教会からの追っ手
バッカダの死後、大教会の謁見の間に法王と1人の騎士がいた。
騎士の特徴は、50代くらい、白髪の短髪、左目に縦に傷痕があり、眼帯をしている。
体は50代とは思えない程、筋肉質だが、マッチョではなく、しまった印象だ。
騎士は、十二神将のボウ・フレイム。
白炎のボウと呼ばれる騎士である。
クラフト「急に悪いな。」
ボウ「かまいません。」
クラフト「要件は異端者狩りを頼みたい。異端者はシスカ・シュバルツ。バッカダの娘だ。バッカダはお前の親友だったな。シュバルツが病死した今、娘の調査が出来ん。よって疑わしくは罰する。頼めるか。」
ボウ「御意。すぐに出発します。」
クラフト「バッカダの執事の話だと、ジョーカー連邦を北に向かってるようだ。魔族領に行こうとしているらしい。」
ボウ「御意。必ずシスカの首を法王様にお届けしましょう。」
ボウは、すぐに自分の部隊を率いて、大教会を出発し、イース達を追うのだった。
イース達は町を出て、キリフ山脈に向かっていたが、シスカの様子が落ち込んでる事もあり、なかなか思ったように進まず、5日経っても山脈にはたどり着けずにいた。
ボウの進行は速く大教会を出発して3日でジョーカー連邦キリフに到着し、4日目には城塞都市ドウケに到着していた。
町の聞き込みにより、シスカ達が5日前に出発した事が分かり、ボウはすぐに北に出発した。
ボウの大規模出兵は目立ち、教会の十二神将の異端者狩りの話はジョーカー連邦の国内に広がっていた。
当然、冒険者ギルドでも話は上がっていた。
クロス「あのバカガキ共。近頃、来ねぇと思えば、一体、何やらかした?全く困ったもんだ。フローラ。ちょっと、頭痛くなってきたから病院行ってくるわ。マスターには、早退したって行ってくれ。しばらく休みももらうわ。」
フローラ「分かりました、お大事に。」
クロスは病院に行ってしまうのだった。
一方、イース達はキリフ山脈の入り口にたどり着き、夜営中。
シスカは暗い表情で、何も話さない。
イース達もシスカにどう声をかければ良いか分からず、そっとしておくしかなかった。
翌朝、イース達が荷物をまとめていると、南の方から轟音が聞こえた。
アイビス「一体何よ!?魔獣?」
スミス「違う!馬だ!教会の追っ手に追い付かれた。イース!シスカをおぶれ!皆、走るぞ!」
イースはシスカをおんぶし、他の皆も荷物を持つと、一斉に走り出したのだった。
キリフ山脈につながる道の両側は高さ10メートル以上ある絶壁がそびえ立ち、道が奥に続いている。
マリン「頑張れ!皆!」
すると、道の先に白い神官服をきたボウがこちらを見て立っていた。
ボウ「シスカお嬢様。すまないが、ここで神罰を与える。」
金色のオーラを放つボウの右手には赤く輝くメイスが握られ、後ろに振りかぶる。
メイスからは赤く輝く火柱が空に向かって延びていていた。
アイビス「何よ!あれ!」
スミス「ルシア!骨で防御いけるか!?」
ルシア「はいよ!亡者の壁!」
ルシアが叫ぶと、イース達の目の前の地面が漆黒に染まり、そこから骸骨が這い出し、組体操のように組み上がっていき、厚い壁を作る。
ボウ「白炎の波。」
ボウがメイスを振り抜くと、赤く輝く炎の波が亡者の壁にあたり、骸骨達を吹っ飛ばしていく。
スミス「何て攻撃だよ!シスカ!あいつ、シスカの名前言ってたけど、知り合いか?」
シスカ「・・・お父様の親友です~」
ルシア「もう壁、持たないぞ!第2波は無理だ!あいつを押しきって抜けるしか無い!」
マリン「各自、最高火力の攻撃で突破するよ!」
アイビス「補助魔法行くよ!反逆の狼煙!」
アイビスがイース達の力をパワーアップさせ、イースとシスカ以外の6人はオーラを体から放ち、戦闘準備をする。
亡者の壁が崩れるのと同時に白炎の波が収まる。
ボウ「防いだか。シスカお嬢様。教会を裏切り、急病の父の事も考えず、異端者と手を組み、抵抗するとは、なんと嘆かわしい。潔く自決するのが親孝行というものではないか。」
シスカの体が震えた。
シスカ「・・・何を言うんです~父を殺したのは教会でしょ~!他人事みたいに言うな~!ボウ将軍だって知ってるはずです~!」
シスカが怒りを露にする。
ボウ「でも、これが教会だ。シスカお嬢様も、それでご飯を食べられていたんじないか?長い物には巻かれろだよ。」
シスカ「ふざけるな~!お父様が、お父様が、お父様がどんな思いで~・・・。許さない、許さない、許さない~。」
シスカからも金色のオーラがはなたれる。
しかし、よく見ると、金色の中に黒色のオーラが混じっており、シスカの目が紫から黒に変化した。
ボウ「堕落したか。これだから異端者は。悪あがきでもしてくれ?」
シスカ「・・・イース。下ろして下さい。」
シスカの口調が変わり、雰囲気も変わる。
シスカは、イースの背中からおりて自分の武器である大槌を持つ。
シスカ「・・・勝手な事ばかり。ぶっ飛ばす!」




