ダメえもん ~〇〇コプター~
■主な登場人物紹介
ダメえもん・・・未来から逃亡してきたダメ型ロボット。不思議道具でにょび太を支える。
にょび太・・・小学四年生。将来の夢は『遊んで暮らす』の腐れ小学生。
このお話は昭和五十年代をベースに書かれたとお考え下さい。
尚、オリジナルと本編は一切関係がございません事、ご了承ください。
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ある日曜日の昼下がり。小学四年のにょび太は部屋で寝転び、まったりしていた。
「あ~~あ。空からお金降って来ないかな~~。」
「相変わらずのダメ発言だね~、にょび太くん。そんな事ばっかり言ってると、ろくな大人にならないよ。」
にょび太の発言にダメ出しをするのは、未来からやって来たロボット・ダメえもん。本人はハイスペックだと言っているが、そんな素振りは微塵も感じられない。
「いいよ、もう。勉強ダメ、スポーツダメの僕なんか将来性なんてゼロなんだから、後は一攫千金に賭けるしかないじゃないか。」
ここで横に寝返りを打ち、ついでに『ぶぅっ』とにょび太はオナラを放つ。これではもう、負け組確定だろう。
「・・・そうだ! 空を飛べれば、人生が変わるかもしれない!」
突然がばっと起き出し、突拍子もない事を言い始めるにょび太。
「ねえ、ダメえも~ん。なんか、空を飛べる道具とかないの~? だって未来から来たんでしょ~?」
「君は人にモノを頼む態度をもう少し改めた方がいいんじゃないかい? ・・・だけど、空を飛ぶ道具ならあるよ。」
「え! ホント!? いや~、さすがは未来のセレブ向けロボット、頼りになる~~。」
小学生らしからぬヨイショ発言に、ダメえもんは満更ではないと言った表情をする。
「もう、君はすぐ調子に乗るんだから~。空を飛ぶには・・・これだ! 『ダメコプター』~~~!」
そう言ってダメえもんが取り出した道具は、骨組みの筐体にプロペラが幾つも取り付けられたモノで、今で言う『ドローン』に似ていた。
「え? ダメコプター? 『たけ』、じゃなく?」
名前を聞いて嫌な予感がし始めるにょび太。
「うん。これはね、ド〇キホーテで安く仕入れたやつを、僕が改造したんだよ。極限まで軽量化されたカーボン製の骨組みボディに、高パワープロペラを6機積んだエンジン・・・。こいつは、エンペラーを超えるぜぇ!」
だんだんと眼を血走らせ、これから流行るミニ四〇を彷彿とさせる台詞を熱く語り始めるダメえもん。はっきり言って、ちょっと危ない。
「あ・・・、ぼくちょっと用事があったんだ。また今度ね!」
身の危険を感じ、逃げ出そうとするにょび太。だが、ダメえもんは素早く襟首を捕まえ、チョークスリ―パーをかける。
「駄目だよ、にょび太くん~。いったん発言したことの責任は取らないと。どこかで試運転しようと思ってたから、丁度いいよね!?」
と言って、にょび太に『ダメコプター』を被せるダメえもん。
「え、え? ちょっと待ってよ、ダメえも・・・」
にょび太がストップを掛けようとするが、ダメえもんは止まらない。
「ふふふ・・・、にょび太くん。君の勇気は忘れないよ。それじゃあ、グッド・ラック!」
怪しい笑いを浮かべ、ダメコプターのスイッチを入れるダメえもん。すると、にょび太は物凄い勢いで窓から飛び出していった。
「ああああぁぁ、ちょっとぉぉぉおお! 速すぎる~~~~!!」
あっという間に高度50m位まで翔け上がっていくダメコプター+にょび太。
その様子を見たダメえもんは満足気に、コントローラーを操作する。
「よしっ!! 狙い通りの加速! このまま一気に行くぜぇ! バーニング・ドラゴン!!」
あの道具はダメコプターという名前では無かったのか。調子に乗ったダメえもんは、空中大回転やきりもみ旋回、自由落下からの急上昇とやりたい放題だ。
「うぇぉおぇ~~、ぢょっど、ダメえもん、やめでよ~~~ (泣)」
哀れにょび太くんは、暫くの間ダメえもんの試運転に振り回されたのだった。
「うわ~~ん、だずげで~~、ママ~~~!」
少年の叫びは虚しくも大空に響くだけで、ついには失禁してしまったのだった。
息子がそんな目に遭っている事など全く知らないにょび太ママ。洗濯物を取り込んでいると、水滴が落ちて来たことに気付く。
「あら・・・? 雨かしら? 変ねぇ、こんな良い天気なのに。」
それ、あなたの息子のおしっこなんですがね。
ともあれ、にょび太くんはこの事がきっかけで高所恐怖症になり、ある意味人生が変わりましたとさ。
おわり
現在、連載小説「隻眼浪人と茶髪娘、江戸を翔ける!」も手掛けています。
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