伯爵令嬢エリス・ローレンスの悲運と幸運
伯爵令嬢のエリス・ローレンスは、金髪の美女でありながら、家柄のせいで自由な生活を送れず、深い憂鬱に悩まされていた。そんなある日、侯爵のゲイル・ウィンスローから求婚を受け、父母の反対を押し切って婚約することになる。
「ゲイル様、どうかよろしくお願い致します」とエリスが言うと、ゲイルは得意そうに微笑んだ。
「エリス、僕たちは幸せになるよ。共に永遠の愛を誓おう」
そう言われ、エリスは彼に幸せを感じた。しかし、数か月後、ゲイルから突然の婚約破棄を告げられる。
「エリス、君には真実を話さなければならないことがある。実は、君との婚約は僕にとって遊びでしかなかったんだ」
エリスは驚きのあまり、言葉も出ずにゲイルの告白を聞いた。彼女が思い描いていた幸せな未来は一瞬で崩れ去った。
「なぜそんなことを言うの……? 私たちは幸せになるはずだった……」
「君は愚かだ。僕の権力を利用し、金と力を手に入れようとした。君など、僕にとっては子供の玩具に過ぎなかった」
ゲイルは冷酷なまなざしでエリスを見下ろした。彼女は悲しみと怒りで胸がいっぱいになった。
「私は玩具じゃない! 私たちは本物の愛を誓い合ったんじゃないの!?」
「馬鹿な女だ。君など愛される資格がない」
ゲイルの罵声にエリスは耐えかねて、屋敷を飛び出した。彼女は悲しみに暮れながら、屋敷から遠く離れた山道を彷徨った。
しばらく彷徨っていると、正体不明の不審者に襲われたエリスは、崖から突き落とされてしまう。
落ちたその先、地面は幸いにも柔らかい土と草木でエリスは助かった。
大雨の中、偶然通り掛かった公爵のライツに拾われた。
ライツはエリスから事情を聞き、守ることを決め、屋敷に一緒に住むことになった。二人は共に暮らしながら、お互いの胸の内を話し合う。
「ライツ、ありがとう。あなたがいなかったら、私は……」
「心配しないで。俺が守るから」
「でも、私は……」
「エリス、お前は強い。俺はそれを知っている」
ライツの言葉に、エリスは心が安らいだ。そして、エリスはライツに自分が婚約破棄された理由を打ち明けていった。
「私は、侯爵のゲイルと婚約していたの。私の両親は最初は反対だった。けど、ゲイルは最初は優しくて良い人だったから……私は彼に心を奪われたの。だから、お母さまに無理を言って……。
でも、ある日、彼は私に告げてきた。『お前は遊び相手だった』って。私は悲しくて……悲しみにでいっぱいになって、彼の屋敷を飛び出したの」
「そんな……」
「その後、彼は私を崖から突き落としたと思う。あんな酷いことをするのはゲイルだけ。私は幸運にも、命拾いできたけど……」
エリスの話に、ライツは怒りを覚えた。そして、ゲイルの真意を暴くことを決めた。
ライツとエリスは一緒に侯爵のことを調べていく中で、ゲイルの決定的『犯罪』を掴んだ。ゲイルはエリスを崖から突き落としたことを認め、その罪で逮捕されたのだ。
事件が解決した後、ライツはエリスに告白した。
「エリス、俺はお前が好きだ。一緒にいたい」
エリスもライツのことが好きだと気付き、二人は幸せな結婚生活を送った。
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