イース達の旅立ち
サタンの後を追うイースたち。黒く大きなゲートを抜けると、そこは想像を絶する広大な魔王城の中庭だった。
その中庭には、額に赤い宝石を輝かせた魔獣人族たちが、まるで囚われた家畜のように群れていた。
数はおおよそ千人。彼らの瞳には、深い悲しみと絶望が宿っていた。
サタンは突然、振り向き、魔獣人族たちに向かって剣を振り上げた。
サタン「さぁ、ゴミ掃除だ!ブラックインパクト!」
その言葉とともに、サタンは魔獣人族たちを容赦なく攻撃した。
イースはとっさに反応し、振動を使ってサタンの攻撃を食い止める。
イース「待って・・・ください!」
イースの必死の叫びに、サタンは不敵な笑みを浮かべた。
サタン「なぜって?つまらねぇ質問だ。あいつらは魔族の純血を汚す異形の存在だろ?この世に存在するべきじゃない!」
サタンは、そう言い放つと再び魔獣人族たちに向き直った。
サタン「さぁ、続きだ!」
その時、サタンのうしろからリリスが前に出た。
リリス「サタン様。お戯れを。こんなゴミ、早く行かせましょう。」
リリスの言葉に、サタンは顔をしかめる。
サタン「しょうがねぇな。やめるか。リリス、早くゲート開け。」
サタンがそう言うと、リリスはイースたちの方を向いてゲートを開く。
サタン「さあ、さっさとこの場所から出て行け。あとはお前たち次第だ。」
イース達は急かされるようにゲートをくぐり、姿を消した。
サタン「俺は部屋に戻る。」
サタンは、自分の執務室に着くと、ソファーに座り、ため息をついた。
そこにリリスが来てサタンに話しかける。
リリス「つらい様子ですが?嫌ならやらなきゃ良いのに。」
サタン「魔族のケジメさ。魔獣人族の魔族に近い存在で、言わば俺たちの同胞。だからタルタロスに隠したんだ。まぁ、俺の攻撃を止められるなら大丈夫だろ。俺には悪役は向かないな~疲れた~」
そう。
サタンは、魔獣人族を殺す気は全くなかった。
魔族としての立場があるため、パフォーマンスしただけだった。
サタン「イース達。俺たちの同胞を頼んだぞ。」
こうしてイース達は旅立ち、サタンも一仕事終える。
イース達は、人間領で無事に建国できるのか。
この先、強敵も続々現れ、世界はイース達を中心に荒れていく。
この先を知るのは、神のみである。
第一章終わり