崩壊するダンジョン、明かされる真実
タルタロスを倒し、一息ついたのも束の間、ダンジョンが大きく揺れ始める。
彼らは、ダンジョンが崩壊しつつあることに気付く。
その混乱の中、深淵から現れたのは、イース達を奈落に送った魔王サタンだった。
サタン「よぉ!お前ら、よく奈落を制覇したな!」
サタンは、イースたちに話しかけると、続いて驚くべき事実を告げる。
話の内容はこうだ。
2000年前の人魔戦争の最中、人族は魔族との戦いを有利に進めるため、禁忌の研究によって魔獣と人間を掛け合わせた新種族、魔獣人族を生み出した。彼らは、人族が作り出した存在。
奈落に縛られていた魔獣人族は地上に出ても殺される運命であること。
サタン「額に輝く赤い宝石は、魔獣人族の証だ。彼らは、かつて人族が魔族に対抗するために生み出した存在。実験の失敗作とでもいうべきか。」
イースは、その言葉に衝撃を受ける。
イース「なぜ・・・」
サタン「」ふふ、なぜだ? それは戦争だからさ!それ以上でも以下でもねぇ」
サタンは、魔族が魔獣人族を受け入れない理由を説明する。
サタン「魔族は、人族が作り出した存在など、受け入れないし、魔族からすればゴミだ。」
イースたちは、深い悲しみと怒りを感じる。
魔獣人族たちが生まれた理由、そして、魔族や人族から受け入れられない現実。
サタン「そこで選択肢をやろう。一つは、魔獣人族を見殺しにする。まぁ、放っておけば、勝手に死ぬ。」
イース達は複雑な顔をする。
サタン「優しいねぇ~じゃぁ、2つ目。お前ら、人間領に国を起こせ。そこの住人として魔獣人族を受け入れれば良い。」
マリン「え!?国を!?そんなの無理・・・」
サタン「そうでもないさ。なぁ、アイビス?」
アイビス「・・・」
アイビスは苦虫を噛み潰したような顔でサタンを睨む。
サタンは笑いながら言う。
「おー怖いねぇ!まだ、仲間達には言ってねぇのか。まぁ、現実的にお前ら、人間領で生きていくためには、国を作るか、一生隠れて過ごすしかねぇな。」
イース達は複雑な顔をする。
サタン「はぁー、お前ら、現実見ろ。お前らの状況を教えてやるよ。まず、お前ら、全員、人間領ではシスカの件があってから、教会から神敵者の認定をされて指名手配がされてる。さらにアイビス、マリン、イースはスペード王国から反逆者として指名手配されてる。人間領でお前らが安心して暮らせるところはねぇ。さらに、イースとマリンの育った村がどうなったか知ってるか?」
イース「え?」
マリン「何の事ですか?」
サタン「やっぱり知らねぇのか。小さい村だからな。お前らの村は壊滅した。表向きは魔獣の大量発生だが、真実は違う。イースとマリン。お前らのへの報復措置だ。生存者はいない。子供からじいさん、ばあさんまで、お前らの両親も生きていない。」
イース「そんな!嘘だ!」
マリン「何で!」
サタン「神敵者二人が出た村だぞ?名分は十分さ。ルシア、プラシュ、ソドは孤児だから報復先はないが、教会はずっとつきまとうぞ?お前ら、世界情勢をもっと勉強しろ。情報は武器だぞ?」
イース達は動揺が隠せない。
サタン「だから、国を作るのさ!世界から見放された者達を受け入れた神敵者の国を。だから、力もつけてやっただろ?あとは兵力だが、魔獣人族を受け入れて、人間領の悪才能を持った人間を集めて一つ国を作れば良い。お前らが堂々と生きていくためには、その方法しかないんだよ。」
サタンは選択肢が2つと言ったが、イース達に選べる選択肢は一つしか無いのだ。
イース達の表情が曇る。
サタン「国の起こし方は、アイビスに聞け。アイビスも話してない事があるだろ?さて、奈落が崩壊するから出るか。」
サタンの後ろに黒く大きなゲートが現れ、そこにサタンは歩いていく。
イース達もその後を追った。