
そして、瞬く間に体にオーラが圧縮されていき、体の周りには、バチバチと電気のようなオーラが流れる。
そこからは、目にも止まらぬスピードで、捌き、突き、蹴り、投げ等動きが繰り返される。
一挙一動の全てが流れるように美しく、一撃一撃の威力が高い事が見て分かる。
ドォーン
クーンの右足が地面にクレーターを作り、動きが止まる。
クーン「こんな感じね?ちなみに型は全部覚えてね?オーラは、俺は雷だけど、得意な属性は人によって違うから違っても良いよ。ちなみにオーラを違う属性に変換して圧縮する、この技術を「纏」っていう。頑張ってね。できるようになったら、俺と組み手やるから。」
マリン「はい!」
クーンの指導が始まる。
マリンは知らない。
クーンは、魔族領で一番の武術家であり、ドエスである事を。
こうして、マリンの地獄の日々が幕を開けた。




