始めてのパーティー活動
イースとマリンが再開して、数ヶ月が経とうとしていた。
今日もイースはギルドに薬草の納品に来ていた。
ラン「薬草の納品を確認しました。これが報酬です。」
イース「あり・・・がとう・・・ござ・・・います。」
ラン「イースさんは、マリンさんとしか普通に話せないんですよね。そろそろ、慣れて欲しいですね。この人間不振が。」
イースは苦笑いして、頭を下げる。
ラン「あと、ヒステ・・・マリンさんからダンジョン探索のため、パーティー申請が来てます。二人で話して決めてください。」
イースは黙って頷く。
ダンジョンは、突如、発生し、その姿は洞窟だったり、塔だったりと色々ある。
ダンジョン内では、貴重な鉱石資源やアイテムがあるため、金になる。
ダンジョン内には、魔獣が無限に発生するため、冒険者の修行場所にもなっている。
イースはギルド内にあるテーブルに座ってマリンを待つ。
ギルドには、次から次へと冒険者が来ては、依頼を受けたり、パーティーを組まないかと話をしていたりしている。
イースは
人間、多いよ!
俺、浮いてない!?
マリン!早く来て!
と思い、冷や汗を流していた。
イースの向かい側に、突然、軽装の女性が座ってきた。
女性は金髪サラサラショートヘア、胸にメロン二つのナイスバディ。
この女性は、フジマウンテン越えの時にイースを抜かして行った姫なのだが、イースは気づかない。
女「お兄さん、強いよね。私はアイビス。ちょっと、一緒にパーティー組まない?」
イース「あ、あ、え、と・・・」
イースは、オドオドしてしまう。
アイビスは
あれ、この男、フジマウンテンにいた魔王みたいな奴だよね?
間違えた?
と。
すると、横から声がした。
シスカ「イースさん、お久しぶりです~あら、絡まれてます~?」
アイビス「絡んでないし!パーティー組もうって話してただけだし!」
シスカ「そんな~イースさん、怯えてますよ~」
アイビス「脅してないし!」
シスカ「しどろもどろですよ~迷惑だから離れてください~」
アイビス「あんた何なの!?」
シスカ「あなたこそ~」
アイビスとシスカはにらみ合い、目から火花が散っている。
マリン「あんたら、誰?イースに何か用?」
どす黒いオーラ全開のマリンが無表情で立っていた。
イース「マリン!これは俺がパーティーに誘われて、そしたら、この女性が俺をかばってくれて・・・」
マリン「イース!訳分からない!」
イースは必死にマリンに説明する。
アイビス「最初から言いなさいよ!」
シスカ「あらあら~普通に話してますね~」
アイビスとシスカは、やれやれという感じになり、マリンはイースから説明を聞いて、状況を理解したようだ。
マリン「初めまして!イースの恋人のマリンです!イースは人付き合いが苦手で、こうなっちゃうけど、気にしないでね!あと、イースとパーティー組むの私だから、勧誘はお断りします!」
イース「恋人じゃないよ!幼なじみ!」
マリン「幼なじみと書いて、妻とよむんだよ!」
イース「何かレベルアップしてるじゃん!」
アイビス「あなたとパーティー組むから組めないって理由にならないでしょ!納得いかない!」
マリン「ダメなものはダメ!」
アイビス「何でよ!」
シスカ「私もイースさんとパーティー組みたいです~」
マリン「だからダメ!」
アイビス「何でダメなの!」
シスカ「そうです~」
女三人がキャーキャー騒いだ。
イースは、三人の様子を見て、オドオドしていたが、何か言おうとしていた。
イース「さん・・・にん・・・とも、・・・まって・・・よ。」
マリン「イースの意見聞きたい!」
アイビス「あんたはどうなの!」
シスカ「イースさんのお考えは~?」
イース「みんな・・・で、・・・組も・・・」
シーン
四人に静寂が訪れる。
マリン「イース、本気?」
アイビス「パーティー組めるならかまわないわ。」
シスカ「私もです~」
マリン「ハァー。しょうがないな。イース。四人で組むで良い?」
イースは黙って頷く。
マリン「じゃぁ、決定ね。私はマリン。よろしくね!」
アイビス「アイビスよ。よろしく。」
シスカ「シスカです~よろしくお願いします~」
イース「イー・・・ス・・・です。」
こうしてパーティーを組む事が決まり、受付のランに話しかける。
ラン「はい。パーティー申請用紙です。5人の名前を書いたら持ってきてください。あと、騒ぐな。小娘ども。」
マリン「はいはい。分かりま・・・五人?」
ラン「パーティーは五人から組めます。紙にパーティー名とメンバーの名前を書いて持ってきてください。」
マリン「え!?1人足りないじゃない!」
アイビス「まさか、1人足りないなんて!」
シスカ「まぁ、どうしましょ~」
イース「あ、あ、え、う」
四人は困惑していると、後ろから赤い短髪、体格はスラッとしているがガッシリのイケメンが声をかけてきた。
スミス「俺、スミス。メンバー足りないなら俺入れてよ。」
マリン「え!?まぁ、いっか。皆、良い?」
アイビス「別に良いわよ。」
シスカ「私も。」
イースも頷く。
マリン「じゃぁ、決定ね。よろしく!スミス!」
こうしてメンバーが揃った。
五人は集まってパーティー名を話し合い、フローズヴィトニル(悪名高き狼)に決まった。
この名前は、イースが狼の毛皮の外套を着ていることや、少し悪そうな感じにしたいとアイビスとマリンが盛り上がり、決まったのだった。
マリン「これから皆よろしくね!」
アイビス「よろしく!」
シスカ「よろしく~」
スミス「よろしく。」
イースは右手を上げて、お辞儀する。
マリン「フローズヴィトニル始動だね!」
こうしてパーティー「フローズヴィトニル」が結成された。
マリン「実は町の北の方にある漆黒城ってダンジョンに挑戦したいんだ!ダンジョンはパーティーじゃないと入れないからね!」
アイビス「あ!あたしもそこに行きたい!」
シスカ「私も構いませんよ~」
イースも頷く。
スミス「俺も良いですよ。因みに俺は鍛冶の腕を磨きたいから、素材を集めたら皆の武器や防具を作りたいんだ。良いかな?」
マリン「良いよ!私の武器はナックルね!よろしく!」
アイビス「私は双剣ね!」
シスカ「私はハンマーです~」
イース「俺・・・武器・・・つか・・・たこと・・・無いよ。・・・でも、殴・・・ったり・・・蹴っ・・・て、たた・・・かう・・・よ。」
マリン「イースは狼の動きみたいな戦い方するよね!」
スミス「じゃぁ、イースは爪みたいなやつ作るか。ちなみに俺の武器は刀だ。」
マリン「ダンジョンに行くの三日後の朝に出発で良いかな?」
四人は頷く。
マリン「出発日までに各自準備をしてね!パーティーで使うポーションとか食糧は私とイースで買っとくね!」
スミス「さすがに、まだ皆の武器は作るないから、各自、今使ってる武器防具使ってね。」
アイビス「分かったわ。」
シスカ「分かりました~」
マリン「あと、イース。パーティーメンバー分の狼の外套って出発までに間に合う?」
イースは黙って、首を縦に振る。
マリン「じゃぁ、作っといて!せっかくパーティー名を狼にちなんでつけたから、皆、お揃いで着ようよ!けっこうかっこいいよ!じゃぁ、各自、準備してね。集合は北門ね!」
四人は頷くと、それぞれ町の中に消えていった。
こうして始めてのパーティー活動が決まったのだった。




