魔将
イース達は1日もせずに魔王領の大都市ビスに到着した。
フェンリル「起きろ。こんなスピードで気を失う等軟弱過ぎるぞ。」
イース「うぅ、ここは・・・」
イースの目の前に広がっていたのは、レンガの家が立ち並び、町の奥の崖の高い所に黒い大きな城があり、町の周りには羽の生えた人が何人も飛んでいた。
イース「すご・・・い。」
マリン「めっちゃ凄い町だね!ビックリだよ!」
アイビス「人間領の国の首都より大きいわね。」
イース達は驚きが隠せない。
フェンリルの体が光り、縮んでいき、白いロングヘア、頭に狼の耳、胸がスイカ、クビレがしっかりある白いTシャツに黒い七部丈ズボンを履いた美女に変わる。
フェンリル「さぁ、行くぞ。」
シスカ「ふわぁ~女の子だったんですか~?てか、可愛い過ぎる~」
イース達も呆然としている。
フェンリル「え?男なんて言ったか?それなら訂正だ。我は女だ。」
イース達は、ただ頷くしかない。
フェンリル「サタン様が待ってる。行くぞ。」
町の舗装された道を歩いていく。
中央の黒い城はどんどん大きく見えてくる。
近づけば近づく程、黒い城の異様さも増す。
しばらくして、大きな城門にたどり着く。
城門の両脇には、黒い鎧を着た騎士が槍を右手に持ち、警備している。
騎士はフェンリルを見ると敬礼した。
フェンリル「ご苦労。」
そして、城門が開くと城に続く道が見える。
道の両脇には、青いバラが咲き誇り、噴水もあった。
道の脇のベンチに、茶髪の10代くらい、小柄の男の子がエプロンをして庭の手入れをしていた。
男の子がフェンリルに気づくと、笑いがら言った。
男の子「久しぶりです。まさか、駄犬に呼ばれるとはね。」
フェンリルの体から怒ったようなオーラが溢れ出す。
フェンリル「この土人が。なぜ、円卓にいない?サタン様の言うことが聞けんのか?」
男の子からも怒ったようなオーラが溢れだす。
男の子「ひどい言われようだな。いやいや。庭が荒れててね。直してたんだ。」
二人とも目が笑ってない。
圧が凄い。
誰か止めて~。
二人「あ゛~」
フェンリルと男の子のケンカが始まろうとした時。
間にほっそり高身長、額から角が二本生えたTシャツにジーンズ姿のイケメンと水色のツインテール、胸はメロン、ナイスバディ、青色のロングドレス姿の美女が立っていた。
イケメン「・・・もう時間。」
美女「サタン様がお待ちですよ?じゃれてないで行きますよ?」
フェンリル「ふん!言われなくても行くわ。」
男の子「サタン様を待たせるわけにはいかないかな。」
二人は落ち着き、城に入っていく。
イース達は、あたふたしながらフェンリル達の後についていく。
しばらく行くと、扉の前に執事姿の高齢男性が立っているのが見えた。
執事「皆さん。中でお待ち下さい。」
フェンリル達四人は、執事に一礼して部屋の中に入っていく。
イース達も慌てて、執事に一礼してフェンリル達の後についていった。
部屋の中央の奥の方に赤い絨毯が伸び、絨毯の先に階段の上に椅子が一脚ある。
フェンリル達四人は、絨毯の左右に別れて立つ。
ちなみに右にフェンリル、イケメン、左に美女、男の子。
フェンリル「お前達は、私の後ろにいろ。」
イース達はフェンリルの後ろにならんで立つ。
すると、部屋の扉が開いた。
フェンリル達は姿勢を正して起立している。
サタン「よぉ。皆、元気だったか。集まってくれて悪かったな。まぁ、楽にしてくれ。」
サタンはそう言いながら階段上の椅子に歩いて行き、座る。
サタン「フェンリル。俺の勝ちだったな。だが、良い勝負だった。引き続き、励め。」
フェンリル「御意。」
サタン「フェンリル。イース達を前ふへ。」
フェンリル「お前達。サタン様の前に出ろ。」
イース達は言われた通りにサタンの前に出る。
サタン「フェンリル。ご苦労様。さて、お前らに聞こう。いずれ、お前達が人間領に戻ったとしよう。そしたら、お前達は間違いなく、殺されて終わりだ。それ以外の未来はない。」
イース達は困惑の表情を浮かべる。
サタン「そのため、言ったと思うが、俺の部下達にお前らを鍛えてもらおうと思う。だが、強くなるかはお前ら次第だ。厳しいだろう。どうする?やるか?」
イース達は黙って頷く。
サタン「そうか。もう後戻りはできないぞ?この先、楽になるには強くなるか、もしく死ぬかだ。まぁ、死んでも、すぐに生き返らせるがな。ようは強くなるしかないって事だな。」
イース達はサタンの話を黙って聞いている。
サタン「フフっ。まぁ、がんばれ。命がかかってるからな。覚悟は良いな?」
イース達は思う。
今の人間領に戻っても、自分達より強い者はゴロゴロいるし、教会に異端者認定された自分達は、すぐに殺されるだろう。
強くならなければ、刈られる側だ。
ここで強くならなければ、一生人間領には入れないだろう。
もう覚悟を決めるしかない。
と覚悟を決めて真剣な表情になる。
サタン「覚悟は決まってるな。では決まりだ。ちなみにお前らが強くなったらお願いを一つ聞いてもらう。これがお前らの修行を見る条件だ。まぁ、無理な事は言わん。あまり、考えすぎなくて良い。では、改めて、君らの先生達を紹介しよう。両脇にいる魔将達だ。魔族領で11本の指に入る程強い。人間でいうところのXランクだな。皆。それぞれで適正見て、修行させてくれ。半年後には、御披露目として闘技大会を開く。優勝したら褒美をやろう。がんばれ。」
フェンリル達「御意。」
イース達「はい!」
サタン「じゃ、よろしく。俺は行くぞ。」
サタンは部屋を出て行く。
フェンリル「じゃ、場所を変えよう。」
フェンリル達四人とイース達は部屋を出て、別の部屋を入る。
フェンリル達四人が話し合いをはじめか、しばらくするとイース達の方を向く。
フェンリル「お前達。名前を言え。」
イース達は各自で自己紹介した。
フェンリル「わかった。じゃ、誰が誰につくか言う。まず、私だ。私はスノー・フェンリル。第6魔将だ。担当はスミスとソドだ。よろしくな。」
スミス、ソド「よろしくお願いします。」
男の子が前に出る。
アース「僕はアース・グランナーゼ。第7魔将だよ。担当はルシアとプラシュ。まぁ、がんばって。」
ルシア、プラシュ「はい!」
次に美女が前に出る。
セレン「私の番ね。私はセレン・リヴァイアサン。第8魔将よ。担当はシスカとアイビス。よろしくね~」
シスカ、アイビス「お願いします。」
イケメンが前に出る。
シド「シド・ファントム。第5。マリン、イース担当。」
シドは右手を上げる。
イースとマリンは、ペコリとお辞儀した。
フェンリル「それじゃ、別れて修行開始だな。半年後に会おう。」
こうしてイース達の地獄の日々が始まったのだった。




